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2022年02月04日

「スマートインスリンペン」を発売 インスリン投与データを自動的に記録しスマホアプリと連携

 ノボ ノルディスク ファーマは、投与データを本体に自動的に記録し、スマートフォンのアプリとも連携できる機能を搭載した「スマートインスリンペン」であるインスリンペン型注入器「ノボペン6」、「ノボペン エコー プラス」を発売した。

日本ではじめての「スマートインスリンペン」

 「ノボペン6」および「ノボペン エコー プラス」は、インスリン投与データを本体に自動的に記録することができる、日本ではじめての「スマートインスリンペン」(インスリンペン型注入器)。

 血糖値やグルコース値が記録できる糖尿病管理アプリと連携する機能が新たに追加された。これにより、スマートインスリンペンを利用する患者は、自身の経時的なインスリン投与データを振り返ることができる。

 スマートインスリンペンは、インスリンの投与データ(時間、量)を自動的に記録し、そのデータをスマートフォンのアプリなどに無線転送することができるインスリンペン型注入器の総称。

 スマートインスリンペンを利用することで、患者はインスリン投与データを正確に記録することが可能となり、医療従事者との話し合いを充実させ、より良い治療効果と長期的な転帰の改善に結びつけるための用量調整の支援が可能になると期待されている。

スマートインスリンペン

「ノボペン6」、「ノボペン エコー プラス」の特徴
  • 「最後に注入ボタンを押したときの設定単位数およびそのときからの経過時間」を、最大99時間59分59秒まで本体のメモリー表示で確認できる。
  • 直近の最大800回分の注入ボタンを押した履歴を本体内部に自動記録できる。
  • 注入ボタンを押した履歴 (時間と投与量) をNFC(近距離通信システム)対応のスマートフォンアプリに無線転送できる。
  • 3mLのペンフィルカートリッジで販売されている5種類のインスリンアナログ製剤(フィアスプ注、ノボラピッド注、トレシーバ注、レベミル注、ノボラピッド30ミックス注)を使用できる。

「ノボペン6」、「ノボペン エコー プラス」と連携できる糖尿病管理アプリ
  • アークレイ「スマートe-SMBG」
  • アボット「FreeStyleリブレLink」 持続グルコースモニタリングシステムである「FreeStyleリブレ」をスキャンするためのスマホアプリ
  • H2「シンクヘルス」
  • テルモ「メディセーフデータシェア」
  • ロシュDCジャパン「マイシュガーアプリ」
* 機器連携開始のタイミングは、パートナー企業により異なる。

血糖値が正常範囲内にとどまる時間を増やすことが糖尿病治療の課題

 日本糖尿病学会は、2020年に発表した第4次「対糖尿病戦略5ヵ年計画」に、「日本に1,000万人いると推計されている糖尿病患者1人1人に最適な1,000万とおりの個別化医療構築を目指す」と記している。

 糖尿病患者のQOL(生活の質)を維持・改善させ、糖尿病でない人との寿命の差を短縮させるためには、個々の患者の病態と患者のおかれているさまざまな状況を考慮した「個別化医療の推進」が不可欠だとしている。

 過去10~15年の間に、多くの革新的なインスリンアナログ製剤が開発されたが、糖尿病患者は、今なおインスリンの投与を手入力で記録している。

 血糖値が正常範囲内にとどまる時間(TIR)は、強化インスリン療法を実施している1型糖尿病患者では、1日当たり平均12時間程だという報告がある*。血糖値が正常範囲内にとどまる時間をいかに増やすかは、糖尿病の治療の課題になっている。

インスリンを投与した時間と投与量を正確に記録しアドヒアランスを向上

 「ノボペン6」と「ノボペン エコー プラス」は、これまでにスウェーデン(2021年)、デンマーク(2021年) 、オーストリア(2021年)、アイスランド(2021年)で発売されている。

 スマートインスリンペンを使用して実施されたスウェーデンの研究結果によると、1型糖尿病の患者で血糖値を正常範囲内に維持できる時間が1日当たり平均で約2時間増加した。低血糖(54mg/dL未満)の時間も減少した。**

 スマートインスリンペンとグルコースデータを患者と医療従事者が共有することで、1型糖尿病患者と医療従事者との対話の質の向上を期待できるとも報告されている。**

 同社が2月1日にWeb開催したスマートインスリンペン発表会では、東京女子医科大学内科学講座 糖尿病・代謝内科分野准教授の三浦順之助氏が、「スマートインスリンペンによるアドヒアランス向上と治療効果への期待」と題し講演した。

 「アドヒアランス」とは、患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定にしたがい治療を進めること。以前は、医療者が決めた治療方針に患者がしたがう「コンプライアンス」という考え方が中心だったが、患者自身が積極的に治療に参加することで、より良い治療を行えるようになるという考え方に変わってきた。そのため患者と医療者の対話によるコミュニケーションは大切になる。

 「血糖値が正常範囲内にとどまる時間の増加は、血糖コントロールの改善に寄与することを示唆しています。より良好な血糖コントロールは、糖尿病関連合併症リスクの低下につながる可能性があります」と、三浦氏は述べている。

 同社では「糖尿病の管理には持続的なモニタリングが必要ですが、スマートインスリンペンにより、インスリン療法を行っている糖尿病患者さんが、インスリンを投与した時間と投与量を正確に記録することができるため、インスリンの打ち忘れの軽減やアドヒアランスの改善が期待できます。今回の2つのスマートインスリンペンの導入により、糖尿病患者の健康と生活の質(QOL)の向上に努めてまいります」と述べている。

ノボ ノルディスク ファーマ

* Validation of Time in Range as an Outcome Measure for Diabetes Clinical Trials (Diabetes Care 2019年3月)
** Increased Time in Range and Fewer Missed Bolus Injections After Introduction of a Smart Connected Insulin Pen (Diabetes Technology & Therapeutics 2020年10月6日)

第4次「対糖尿病戦略5ヵ年計画」(一般社団法人 日本糖尿病学会)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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