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2010年07月13日

暑さが熱中症などの危険性をもたらす インスリン製剤の扱いにも配慮

 糖尿病患者のうち、夏の暑さがもたらす熱中症や糖尿病の管理について、適切なセルフケアについての知識をもっている人は少ないとする研究が米国で発表された。研究者らは「暑い時季の糖尿病管理についても適切な知識をもつ必要がある」としている。
暑い時季の糖尿病管理
 この研究は、米フィーニックス糖尿病クリニック(アリゾナ州)の患者152人を対象に行われたもの。研究を主導した米メイヨークリニックのAdrienne Nassar博士は、「糖尿病のある人が、血糖コントロールが良好でなく血糖値が高い状態にあると、発汗能力が弱くなり、暑さにともない罹患する疾患の危険性が高くなりやすい」と述べている。

 「研究対象となった多くの患者で、夏期の血糖コントロールは最適ではなく、そのため脱水症をおこす危険性が高いことが分かった」としている。

 これまでの研究でも、気温の高い環境で暮らす糖尿病患者では、熱中症による医療機関の受診や入院が増える傾向があると報告されている。

 この研究は、米国海洋大気庁(NOAA)と米国立測候所(NWS)の協力により行われたもので、6月に米サンディエゴで開催された米国内分泌学会(ENDO)年次集会で発表された。

気温が27度を超えると対策が必要
 調査の結果、熱中症と気温や湿度、暑さ指数(heat index)について知っている患者はおよそ半分であることが分かった。さらに、5人に1人は気温が約38度(華氏100度)を超えても熱中症の予防や対策について配慮していなかったという。

 「暑さ指数を考慮すると、熱中症は気温が約27〜32度あると、罹患するおそれが出てくる」とNassar氏は言う。湿度が高いと汗が蒸発せず体温が下がりにくくなるので、高温の危険性はさらに増す。

 高温になると、糖尿病の医薬品やサプライ(供給品)もダメージを受ける。インスリン製剤は蛋白質なので熱による変性が起こりやすい。通常の室温で保管すれば大丈夫だが、直射日光に当てたり車の中に放置すると高温になることがあるので注意が必要だ。

 経口薬によっては、インスリン製剤と同様に、高温になると効能を失うおそれがあるという。医薬品の添付文書には、保管のための適切な温度についての情報も含まれている。

 調査では、患者の73%は高温とインスリン製剤の扱いについて説明を受けていたが、糖尿病の経口治療薬については39%、血糖測定器については41%、測定チップについては38%と、それぞれ暑さの影響について知っている割合は低かった。

 糖尿病の医薬品や血糖測定器などが暑さに弱いことを知っていても、そのことを気にするあまり、暑い環境下では自宅に置いたままにするという患者も37%に上った。

 「血糖測定器を持ち歩かないと、自宅から離れたときに血糖測定をできないなど、別の面での危険がともなう」とNassar氏は述べている。「糖尿病の患者者はますます増えており、気温の高い環境で暮らす人も多い。暑い気候での糖尿病の管理に着目した対策や指導が必要かもしれない」としている。

Many People with Diabetes Do Not Know or Heed Dangers of Hot Weather(米国内分泌学会、2010年6月22日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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