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2024年02月16日

糖質の多い甘い飲料の飲みすぎは糖尿病リスクを高める ウォーキングなどの運動では相殺できないおそれが

 コーラやジュース、砂糖入りの缶コーヒーなど、糖質の多い高カロリーの甘い飲料を飲みすぎる習慣があると、ウォーキングなどの運動を習慣として行っていても、心血管疾患のリスクは減少しないことが明らかになった。

 糖質の多い高カロリー飲料を飲むのをやめて、無糖のお茶やコーヒーなどに置き換えると、2型糖尿病のリスクは減少することも確かめられた。

甘い高カロリー飲料を飲みすぎると運動の効果が相殺される

 コーラやジュース、砂糖入りの缶コーヒーなど、糖質の多い高カロリーの甘い飲料を飲みすぎる習慣があると、ウォーキングなどの運動を習慣として行っていても、心血管疾患のリスクは減少しないことが、カナダのラヴァル大学などの研究で明らかになった。

 研究グループが、10万5,148人を約30年間追跡して調査している大規模な研究のデータを調べたところ、高カロリー飲料を1日に2回以上飲んでいる人は、身体活動レベルに関係なく、心血管疾患のリスクが高いことが示された。

 「世界保健機関(WHO)の運動ガイドラインでは、成人はウォーキングなどの活発な運動を、週に150~300分行うことが勧められています。運動や身体活動を少し行っただけでも、何もしないよりはずっと良いことも分かっています」と、同大学薬学部のジャン フィリップ ドルアン シャルティエ教授は言う。

 「しかし、運動を習慣として行っている人でも、高カロリーの飲料を摂取していると、運動の効果は相殺されてしまうことが示されました」としている。

高カロリー飲料を1日に2回以上飲むと心血管疾患リスクが1.2倍に上昇

 研究グループは今回、米国で実施されているコホート研究である「看護師健康調査」に参加した6万5,730人の女性と、「医療従事者追跡調査」に参加した男性3万9,418人のデータを解析した。

 その結果、糖質の含まれる高カロリー飲料を1日に2回以上飲んでいる人は、まったく飲まない人に比べ、心血管疾患のリスクが1.21倍に上昇することが明らかになった。

 活発なウォーキングなどの運動を週に150分以上(7.5メッツ・時以上に相当)行っており、運動ガイドラインの推奨を満たしている人でも、高カロリー飲料を飲んでいる人は、心血管疾患のリスクが1.18倍に上昇した。

低カロリー甘味料を利用するとリスクは上昇しない

 さらに、低カロリー甘味料を使用した飲料については、心血管疾患のリスクの上昇と関連しないことも分かった。

 「糖質の多い高カロリー飲料の代替として、低カロリー甘味料を使用した飲料を利用するのは良い方法です」と、ドルアン シャルティエ教授は言う。

 「ただし、喉が渇いたときに勧められるのは、糖質を含まない純粋な水やお茶です」としている。

 なお今回の研究では、カフェインや糖質などが含まれるエナジードリンクについては考慮されていない。エナジードリンクは、低糖質のものも売られているが、その効果や安全性を検証した研究は少ないとしている。

 エナジードリンクに含まれるカフェインや炭酸の効果で、元気がでる感覚や爽快感を味わえるが、カフェインの含有量が多いため、飲みすぎによって健康を害するおそれもあると指摘している。

コーラやジュースの飲みすぎを控えて体を活発に動かすことが大切

 「今回の研究で、推奨されている量の運動をこなしている人でも、高カロリー飲料を飲むのを習慣にしていると、心血管疾患のリスクは十分に下がらないことが示されました」とドルアン シャルティエ教授は言う。

 「ただし、運動を行っても効果がないというわけではありません。高カロリー飲料を飲む習慣があり、運動習慣のない運動不足の人では、心血管疾患のリスクは1.47倍ともっとも高くなりました」。

 「コーラやジュース、砂糖入りの缶コーヒーなど、糖質が含まれる飲み物の飲みすぎを控えて、身体を活発に動かし、運動を習慣化することが勧められます」としている。

甘い高カロリー飲料を無糖のお茶やコーヒー
に置き換えると糖尿病リスクは減少

 糖質の多い高カロリー飲料を飲むのをやめて、無糖のお茶やコーヒーなどに置き換えると、2型糖尿病のリスクが14%~25%減少するという、別の研究も発表されている。

 逆に、高カロリー飲料によるエネルギー摂取量が5%増えると、2型糖尿病の発症リスクは18%上昇するという。研究成果は、欧州糖尿病学会(EASD)が刊行している「Diabetologia」に掲載された。

 研究は、英国で実施された大規模研究である「EPIC-Norfolk研究」に参加した40~79歳の男女2万5,639人を対象に行われたもの。

 研究グループは、参加者に詳細な食事記録を7日間連続でとってもらった。約11年間の追跡期間中に、847人が新たに2型糖尿病と診断された。

 「糖質の含まれる高カロリー飲料を、1杯だけ水や無糖のお茶、コーヒーに置き換えただけでも、糖尿病のリスクは14%以上減少する可能性があります」と、ケンブリッジ大学英国医学研究審議会(MRC)の主任研究員であるニタ フォロウヒ氏は言う。

 「甘い高カロリー飲料からのエネルギー摂取を、1日の総エネルギー量の10%に減らすと、糖尿病リスクは3%低下します。さらに、5%に減らすと7%、2%未満に減らすと15%、それぞれ糖尿病リスクは低下すると考えられます」としている。

 これまでの研究でも、コーラやジュースなどの糖質が含まれる飲料を飲む習慣は、2型糖尿病のリスクの上昇と関連することが示されている。

WHO身体活動・座位行動ガイドライン要約版の日本語訳 (日本運動疫学会)

Physical activity is insufficient to counter cardiovascular risk associated with sugar-sweetened beverage consumption (ラヴァル大学 2024年2月8日)
Sugar-sweetened or artificially-sweetened beverage consumption, physical activity, and risk of cardiovascular disease in adults: a prospective cohort study (American Journal of Clinical Nutrition 2024年2月6日)
Replacing one serving of sugary drink per day by water or unsweetened tea or coffee cuts risk of type 2 diabetes, study shows (Diabetologia 2015年4月30日)
Prospective associations and population impact of sweet beverage intake and type 2 diabetes, and effects of substitutions with alternative beverages (Diabetologia 2015年5月6日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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