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2022年11月29日
持続血糖測定(CGM)は低血糖を減らすのに有用 1型糖尿病患者への低血糖予防の教育も必要
- キーワード
- 1型糖尿病 インスリンポンプ/CGM 血糖自己測定(SMBG)
京都医療センターなどは、持続血糖測定(CGM)を用いた低血糖予防の教育の有効性を立証したと発表した。
研究では、低血糖予防の教育をともなうCGMの使用は、インスリンの注射を行なっている1型糖尿病患者が低血糖になっている時間を減らすのに役立つことが示された。
CGMに表示される「トレンド矢印(血糖変動速度)」を見て、早めに対処することが重要としている。
持続血糖測定(CGM)を用いた低血糖予防の教育の有効性を立証
京都医療センターなどは、持続血糖測定(CGM)を用いた低血糖予防の教育の有効性を立証したと発表した。低血糖予防の教育をともなうCGMの使用は、インスリンの注射を行なっている1型糖尿病患者が低血糖になっている時間を減らすのに役立つとしている。 11月24日にハイブリッド形式で開催された記者会見では、研究代表を務めた京都医療センター臨床栄養科臨床栄養科長・糖尿病センター医長の村田敬氏らが登壇した。 「インスリン療法の最大の副作用は低血糖です。低血糖は、生活の質を悪化させ、労働生産性を損なうだけでなく、最悪の場合、重大な事故や突然死の原因となります」と、研究グループでは述べている。 「従来は1日に数回、指先からの採血を用いた血糖自己測定(SMBG)が行われてきましたが、低血糖を予防するには十分ではありませんでした。そこで、急速に使用が広まっている持続血糖測定(CGM)を活用することを検討しました」。 CGMは、皮膚に取り付けたセンサーにより、おおよその血糖値を表示するだけでなく、画面のトレンド矢印により血糖変動速度を表示することを可能にするとしている。 このCGMをどのように活用すれば低血糖を予防できるか、その教育方法の有効性を立証するため、日本全国19施設の糖尿病専門医と臨床研究専門家がネットワークを組んで、臨床研究「1型糖尿病におけるフラッシュグルコースモニタリングが低血糖も含む血糖コントロールとQOL改善に及ぼす効果の研究(ISCHIA研究)」を実施した。CGMの使用により1日の低血糖の時間が減少
対象となったのは、インスリン頻回注射を行っている成人の1型糖尿病患者104人。研究は2019年2月に承認され、同年3月に組み込みが開始され、2021年1月に観察終了した。 研究グループはCGMを使用する患者には、1日10回以上、センサーの表示を確認し、下向きの矢印が出ていて急速に血糖値が低下している状況では、実際に低血糖の症状が出現する前に補食するなど、低血糖の予防対処について教育した。 対象となった患者は、十分な教育を受けた上でCGMを使う治療の期間(介入期:84日間)と、従来のSMBGを使う治療の期間(対照期:84日間)の、いずれかを先に受け、もう一方を後で受けた(クロスオーバー試験)。 研究参加に同意した104人の患者のうち、102人が2群に無作為割付され、すべての試験過程を完了した93人分のデータが解析された。 その結果、CGMの使用により、主要な評価項目である低血糖時間(70mg/dL未満)は、従来の指先で測るSMBGと比べて、1日あたり3.1時間(12.9%)から2.4時間(10.1%)に22%減ることが立証された。 さらに、重症低血糖リスクの高い患者の割合は、23.7%から8.6%に64%減ることが分かった。
CGMを使う期間(84日間)と、SMBGを使う期間(84日間)を設け、クロスオーバー試験を実施
CGMの使用により低血糖時間(70mg/dL未満)が減少
CGMの使用により低血糖時間(70mg/dL未満)が減少
出典:国立病院機構京都医療センター、2022年
低血糖予防の教育をともなうCGMの使用は有用
「以上より、低血糖予防教育をともなう持続血糖測定器の使用は、インスリンの注射を行なっている1型糖尿病患者が低血糖になっている時間を減らすことに役立つことが立証されました」と、研究グループでは述べている。 研究結果は、国際糖尿病連合(IDF)が刊行する糖尿病専門誌「Diabetes Research and Clinical Practice」にオンライン掲載された。 また、今回の研究で使用された教育用資材「FreeStyleリブレの正しい使い方」は、インターネット上で公開されており、誰でも利活用できるようになっているという。 今回の研究は、1型糖尿病患者を対象に行われたものだが、「持続血糖測定(CGM)は2型糖尿病患者さんでも有用と考えられます」と研究者は付け加えている。海外では、CGMが2型糖尿病患者の血糖コントロールを改善し、低血糖も減少したという研究が発表されている。 なお、今回の研究は、日本医療研究開発機構(AMED)循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業「持続血糖モニタリング(FGM/CGM)の血糖管理における精度・有用性の検証及び健康寿命促進のための血糖変動指標の探索」、および日本IDDMネットワークの1型糖尿病研究基金研究支援により提供された研究資金により実施された。 国立病院機構 京都医療センター 糖尿病センターPrevention of hypoglycemia by intermittent-scanning continuous glucose monitoring device combined with structured education in patients with type 1 diabetes mellitus: A randomized, crossover trial (Diabetes Research and Clinical Practice 2022年11月13日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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