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2024年04月15日
気候変動による気温上昇が糖尿病リスクを高める エアコンを効果的に使い高温によるリスクを減少
地球温暖化にともなう気温上昇が、糖尿病などにもたらす影響が懸念されている。糖尿病の人の多くは、暑い気候の危険性について十分な注意を払っていないと指摘されている。
エアコンによる効果的な空調により、高温化による死亡リスクを3分の1減少できるという研究も発表された。
糖尿病の人は暑さへの意識を高める必要が
地球温暖化にともない、夏の暑さが糖尿病などの慢性疾患にもたらす影響が懸念されている。日本でも、日中は35℃、夜間でも25℃を超える日が増え、今後も記録的に暑い夏が続くとみられている。 米国内分泌学会の発表によると、糖尿病の人の多くは、暑い気候の危険性について十分な注意を払っていないようだ。同学会では「暑さがどのように糖尿病に影響をもたらすかについて、糖尿病の人はもっと意識を高める必要があります」と注意を促している。 研究は米国のメイヨークリニックによるもの。研究グループは、1966年~2009年に発表された、暑さが糖尿病にどのような影響をもたらすかを調べた152件の研究を解析した。 「とくに高齢の糖尿病患者さんは、発汗能力が低下しており、血糖管理が良好でないと、高温に関連した体調不良になりやすく、高血糖になる場合もあるので注意が必要です」と、同クリニックで糖尿病と内分泌代謝について研究しているエイドリアン ナサール氏は言う。 熱帯夜が続くことで、正常な睡眠の生理機能が妨げられ、十分な睡眠をとれなくなるおそれもある。そうなると、高血圧や糖尿病、心血管疾患などのリスクが高まり、免疫系やメンタルヘルスにも好ましくない影響があらわれるとしている。 ある調査によると、糖尿病のある人の5人に1人は、暑い時期でも、気温が摂氏37℃を超えるまで、暑さに対する積極的な対策を講じないと回答した。エアコンで室温上昇を抑えて対策
エアコンによる効果的な空調により、高温化による死亡リスクを3分の1減少できるという研究が、スペインで発表された。 研究は、バルセロナ国際保健研究所(ISGlobal)が発表したもので、人口動態統計などを分析したところ、エアコンの普及率の高さは、暑さに関連する死亡リスクの減少と関連していることが示された。 真夏日の死亡者数の減少の28.6%、猛暑日の死亡者数の減少の31.5%に、エアコンの普及が関連しているという。 「エアコンによる空調を効果的に利用することは、暑さに対する効果的な社会適応策になります。気候変動が健康にもたらす影響を予測するうえでも重要です」と、同研究所のマリー スクウォドフスカ-キュリー氏は言う。 「しかし、地域によってエアコンの普及率に差があることも分かりました。家庭用エアコンを、もっと手頃な価格で入手できるようにすることも望まれます」としている。 スペインでも、世界の多くの地域と同じように、この数十年で気温が上昇している。年間の平均気温は、10年あたり0.40°C上昇しているという。地球温暖化にともなう気候変動は健康に広く影響
気温上昇が死亡リスクを上昇
地球温暖化にともなう気候変動による、夜の気温上昇が、死亡リスクを最大で60%上昇させるおそれがあることが、日本・中国・韓国・米国・ドイツの研究者による国際研究で示されている。 熱帯夜が続くことで、正常な睡眠の生理機能が妨げられるおそれがあり、十分な睡眠をとれなくなると、高血圧や糖尿病、心血管疾患などのリスクが高まり、免疫系やメンタルヘルスにも好ましくない影響があらわれるとしている。 「夜間の気温上昇のリスクはしばしば軽視されてきましたが、熱帯夜の頻度は世界中で、今世紀中に30%以上増えると予測されており、その影響は深刻です」と、米ノースカロライナ大学国際公衆衛生大学院のチョウユウ チャン氏は言う 研究グループは、日本・中国・韓国の28都市の1980年~2015年の気温上昇と死亡率との関連を調査し、それぞれの国が政策として掲げる温室効果ガスの削減のシナリオに合わせて、2つの気候変動モデルを作成した。 「気候変動による気温上昇によって引き起こされる健康リスクに対策するために、空調設備の整備を支援するなど、人々の適応を助ける効果的な戦略が必要になります。各国が力を合わせて世界規模で対策することが望まれます」と、チャン氏は指摘している。気温上昇は脳卒中リスクも上昇
地球温暖化にともなう気候変動は、脳卒中による死亡や障害も増加させている可能性があるという別の研究を、米国神経学会(AAN)も発表した。 これまで気温が低いと血管が狭くなりやすく、血圧が上昇しやすいことが知られているが、この研究では気温の上昇も危険因子になりえることが示された。急激な気温の変化に高血圧や糖尿病などが加わると、脳卒中のリスクは上昇するという。 「気候変動により世界中で、とくに高齢者の多い地域や、医療格差の大きい地域で、脳卒中の負担が増加している可能性があります。地球温暖化にともなう気候変動は、人々の健康に広く影響をもたらしていると考えられます」と、中国の中南大学および米国のカリフォルニア大学で脳神経外科を研究しているクアン チェン氏は言う。 研究グループは、200以上の国と地域の30年間の医療記録を調査し、最適な気温ではない場合の脳卒中による死亡者数と関連する障害による負担の増加を解析した。Managing Diabetes in the Heat: Potential Issues and Concerns (Endocrine Practice 2010年5月-6月)
Getting hot about diabetes--Repeated heat exposure improves glucose regulation and insulin sensitivity (Acta Physiologica 2020年6月20日)
Air Conditioning Has Reduced Mortality Due to High Temperatures in Spain by One Third (バルセロナ国際保健研究所 2023年12月18日)
Drivers of the time-varying heat-cold-mortality association in Spain: A longitudinal bservational study (Environment International 2023年12月)
Risk of death rises as climate change causes nighttime temperatures to climb (ノースカロライナ大学 2022年8月8日)
The effects of night-time warming on mortality burden under future climate change scenarios: a modelling study (Lancet Planetary Health 2022年8月)
The effects of night-time warming on mortality burden under future climate change scenarios: a modelling study (Lancet Planetary Health 2022年8月)
More Than Half A Million Global Stroke Deaths May Be Tied To Climate Change (米国神経学会 2024年4月10日)
Burden of Stroke Attributable to Nonoptimal Temperature in 204 Countries and Territories: A Population-Based Study, 1990-2019 (Neurology 2024年5月14日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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