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2010年04月28日
「LDL-C測定は、直接法でなくF式で」動脈硬化学会が新見解
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- 糖尿病の検査(HbA1c 他) 糖尿病の診断基準
これに伴い、トリグリセライド(中性脂肪。TG)が高くて(400mg/dL以上で)F式を用いられない場合には、non-HDL-コレステロール(non-HDL-C)を管理指標の参考とすることも、あわせて推奨している。糖尿病やメタボリックシンドロームでは、LDL-Cが高くなくてもTGが高くなりやすく、今後、non-HDL-Cを重視すべきケースも多くなると考えられる。
会見での発
このような変化を背景に、TCよりもLDL-Cを重視する考え方が定着したのだが、LDL-Cの値を直接的に測定する簡便な方法が当時はなく、〔TC - HDL-C - TG ÷ 5〕というF式から間接的に計算される数値が広く用いられてきた。「LDL-Cを下げれば下げるほど動脈硬化性疾患が減る」という今日のスタンダードが確立されるまでに行われてきた数々の臨床研究も、すべてF式によってLDL-Cを求めたものだ。
とくに、TGが高いことが多いメタボリックシンドローム該当者をスクリーニングするという特定健診の性格上、F式が使いづらく、LDL-C直接法の導入は理に適ったものでもあった。また、動脈硬化のリスクを正確に把握するという意味で、一般臨床においてもこのような流れは本来、望ましいものであるはずだった。
このことは昨年(2009年)7月の日本動脈硬化学会学術集会でも取り上げられ、学会としてなんらかのメッセージを発信する必要があるとされていた。こうした流れを受け、このたびの会見が開かれた。
- TGが高いという場合にはF式が使えないという問題点に対して直接測定法が必ずしも
十 分応えていない。 - 各キットの標準化が
十 分行われていない。 - 測定依頼者に対してどの測定原理を用いて測定した値なのかという情報が与えられていない。
- 各キットがどのような状態で「はずれ値」を示すのかという情報が全く与えられていない。
- LDL-Cの直接測定法については、今後標準化、さらなる精度管理ならびに情報の透明化を強く希望する。
- 現状では、LDL-Cは、一般診療の場ではF式で求めることを基本とする。したがって食後に来院した患者につていは、空腹での再診を求める。
- 特定健診については、TCを測定項目に加えることを強く希望する。
- TGが異常高値を示す場合は、リスク管理の指標として、〔TC−HDL-C〕で
表 す「non-HDL-C」を参考とする。
糖尿病ではTGが高くなりやすいので、この「non-HDL-C」を脂質管理の指標とすべきケースも少なくないと考えられる。また、non-HDL-Cであれば食後のTGが高い時間帯の採血でも支障はなく、日常診療に用いやすい。加えて、保険診療上、脂質関連の検査項目が3つまでしか認められていない現状においても対応可
国内外の研究でnon-HDL-Cは〔LDL-C+30〕と相関することがわかっており、現行ガイドラインで示すLDL-Cの管理目標値に30を加えた数値が、具体的な管理目標となる。糖尿病患者における動脈硬化性疾患一次
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