資料室

facebook
メールマガジン
糖尿病3分間ラーニング
CGM(持続血糖測定)で「人工膵臓」実現の夢 米国で研究
2009年10月14日

 「連続血糖測定(CGM:Continuous Glucose Monitoring)」は、専用の機器を使い血糖値の変動を連続的に測定・記録し、得られた血糖データを治療に反映させようという方法。血糖値は食事やインスリン注射などの影響を受け、1日の中で常に変化している(日内変動)。どのようなときに高血糖や低血糖が起こるかを正確に知ることができれば、より的確な対策を行えるようになり、血糖コントロールが向上するとみられている。
CGMで血糖値の日内変動が分かる
 CGMは電極とグルコースに反応する酵素を含む微細なセンサーを皮下におき、皮下間質液中のブドウ糖を持続的に測定する方法。米国では医療機器メーカー3社のCGM機器が、米国食品医薬品局(FDA)により承認されている(日本では未承認)。機種によって機能や性能は異なるが、いずれもCGMによって測定されたブドウ糖のデータは、一定の間隔で記録される。機器は測定センサーと測定データを記録する本体で構成されており、最近ではワイヤレスでデータを送信する機器も出ている。

 30年ほど前に血糖自己測定(SMBG)が開始され、患者が家庭で血糖値を測定できるようになり、糖尿病の治療は格段に進歩した。しかし通常の血糖自己測定では、穿刺(指先などを穿刺針で刺すこと)で採血する必要があるので、測定の頻度は1日数回に限られる。食後高血糖が起きたときや、夜間や朝の高血糖などは、血糖自己測定を行わなければ患者には分からない。

 CGMでは1分から5分毎に測定値をはかり、リアルタイムで知ることができる。血糖値の日内変動をもとに、医師がインスリン療法などの適宜などを診断し治療することで、治療の成果がより向上すると考えられている。患者にとっては自分の血糖値の変動を理解するための強力な手掛かりになる。

CGMとインスリンポンプを組合せて「人工膵臓」実現の夢
 日本でもCGMを使った臨床研究が行われているが、治療に導入されていないので使用例はまだ多くない。海外ではCGMに関するさまざまな臨床研究が発表され、検討が行われている。今年5月にCGMにより1型糖尿病患者の血糖コントロールが著しく改善するとする対照臨床研究が、米国糖尿病学会(ADA)が発行する医学誌「Diabetes Care」に発表された。国際若年性糖尿病財団(JDRF)によるこれらの研究では、「低血糖を低減しながら血糖コントロールを改善することは、すべての年齢層の患者にとって有益だ」と強調されている。
人工膵臓(Artificial Pancreas)プロジェクト
国際若年性糖尿病財団(JDRF)(YouTubeで公開)
(クリックするとビデオを再生します)
 インスリン分泌が低下・消失し発症する1型糖尿病では、糖尿病網膜症や糖尿病腎症といった合併症を長期間にわたり防ぐために、良好な血糖コントロールが望まれる。インスリンの頻回注射によって健常者の血中インスリンの変動パターンに近づける強化インスリン療法が必ず行われる。

 しかし、インスリン療法を行い厳格な血糖コントロールを目指すと、しばしば深刻な低血糖をともなうことがある。良好な血糖コントロールを望んでいても、患者によっては低血糖へのおそれが治療の妨げになっている場合がある。

 JDRFが発表した研究は、8歳から69歳の成人と小児の1型糖尿病患者129人を対象に行われた。CGMを行う群と通常の血糖測定のみを行う群に分け比較した(CGMを行う群の93%が、通常の血糖測定のみを行う群の79%が、それぞれインスリンポンプを使用)。米国での1型糖尿病の血糖コントロール指標では、成人ではHbA1c値が7%未満、小児や若年では7.5%から8%未満を目標にしている。研究に参加した患者はHbA1cを7%未満を維持することを目標にした。6ヵ月の介入後、CGMを行った群では、70mg/dL以下の低血糖が37分間減少した。

 研究を指揮したJDRFのアーロン・コワルスキー医師は、「CGMを行った患者では低血糖を抑えながらHbA1c値を維持できた。低血糖を低減できれば、血糖コントロールをより改善できる可能性がある」と述べている。

 JDRFでは、CGMで測定したリアルタイムの血糖データをインスリンポンプに送信し基礎インスリンを補う「人工膵臓」の開発も視野に入れ研究が行われている。

 一方で、CGMでは皮下細胞間質液のブドウ糖を測定するので、血糖自己測定で測定した値と比べ較正する必要があり、また、血液中のブドウ糖から数分から十数分のずれがあることも指摘されている。患者にとっては、通常のインスリン療法や血糖自己測定に加え、CGMのリアルタイムセンサーを使用できるようになるための訓練や経験が必要になり、血糖コントロールについてより高度な理解が求められるようになるという。

Artificial Pancreas Project: Juvenile Diabetes Research Foundation International
The Effect of Continuous Glucose Monitoring in Well-Controlled Type 1 Diabetes(Diabetes Care)

関連情報
低侵襲性のリアルタイム持続血糖測定装置への期待(血糖自己測定-インスリン注射と血糖自己測定)
血糖を連続的に自動的に測定する機器(CGMS)(いま、1型糖尿病は)

[ Terahata ]

■最新ニュース

ニュース一覧へ ▶

更新情報配信中!