糖尿病の医療費・保険・制度

民間の医療保険を考える
公的制度で新規対応できない医療費の備えの一つが、「民間の保険」です。糖尿病と診断されていると保険の加入が難しい場合がありますので、「すでに保険に加入している場合」と「保険未加入の場合」にわけてお話します。


すでに保険に加入している場合は、保障内容をチェック
糖尿病と診断される前に加入している生命保険や医療保険がある場合はそれを継続することで対応します。生命保険も医療保険も加入後の状況の変化が遡って契約に影響を及ぼすことはありません。 ただし、今の保障で十分かどうか不安な方もおられると思います。まずは今の保障内容をしっかり確認してみましょう。
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 高度な医療技術を用いた治療法には、公的医療保険の対象となっていないものも多くあり、全額自己負担となります。そうした場合に備え、厚生労働省が「先進医療」と認める治療に対して保障が受けられる保険もあります。
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 日帰りや1泊の短期入院の場合でも保障されるか確認してみましょう。最近では、日数に関わらず一定の給付金が支払われる保険も少なくありません。
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 以前は、保障対象となる手術が保険会社の指定する88種類(または89種類)に限定されている保険が主流でしたが、現在は、公的医療保険が適用される手術(1,000種類以上)を対象とする保険が主流となっています。
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 がんの手術や放射線治療、抗がん剤治療は、入院が必要なこともありますが、通院で済む場合も少なくありません。そんな場合でもしっかり保障が受けられると安心です。
必要な保障が備わっていなかったり、逆に保障を掛けすぎていたりする場合は保険を見直しましょう。 糖尿病の持病があっても加入しやすい保険をプラスして、現在ご加入の保険で足りない分を補う方法もありますので、不安な方は、一度、保険の専門家に相談してみましょう。
保険未加入の場合でもあきらめないで
糖尿病の患者さんの場合、健康な方と比べて症状の悪化や入院などのリスクが高いことから一般の保険への加入が難しいのが現状です。しかし、対応してくれる選択肢はありますのであきらめる必要はありません。

①特別条件つき
保険会社が特別な条件を提示する場合があり、承諾すれば保険への加入が可能となります。特別な条件には、保険料の割り増しや、特定の病気を保障対象外とすることや、一定期間保険金が削減されることなどがあります。

②引受基準緩和型保険
糖尿病と診断され外来で治療を続けているという方や、入院・手術をしてから数年たっているという方でも入りやすい「引受基準緩和型」という保険が登場しています。「限定告知型保険」とも呼ばれ、保険に加入するときに告知する項目が一般の保険に比べて少ないのが特徴です。持病や入院歴がある場合も告知項目に該当しなければ申し込みができます。糖尿病の治療中でも条件を満たせば大丈夫です。

血糖値管理が良好なら、通常の医療保険に入れる可能性も!

血糖値等の管理を保険会社が指定するアプリで行いながら治療を継続し、血糖コントロールが良好であれば保険から還付金を受け取れるという保険も登場しています。保険期間は5年と短いですが、HbA1cの値を一定以下に保つことができたなどの所定の条件を満たせば、通常の医療保険に移行できるかもしれないという保険です。血糖値管理を頑張る皆さんにはうれしい仕組みかもしれません。

③糖尿病患者向け少額短期保険
保険金額が少額で、保険期間が1年以内の「少額短期保険」で、糖尿病患者さん向けに開発されてるものもあり糖尿病患者さんにとって間口が広く、1型2型などの糖尿病のタイプを問わず89歳まで加入できます。1年ごとに更新する必要があります。

糖尿病患者さんが入れる可能性のある保険について、詳しくはこちら▼
日本IDDMネットワーク「糖尿病患者でも入れる可能性のある保険一覧」

糖尿病患者ん向けにはどんな保険がある?
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柳澤 美由紀

監修 柳澤 美由紀
「専門知識と真心で、日本の家計を元気にする」を使命に活動するファイナンシャル・プランナー(CFP® 1級FP技能士)。家計についての相談サービス「家計の窓口」や講演活動のほか、著書も多数。

2021年03月更新

※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。

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