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2010年07月13日

熱中症対策:熱中症を予防するには? 熱中症になったら?


 地球温暖化の影響で夏の平均気温は上がっている。熱中症で倒れる人は、気温の高い7月や8月に集中する。熱中症は適切に対策すれば防ぐことができるが、適切な知識をもつことが大切。
熱中症はどんな時に起こるか
 熱中症は、「気温が高い」「湿度が高い」「風が弱い」「日差しが強い」といった環境的な要因があり、運動によって体内で熱が多く産生されたり、高齢や血糖コントロール不良などで体温調節がうまくいかないと発症しやすくなる。

 高温だけが原因ではなく、「輻射熱(日差しの強さ)」「湿度」も影響する。気温がそれほど高くなくても、日差しが強いと輻射熱で体温が上がりやすくなり、湿度が高いと汗が蒸発せず体温が下がりにくくなる。

 高温や多湿などで、体内の水分や塩分(ナトリウム)のバランスを調整する機能がうまく働くなると、熱中症が起こりやすい。その他にも、運動や暑さに慣れていない場合、体温が上がりやすく汗がかわきにくい服装、肥満が熱中症の誘因となることもある。

 熱中症は予防法を知っていれば防ぐことができ、また、熱中症になっても多くの場合で適切に処置・対応することで回復するが、熱中症を発症し亡くなる人が毎年何人も出ているので油断ができない。

どうすれば熱中症を防げるか
 熱中症は梅雨明けの7月下旬から8月上旬になると増える傾向がある。体温を下げるために汗をかくことが大切だが、上手に発汗できるようになるには暑さへの慣れが必要となる。糖尿病があり血糖コントロールがうまくいっていない人では、発汗能力が弱く熱中症を起こしやすくなっている場合がある。はやめに対策しておくことが大切だ。

熱中症を防ぐためには
  • 暑さを避ける
     暑い日はもちろん、湿度の高い日にも要注意。

  • 環境を変えて暑さ対策
     窓にはすだれやブラインドを付ける、扇風機やエアコンを使う、朝のうちに打ち水をするなどの工夫を。

  • 急に暑くなる日に注意
     野外を歩くときはなるべく日陰を選ぶ。真夏の自動車内はエアコンをとめると短時間で気温が急上昇するので注意。

  • 服装を工夫する
     風通しが良く乾きやすい服装をする。屋外に出るときは帽子や日傘を利用し、直射日光を防ぐ。

  • 水分をこまめに補給
     汗が蒸発すると体から気化熱が奪われ体温が下がる。しっかりと汗をかくために水分補給は重要。特に運動をするときは、事前の水分補給と、運動中と運動後の補給も。

  • アルコールに注意
     水分補給は水やお茶で。汗で失われた水分をビールなどで補給しようという考え方は誤り。アルコールは尿の量を増やし体内の水分を排泄する。
「熱中症かな?」と思ったらどうすれば良いか
 熱中症の主な症状は、筋肉の痛みやこむらがえりなどの「熱けいれん」、目まいや立ちくらみなどの「熱失神」、全身の倦怠感や脱力、頭痛、吐き気、嘔吐、下痢などがみられる「熱疲労」など。熱中症がひどくなると意識障害が起こることもあるので、早めの対策や治療が大切だ。

熱中症の対処方法
  • 涼しい環境へ避難
     風通しのよい日陰や、クーラーが効いている室内などに避難。まずは体を冷やしはじめることが必要。

  • 脱衣と冷却
     衣服を脱いで体が熱を放散しやすくする。うちわや扇風機などであおいだり、濡らしたタオル、水や氷などで体を冷やす。

  • 水分・塩分の補給
     大量に汗をかいた場合は、塩分(ナトリウム)が汗で失われている可能性がある。塩分を適切に補うと回復が早い。塩分を含む飲料(1リットルに1〜2グラムの食塩)で補給するのも良いが、スポーツドリンクなどは糖質を多く含むものがあり、血糖値が上がりやすくなるので要注意。

  • 医療機関を確認
     ただし、呼びかけに対する反応がおかしかったり、意識障害があるときには、誤って水分が気道に流れこむ可能性がある。自力で水分を摂取できないときは、ただちに医療機関を受診することが勧められる。いざというときに受診できる医療機関を、あらかじめ確認しておくと良い。

  • 医療機関へ運ぶ
     吐き気やおう吐で水分補給ができない場合や、立ちくらみ(熱失神)や、脱水により体がぐったりする熱疲労が起こっている場合は、医療機関を受診する。血中の塩分が不足し筋肉のけいれんや痛みが起こっているようであると、生理食塩水の補給が必要になる場合がある。
     糖尿病の治療を受けている人が医療機関を受診する場合は、糖尿病であることと、治療内容(インスリン療法や飲み薬の服用など)や血糖値(HbA1c)なども伝えると良い。

熱中症予防情報サイト(環境省)
 環境省は、熱中症などに対する注意を促すことを目的に、インターネットや携帯電話向けに、地域別に暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度)や熱中症患者速報を公開している。
 暑さ指数(WBGT)とは、体に対する影響の大きい湿度、輻射熱(日差し)、気温の3つをとりいれた指標。WBGTが高いと熱中症の救急搬送が増えることが主要都市の調査データで示されている。

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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