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2010年12月01日
高血圧にひそむ‘隠れ腎障害’ 早期発見・治療が大切
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- 糖尿病の検査(HbA1c 他) 糖尿病合併症
腎臓のろ過装置である糸球体は小さな血管が集まってできており、高血圧や高血糖が続くと血管が硬くなり、ろ過機能も次第に低下していく。高血圧症や糖尿病などの生活習慣病がある人は、医療機関を受診して治療を受けることが大切だ。
しかし実際には、高血圧症の治療を受けている患者でも、尿中アルブミンの異常があらわれており、治療がまだ十分に行われていない傾向があるという調査結果が発表された。

腎臓病の検査として、通常は医療機関で尿中の蛋白質の濃度を調べる尿検査と、血液中のクレアチニンを調べる血液検査が行われる。クレアチニンとは血液中の老廃物のひとつで、通常であれば腎臓でろ過され、ほとんどが尿中に排出される。しかし、腎機能が低下していると、尿中に排出されずに血液中に蓄積される。この血液中のクレアチニンを「血清クレアチニン値」と呼んでいる。
また、腎臓病では尿にもっとも早く異常が出る。なかでも蛋白尿が重要なサインとなるが、腎臓病の発症や進行を抑えるためには、尿蛋白があきらかに陽性になってからでは遅く、蛋白尿が出る前に対策することが重要となる。
広く行われているアルブミン検査は尿からアルブミンを見出だす検査法で、早期の腎症を発見するために有効とされている。アルブミンは腎症の初期においても、糸球体から尿中に微量に排出される。尿中アルブミンの定性検査はプラスやマイナスで判定される。異常が認められた場合に定量検査を行い、実際にどのくらいの量なのかを測定することもある。
実際には、高血圧症の治療を受けている患者でも、尿中アルブミンの異常があらわれており、治療がまだ十分に行われていない傾向があるという調査結果が発表された。
これは高血圧患者約9000人を対象に腎障害の早期診断の指標となるアルブミン尿について調査した「AVA-E Study」で示されたもので、製薬会社の大日本住友製薬が公表した。それによると、高血圧患者の約4割で尿中アルブミンの異常が示された。高血圧症に潜む「隠れ腎障害」はまだまだ多いようだ。
調査データによるとアルブミン検査では、正常域が57.1%だった一方で、異常域は35%、異常域(高度)は7.9%で、これらをあわせたアルブミン尿陽性症例は42.9%だった。尿蛋白定性検査では、(−)68.2%、(±)13.8%、(+)8.0%、(++)3.5%、(+++)1.3%という結果になった。尿蛋白(−)例でも、30%が尿中アルブミン異常域にあることが分かった。
高血圧や糖尿病、喫煙なども腎臓病の重大な危険因子となる。尿中アルブミンに異常があられたときの危険因子を解析したところ、高血圧は1.3〜1.7倍、喫煙は1.3倍、糖尿病は1.6倍、それぞれ危険性を高めることも分かった。
腎臓病の治療では、腎機能の低下した原因があきらかな場合、その原因となっている病気を治していくことから始まる。たとえば糖尿病性腎症では、治療によって血糖をコントロールし、高血圧症や動脈硬化では薬物療法や、食事などの日常生活の管理がとても重要となる。
高血圧の治療に使われることの多い「アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)」は、血圧を上げる「アンジオテンシン?」という体内物質を抑えることで、血圧を下げる作用がある。降圧以外に尿蛋白を低下する作用もあり、糖尿病性腎症の適応が承認されている薬剤も出ている。
高血圧症は、薬を飲めば簡単に治るという病気ではないので、患者自身が高血圧の恐ろしさを理解し、コントロールしていくことが大切となる。血圧コントロールのために薬はとても重要で、治療を継続し薬の服用を続けることは、高血圧などにより引き起こされる腎臓病を予防・改善するうえでも必要だ。
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