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2010年08月19日
食事療法が薬物療法に伴うと、血糖コントロールは改善する
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- 食事療法

この研究は、ニュージーランドのオタゴ大学エドガー国立糖尿病研究センターを中心に実施されている「LOADD(Lifestyle Over and Above Drugs in Diabetes)」研究の一環として行われた。この研究では、生活習慣が血糖コントロール、心血管疾患のリスク因子などに与える影響を調べている。結果は、医学誌「British Medical Journal」のオンライン版に7月20日に掲載された。
ひとつのグループには、従来の治療に加え欧州糖尿病学会(EASD)の治療ガイドラインに準拠した食事療法を行い、栄養士による個別の食事指導を定期的に受けてもらった。もうひとつのグループは従来の治療を続けてもらった。
6ヵ月の介入後、食事の個別指導を受けたグループでは血糖コントロールが著しく改善し、体重、体格指数(BMI)、腹囲径も改善していた。体重は平均2.1kg、腹囲径は平均3cm減っていた。期間の終了までに血糖降下薬やインスリンを減らせる患者も出てきた。栄養摂取状況では、飽和脂肪酸の摂取量が対照群に比べ有意に低下し、蛋白質の摂取量が増加していた。
食事を中心とする生活習慣の改善が、糖尿病の治療では重要とされている。「糖尿病治療薬が広く使われるようになり、食事療法はバックグラウンドに追いやられた感じがする。しかし、糖尿病を改善するために必要であることに変わりがないことが、今回の研究であらためて示された」とCoppell氏は話す。
Coppell氏は「残念なことだが、多くの人にとって、生活習慣を改善し食生活を変えることは難しいことだ。患者の家族による支援に加え、専門家が患者1人ひとりの環境的要因をみながら的確にアドバイスすることが、患者を成功に導くために必要な要素となるだろう」と指摘。
「良好な血糖コントロールを続ければ、腎不全や心臓病、壊疽、失明といった深刻な糖尿病合併症を長期にわたり予防できる」とCoppell氏は強調している。
Dietary advice improves diabetes over and above drugs: Otago research(オタゴ大学)
Nutritional intervention in patients with type 2 diabetes who are hyperglycaemic despite optimised drug treatment - Lifestyle Over and Above Drugs in Diabetes (LOADD) study: randomised controlled trial
British Medical Journal, 2010;341:c3337
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