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2005年11月14日

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世界糖尿病デー

インスリン療法を続けて半世紀/第3回「リリー インスリン50年賞」表彰式

 日本イーライリリーは、世界糖尿病デーである11月14日に、第3回「リリー インスリン50年賞」の表彰式を開催した

 「リリー インスリン50年賞」は、インスリン療法を開始して50年以上になる糖尿病患者を表彰するもので、米国リリー社によって1974年に設立された。これまでに米国を中心に約1,500名の患者が受賞しており、一昨年より日本で募集と表彰が開始された

 今回受賞したのは東京都の柿澤静子さん(1932年生)と、静岡県の石山凡夫さん(1933年生)。

 柿澤さんは、看護学校卒業後に看護師として働き始め、まもなく糖尿病を発症、19歳の時にインスリン治療を開始した。主治医・同僚の協力もあり、退院後、看護職に復帰し、結婚後二児をもうけた数年の育児期間を除いて、看護師として勤め続けた。

 仕事、家事・育児で忙しい生活の中、良好な血糖コントロールを維持し、64歳で退職後も趣味の社交ダンス、ペン習字を楽しみながら、規則正しい生活を送っているという。

 石山さんは、大学在学中の19歳の時に1型糖尿病を発症し、インスリン治療を開始。輸入インスリン製剤の英文の添付文書の翻訳、自ら調合した尿糖試験用試薬での自己尿糖測定、自分用の主食分量一覧表の作成など、さまざまな工夫をして血糖コントロールを行ってきたという。

 糖尿病についての理解を深めながら、小学校教師として長年勤務し、地元の民話伝説を子どもたちと集める「民話クラブ」を運営するなど教育に情熱を注ぎ、現在は地元のシニア・アンサンブルに参加し、奥様からのプレゼントであるテナーサックスの練習に余念がない。

 1950年代のインスリン療法には、現在では考えられない困難がともなった。現在使われているヒトインスリンのアミノ酸組成を遺伝子工学的に一部組み替えたヒトインスリン製剤はまだ開発されておらず、治療には動物インスリン製剤が使われていた。また、患者の病態に合わせたさまざまなタイプのインスリン製剤はなかった。

 血糖測定を行える場所も少なく、東京でも大学病院以外で血糖測定を行える場所は4、5ヵ所だけで、採血は耳朶をランセットなどで刺して行われるので患者の苦痛も大きく、所要時間も40分以上かかったという。

 表彰式では名前を刻印した純銀製の特製メダルが贈呈され、受賞者の長年の努力が称えられた。インスリン治療を始めた頃を思い返し、柿澤さんは「当初は糖尿病の情報が少なく勉強するのに苦労した」などと、石山さんは「糖尿病のある生活を自分への挑戦ととらえて、積極的に工夫した」、「信頼できる主治医・看護師さん・栄養士さんに出会えたことに感謝している」などと語った

 現在は、患者の病態に合わせてさまざまなタイプのインスリン製剤が治療に使われており、持ち歩きができカートリッジ交換や単位修正が容易にできる自己注射用ペン型注入器、より細く苦痛の少ない注射針、患者が自分で血糖値を測ることができ20秒以内に測定値がわかる血糖測定器などもあり、糖尿病患者にとってよりインスリン療法を行いやすい環境が整っている。

 50年前にインスリン療法を開始した受賞者の談話は、現在治療を続けている患者への大きな励みとなり、インスリン療法の進歩を知る上でも貴重なものといえる。

日本イーライリリー(株)

参考情報
私の糖尿病50年―糖尿病医療の歩み
1. 40分かかって血糖値がでた
2. 診断基準がないのに診断していた
3. 輸入が途絶えて魚インスリンが製品化

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