ニュース
2024年04月11日
子供の頃から肥満対策が必要 学校で座りっぱなしの時間が減ると子供の肥満は改善 糖尿病を予防

小学校の教室で座ったまま過ごす時間をなるべく減らすことが、子供の肥満を減らすのに役立つことが明らかになった。
成人だけでなく子供も、座位行動を減らし身体活動を増やすことが、プラスの影響をもたらすことが示された。
子供の肥満は、成人後に2型糖尿病などに影響をもたらす。早期から介入することが重要であることが示されている。
日本でも肥満のある子供は増加している。文部科学省の調査によると、肥満傾向の子供の割合は、男子では小学5年生で15%以上、中学3年生で11%以上に上る。
座位行動を減らし身体活動を増やすと子供の肥満は改善
小学校の教室で座ったまま過ごす時間をなるべく減らすことが、子供の肥満を減らすのに役立つことが、英ユニヴァーシティ カレッジ ロンドンの新しい研究で明らかになった。 研究は、小学生の肥満に与える影響をはじめて科学的に評価したもので、成人だけでなく子供も、親の社会経済的地位などに関係なく、座位行動を減らし身体活動を増やすことが、体重にプラスの影響をもたらすことが示された。 「このアプローチは、子供の健康を改善するために、安価で効果的な方法となる可能性があります」と、同大学スポーツ・運動・健康研究所のフラミニア ロンカ氏は言う。 研究グループは今回、英国の州立小学校30校で、運動量を増やすのではなく座ったまま過ごす時間を減らすことが、子供の身体活動と肥満におよぼす影響を調査した。 調査に参加した学校のうち26校では、教師や指導者が授業にアクティブな動きを組み込むよう訓練を受け、対照となった4校では、通常通りの授業が続けられた。子供の座位行動や低レベルの身体活動を減らすプログラムを開発
その結果、体の動きをより多く取り入れた授業をした学校では、学年の1学期と3学期のあいだで、子供たちのウエスト身長比の平均は8%減少し、肥満傾向が改善した。ベースラインでウエスト身長比が高かった子供ほど、改善が大きい傾向が示された。 同研究所は、教育課程に障害が起こらないようにしながら、教室内で立ったり歩いたりといった子供たちの身体活動を促す「アクティブ ムーブメント プログラム」を開発している。プログラムは、子供たちの通常の学校生活での、座位行動や低レベルの身体活動を減らすよう設計されている。 「子供たちが授業中に、立ち上がって質問に答えたり、学習の一環として教室を歩き回ったりするなど、創造的なやり方で教育に身体的な動きを導入することで、子どもたちの座位行動を大幅に減らすことができることが示されました」と、ロンカ氏は言う。 「英国では、6年生の子供の22.7%が肥満傾向で、2012~2013年の調査の18.9%から増加しています。小児期の肥満傾向は、成人してから肥満や生活習慣病の増加につながるという報告があり、子供の頃からの肥満対策は重要です」としている。 的ではなく、20%は運動不足だった。子供の肥満に早期から介入 保護者や周囲の大人も参加
子供の肥満に対し、早期から介入することが重要であることは、スウェーデンのカロリンスカ研究所の研究でも示されている。
研究グループは、スウェーデンで4歳~6歳のときに肥満傾向と判定された170人以上の子供を対象に、約4年間追跡して調査した。
研究には医師や小児科医、栄養士なども参加し、子供のいる家庭の健康的な生活スタイルを促進する方法の開発に焦点があてられた。
ストックホルムの小児クリニックを通じて、保護者を含めて子供の食事や運動などに関するサポートを提供する群など、3つの条件に割り付けてランダム化比較試験を実施した。
その結果、3つの群の子供のすべてで体重が改善し、肥満の減少がみられたが、もっとも効果が高かったのは、保護者と子供にサポートを提供し、電話によるフォローアップなど手厚い対応を行った群だった。
この3番目の群では、より多くの子供たちが、血中脂質や血糖の値が良くなるなど、代謝の健康状態が改善し、体重にも臨床的に意味のある改善がみられた。
「子供の肥満に早期から対策することは、短期的にも長期的にも効果があります。食事や運動の管理などの基本的なことを含めて、子供たちに新しい行動を教え、保護者や家族、幼稚園や学校、周囲にいる大人などにも参加してもらい、どのようにコミュニケーションをとるかが課題になります」と、同研究所およびウプサラ大学小児科パウリナ ノヴィッカ氏は言う。
「成人してからの肥満の治療は、困難がともないます。就学前の小児期から肥満対策を開始するのは、10代以降に対策をはじめるよりも、はるかに効果的です。小児やその保護者などにも参加してもらい、肥満に対する集中的な対策を行うのは、安全で効果的であることが示されました」としている。
Decreasing Sedentary Time during Lessons Reduces Obesity in Primary School Children: The Active Movement Study (Obesity Facts 2024年2月5日)
Early treatment of child obesity is effective (カロリンスカ研究所 2023年9月18日)
A long-term follow-up of treatment for young children with obesity: a randomized controlled trial (International Journal of Obesity 2023年10月25日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
糖尿病と肥満の関連記事
- [高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮
- ニンジンやカボチャが血糖値の上昇を抑制 糖尿病の人が食べたい野菜 どう食べると良い?
- 座っている時間が糖尿病や肥満のリスクを上昇 わずか10分間の運動で血管が健康に 睡眠も改善
- 糖質の多い甘い飲料が糖尿病や心臓病のリスクを上昇 高カロリーの飲み物を減らす2つの方法
- 少し食べすぎただけで糖尿病? ストレスが糖尿病や肥満の原因に ウォーキングなどの運動でストレスを解消
- 大豆を食べると糖尿病リスクが低下 心臓病や脳卒中も減少 大豆タンパクは腸内細菌にも良い
- 早い時間に食事をとると糖尿病リスクは減少 「何を食べるか」だけでなく「いつ食べるか」も重要
- 糖尿病ネットワーク【1年間に多く読まれたニュース トップ10】
- 年末年始は糖尿病の管理が難しい? 連休を上手に乗り切るための「8つのヒント」
- アルコールを適量飲んでいる人は糖尿病や心臓血管病のリスクが減少 ただし少しでも飲みすぎると健康は悪化