ニュース

2023年10月26日

糖尿病の人はアルコールの飲みすぎにご注意 ノンアルコール飲料を活用すれば飲酒量を減らせる

 ほどよいアルコールは健康に良いことが知られている。適度の飲酒は、ストレス解消やリラックスの効果をもたらし、さらには糖尿病のリスクが減少する可能性もある。

 しかし、適量を超えてアルコール飲料を飲みすぎてしまうと、その健康効果はすぐに打ち消されてしまう。飲みすぎていると、糖尿病をはじめとする、さまざまな疾患のリスクが上昇する。

 飲みすぎを減らすための対策として、アルコールテイストの飲料、いわゆるノンアルコール飲料を利⽤する方法がある。

 ノンアルコール飲料を上手に利用することで、飲酒量が減少し、その効果は長期間続くことが明らかになった。

アルコールは適量を飲むと健康効果が

 「酒は百薬の長」ということわざがある通り、ほどよいアルコールは健康に良いことが知られている。適度の飲酒は、ストレス解消やリラックスの効果をもたらし、さらには糖尿病のリスクが減少する可能性もある。

 しかし、適量を超えてアルコール飲料を飲みすぎてしまうと、その健康効果はすぐに打ち消されてしまう。アルコールを飲みすぎていると、糖尿病をはじめとする、さまざまな疾患のリスクが上昇する。

 アルコール摂取量と糖尿病や関連する疾患のリスクは、「Uカーブ」の関係にあることが示されている。つまり適度な飲酒をしていると、血糖コントロールの状態はむしろ良くなり、糖尿病合併症も減るという報告がある。

 日本人を対象とした大規模調査「NIPPON DATA」でも、2型糖尿病では、適度な飲酒をする習慣のある人は、まったく飲まない人に比べ、心血管疾患などの死亡リスクはむしろ低いという結果が報告されている。

飲みすぎると健康効果は打ち消される

 しかし、注意しなければならないのは、アルコールを飲みすぎてしまうと、その健康効果はすぐに打ち消されてしまうことだ。

 アルコール飲料を飲みすぎると、インスリンが十分に働かなくなるインスリン抵抗性の原因になり、糖尿病の管理が乱れ、高血圧や肥満のリスクも上昇する。肝臓病や脳卒中、心臓病、がんなどのリスクも高くなる。

 「2型糖尿病のある人は、アルコールを少しでも飲みすぎると、高血圧のリスクが上昇することが、1万人以上を対象とした調査で示されています」と、米ウェイクフォレスト大学心臓病学部のマシュー シングルトン氏は言う

 欧州心臓病学会(ESC)も、アルコールを少し飲みすぎただけ、心臓病のリスクが高くなることを示している。とくに糖尿病や肥満、高血圧などの危険因子のある人は、アルコールの飲みすぎにより心不全などの発症リスクが上昇するという。

 また、米国神経学会(AAN)によると、アルコールの飲みすぎは、脳卒中のリスクも高める。20代~30代の人であっても油断はできないという。

飲みすぎると血圧も高くなりやすい

 アルコール飲料を飲みすぎると、血圧も高くなりやすいことが、日本・米国・韓国の成人2万人弱を対象とした研究で明らかになっている。

 米国心臓学会(AHA)の発表によると、毎日のアルコール飲料の摂取量が多いことと、収縮期(最高)血圧と拡張期(最低)血圧の上昇とのあいだに明確な関連があるという。

 アルコールを飲みすぎている人は、最高血圧は4.9mmHg上昇し、高血圧のない成人でも、毎日のアルコール飲料の摂取量が多いと血圧値が上昇した。

 少量のアルコールは、短期的には血管を広げて血圧を下げることがあるが、飲み続けていると、やはり血圧は上昇するという。

ノンアルコール飲料を利用すれば飲酒量を減らせる

飲みすぎを減らすためノンアルコール飲料を活用

 アルコール飲料の飲みすぎを減らすための対策として、アルコールテイストの飲料、いわゆるノンアルコール飲料を利⽤する方法がある。

 筑波大学の新しい研究で、ノンアルコール飲料を上手に利用することで、飲酒量が減少し、その効果は8週間後も持続することが明らかになった。

 アルコール飲料をノンアルコール飲料に「置き換える」ことが、飲酒量の減少につながるとしている。

 ⽇本では「酒類の広告・宣伝及び酒類容器の表⽰に関する⾃主基準」のなかで、「ノンアルコール飲料とは、アルコール度数 0.00%で、味わいが酒類に類似しており、満20歳以上の者の飲⽤を想定・推奨しているもの」とされている、

 お酒の飲みすぎを減らして、高血圧や2型糖尿病などの⽣活習慣病のリスクを減少することは、厚⽣労働省の「健康⽇本21」でも重要な⽬標のひとつになっている。

ノンアルコール飲料を減酒のきっかけに

 研究グループは今回、アルコール依存症の患者などを除いた20歳以上の成⼈を対象に試験を行った。研究に参加した123⼈を介⼊群と対照群に分け、介⼊群にノンアルコール飲料を12週間提供した。

 その結果、介⼊群では対照群に比べ、飲酒量が大きく減り、その効果は提供8週間後も持続することが分かった。

 介⼊群の飲酒量は、介⼊前に比べ介⼊12週⽬時点で、1⽇あたり純アルコール換算で平均11.5g減少していた。

 また、介⼊群のノンアルコール飲料摂取量の増加と飲酒量の減少とに相関がみられ、ノンアルコール飲料がアルコール飲料に置き換わって摂取された可能性が示された。

 研究は、筑波⼤学医学医療系地域総合診療医学准教授および健幸ライフスタイル開発研究センターセンター⻑の吉本尚氏らによるもの。

 「過剰なアルコール摂取を減らすための対策として、ノンアルコール飲料が有⽤であり、ノンアルコール飲料が減酒のきっかけになる可能性があります」と、研究者は述べている。

Alcohol intake and 19-year mortality in diabetic men: NIPPON DATA80 (Alcohol 2009日12月)
Alcohol as a risk factor for type 2 diabetes:A systematic review and meta-analysis (Diabetes Care 2009年11月)
The relationship between alcohol consumption and glycemic control among patients with diabetes:the Kaiser Permanente Northern California Diabetes Registry (Journal of General Internal Medicine 2008年3月1日)
More than 1 drink a day could raise blood pressure in adults with diabetes (米国心臓学会 2020年9月9日)
Moderate drinking of alcohol associated with reduced risk of heart disease and death from all causes, landmark study of older people reveals (モナッシュ大学 2021年11月8日)
Alcohol consumption and risks of cardiovascular disease and all-cause mortality in healthy older adults (European Journal of Preventive Cardiology 2021年10月28日)
Alcohol may be more risky to the heart than previously thought (欧州心臓病学会 2022年5月22日)
Moderate alcohol consumption is associated with progression of left ventricular dysfunction in a European stage B heart failure population (欧州心臓病学会 2022年5月22日)
Routinely drinking alcohol may raise blood pressure even in adults without hypertension (米国心臓学会 2023年7月31日)
Alcohol Intake and Blood Pressure Levels: A Dose-Response Meta-Analysis of Nonexperimental Cohort Studies (Hypertension 2023年7月31日)
筑波大学健幸ライフスタイル開発研究センター
Effect of provision of non-alcoholic beverages on alcohol consumption: a randomized controlled study (BMC Medicine 2023年10月2日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

食事療法の関連記事

play_circle_filled 記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲