糖尿病の医療費・保険・制度

がん・認知症、収入減に備える
 今や日本人の2人に1人が発症するといわれる「がん」。また、高齢化とともに患者数が増えている「認知症」に備えておきたいという人は少なくないでしょう。これらの疾患は、糖尿病との関連も示唆されています。がんの場合、糖尿病があっても加入しやすい民間の医療保険も多くあります。
がんへの備え
 がんになったときの医療費も、公的制度を基本に考えます。入院費の平均は、日本病院協会によると下記のようになっています。しかし、保険診療であれば高額療養制度が適用されるので、実質の患者負担額は所得により異なります。年収700万円であれば、月9万円程度となります。

入院医療費の平均
 胃がん 953,595円 
 結腸がん 924,594円 
 直腸がん 1,022,965円 
 気管支および肺のがん 855,040円 

出典:日本病院協会 2019年度第4四半期の医療費

 がん治療費の自己負担を民間の保険で備えたい場合には、がん保険に入るか、医療保険にがん関連の特約を付加しましょう。いずれも、糖尿病と診断されたあとでも入ることができるものがあります。引受基準緩和型の医療保険にもがん関連の特約があるケースもありますが、がん保険は比較的低コストなので基準緩和型の医療保険に加入したうえで、新たにがん保険に入ったほうが有利な場合があります。

 がん保険も医療保険のがん関連の特約も、がんにかかってしまうと新たに入ることができません。がんに関して不安があるのであれば、早めに検討しておくことが大切です。

 また、すでにがん保険に加入している方は、加入している保険のチェックが必要です。技術の進歩などで入院日数が短くなり、通院治療が多くなっているため、加入している保険がそうした状況の変化に対応しているかどうかを確認して、保険の見直しをするか、今の保険を残し新たな保険に加入することを検討します。
認知症への備え
 認知症に対応する保険には認知症保険と介護保険とがあります。認知症保険は民間介護保険の一種で、所定の認知症と診断された場合に一時金や年金が支払われて介護費用などに充当できる定額払いと、認知症患者がけがをしたり、第三者に損害を与えたりした場合のトラブルの実損分を一定の額まで保障する実損払いの二つがあります。
 認知症保険にも糖尿病と診断された方でも簡単なチェックで申し込みができる引受基準緩和型があります。保険会社によって内容は異なりますが、急性心筋梗塞やがんなどで所定の事由に該当した場合に保険料が免除となるような、特定疾病診断保険料免除特約などをつけられるものもあります。また、軽度の段階から保障が受けられたり、認知機能低下を防ぐためのサービスが受けられるような保険もあります。

 一方、介護保険には公的介護保険と民間の介護保険があります。公的介護保険は40歳以上の人は自動的に加入しますが、民間の介護保険の加入は任意です。保障を受ける条件は公的介護保険では要介護または要支援の認定が必要ですが、民間の介護保険は保険会社が定めた要件を満たすと給付が受けられます。また、公的介護保険は自己負担1~3割の現物給付ですが、民間の介護保険は年金あるいは一時金が給付される定額給付となります。民間介護保険に加入する場合、掛けすぎには注意が必要です。
収入減への備え
 病気により、長期間の入院や在宅療養をした場合、収入が減少することがあります。そうした場合の社会保障としては傷病手当金と障害年金があります。傷病手当金は会社員や公務員等のサラリーマンが対象となる健康保険から支給されるものです。病気やケガで4日以上仕事を休んだときに4日目から支給されます。障害年金は障害基礎年金(国民年金)と障害厚生年金(厚生年金)があります。自営業者(第1号被保険者)や専業主婦等の第3号被保険者の場合、障害基礎年金のみの受給となります。

 社会保障を補うものには就業不能保険(所得補償保険)がありますが、糖尿病と診断された場合、加入できる就業不能保険が少ないのが現状です。病気やケガで働けなくなったときが心配なら、元気なうちに備えておくよう心掛けましょう。
 なお、「境界型糖尿病」と判定された方の場合、検査結果の数値によっては損害保険会社が取り扱う所得補償保険に加入できることがあります。興味のある方は保険会社に問い合わせてみましょう。

参考:日本年金機構 厚生障害年金の受給要件


柳澤 美由紀

監修 柳澤 美由紀
「専門知識と真心で、日本の家計を元気にする」を使命に活動するファイナンシャル・プランナー(CFP® 1級FP技能士)。家計についての相談サービス「家計の窓口」や講演活動のほか、著書も多数。

2021年03月更新

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