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2008年07月03日
血糖自己測定の採血器具の取り扱いで注意喚起
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- 血糖自己測定(SMBG)
血糖値を測定するときに指先から微量採血するときに使う器具本体を、医療施設や介護施設などで、複数の患者で「使い回し」していたことが発覚し、マスコミで大きく報道されている。
微量採血用穿刺器具には、下記の3種類がある。
- 器具全体が使い捨て
- 針と先端キャップ(針周辺部分)を含めて使い捨て
- 針は使い捨てだが、針周辺部分は使い捨てではない
医薬品医療機器総合機構は6月27日に「医療安全情報」を出し、あらためて穿刺器具の使用で注意するポイントをまとめ公表した。
針を除く穿刺器具の「使い回し」により、B型肝炎などの感染症の発生が確かめられた例は出ていない。
http://www.info.pmda.go.jp/anzen_pmda/file/
iryo_anzen05.pdf
この中で問題となっている穿刺器具は主に3のタイプ。糖尿病教室や健康増進を啓発するイベントなどで、血糖自己測定の教育などに使われたケースも報告されている。針は交換していたが先端キャップをアルコールで拭いて消毒してから複数回使用していた例が多いという。
こうした穿刺器具は血糖自己測定を行うとき患者個人が使用することを想定しており、添付文書の禁忌欄にも「患者個人の使用に限り、複数の患者に使用しないこと」と記載されている。本体にも「複数患者使用不可」のシールが貼ってある。また、上記の1や2のタイプであったり、患者個人のみで使っていれば感染のおそれはない。
発端となったのは、5月22日に島根県の診療所で、複数の患者に採血用の穿刺器具を使い回していたことが発覚したこと。使用されたのは、本来は患者個人が使用するための穿刺器具だった。医療スタッフが器具の使い方を誤認しており、結果として同じ穿刺針を「使い回し」してしまった。県によると針を交換しないで検査を行った事例はこの1件だけだった。
厚労省はこれを重くみて5月22日付で「採血用穿刺器具(針の周辺部分がディスポーザブルタイプでないもの)の取扱いについて」とする文書で注意を喚起した。
これ以前の2006年3月には、このタイプを複数患者に使わないよう注意を促す通知を、都道府県や医療関係団体に出していた。理由となったのは、「針」を交換しても「針周辺部分」に付着する血液からの感染が否定できないこと。
英国で介護施設でB型肝炎の感染との関係が疑われる旨の発表があり、カナダでは注意喚起が行われた。厚労省はこうした海外での事例をふまえ、器具の製造販売業者に「複数患者使用不可」のシールを張り付けることなどを指導するとともに、各都道府県に「複数の患者に使用しないよう特段の注意を払うこと」と注意喚起していたiryo_anzen05.pdf
・ | 社団法人日本糖尿病学会 微量採血のための穿刺器具の取り扱いについて |
・ | 微量採血のための穿刺器具(針の周辺部分がディスポーザブルタイプでないもの)に関する報道発表資料(厚生労働省) |
・ | *新しい肝炎総合対策の推進(厚生労働省) ウイルス性肝炎とその感染予防について、一般向け、医療関係者向けに詳しく掲載してい |
[ Terahata ]
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