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2023年03月14日

糖尿病の人のストレスにこうして対策 ストレスを減らして食事も改善 余暇の活動でストレス解消

 高脂肪・高糖質の食事を好み、食べ過ぎている人は、ストレスの多い生活が原因になっている可能性があることが示された。

 ストレスを改善することで、食事スタイルも良くなる可能性がある。

 毎日の生活で、座ったままの時間を減らし、体を積極的に動かすようにすると、ストレスの影響を減らせることも分かってきた。

ストレスの影響をどれだけ受けているかを知ることが大切

 米カリフォルニア大学が発表した研究で、高脂肪・高糖質の食事を好み、食べ過ぎている人は、ストレスの多い生活が原因になっている可能性があることが示されている。

 ストレスを改善することで、食事スタイルも良くなる可能性がある。

 「私たちはストレスを抱えているとき、どのような食生活となり、結果どうなるのでしょう? 慢性的なストレスにさらされている人が、2型糖尿病や肥満になりやすいことはこれまでも指摘されています」と、同大学精神学部のキルスティン アシュバッハー氏は言う。

 「ストレスの多い仕事に就いている人が、休憩時間や家で、甘い食品や脂っこいジャンクフードをつい口にしてしまったり、高カロリーの食事をしたり、お酒を飲み過ぎてしまうことはよくあることです」。

 「まずはご自分がどれだけストレスの影響を受けているかを知ることが大切です」としている。

ストレスからの回復力を高めれば糖尿病や肥満のリスクを軽減できる

 研究グループは、61人の女性を対象に、1年間にわたり、食事調査などを行った。うち33人は認知症の家族の介護や世話をしていて、慢性的なストレスを抱えており、28人はストレスが少ないと判定された。

 その結果、ストレスの多い女性は、そうでない女性に比べ、高血圧・高血糖・脂質異常・内臓脂肪の蓄積などを特徴とする、メタボリックシンドロームのリスクが高いことが示された。これらは、2型糖尿病、心臓病、脳卒中のリスクを高める要因になる。

 ストレスの多い女性は、2型糖尿病や肥満の要因とされているインスリン抵抗性がある傾向もみられた。さらに、脂肪や細胞のRNAに対する酸化ストレスについても測定した。これは、細胞の老化を早める要因のひとつで、糖尿病などによる死亡リスクの上昇を予測するバイオマーカーになる。

 ストレスの多い人は、高糖質・高脂肪の食品の摂取頻度も高いことが分かった。また、摂食調節に関わる、ストレス関連のマーカーでもある末梢神経ペプチドY(NPY)の値も高かった。

 「慢性的なストレスを治療するためのガイドラインはありません。しかし、ストレスからの回復力を高めることで、2型糖尿病、メタボや肥満のリスクを軽減できると考えられます。新たな治療法の開発が必要とされています」と、アシュバッハー氏は指摘している。

楽しみながら続けられる余暇活動でストレスを解消

 それでは、ストレスを効果的に解消する方法として、どんなものが考えられるだろうか?

 その回答となる研究が発表されている。ウォーキング、サイクリング、テニス、ゴルフ、ダンス、水泳などの運動を、余暇時間に行っている人は、あらゆる原因による死亡リスク、さらには心血管疾患やがんによる死亡のリスクが低いことが、大規模な調査で明らかになった。

 これは、米国国立衛生研究所(NIH)の国立がん研究所(NCI)が、59歳~82歳の成人27万2,550人を対象に調査したもの。対象者には、糖尿病、心臓病、脳卒中、肺疾患、がんなどをもつ人も含まれる。

 「余暇時間に行う運動や身体活動は、どんな種類のものでも、死亡リスクの減少と関連していることが示されました。とくに年齢を重ねた人にとって、楽しみながら続けられる余暇活動をみつけることは重要です」と、同研究所でがん疫学や遺伝学を研究しているエレノア ワッツ氏は言う。

余暇時間に運動をしている人は健康的

 研究グループは、7種類の運動(ウォーキング・ランニング・サイクリング・水泳・その他の有酸素運動・テニスなどのラケットスポーツ・ゴルフ)とレクリエーション活動の影響について調査した。

 その結果、これらの身体活動を任意に組み合わせて毎週行い、推奨されている身体活動量を達成している高齢者は、こうした活動をしていない高齢者に比べ、あらゆる原因による死亡リスクが13%減少することが明らかになった。

 運動の強度が軽めのレクリエーション活動を行っている人でも、推奨されている身体活動量を満たしていなくとも、何も活動していない人に比べ、やはり死亡リスクが5%減少した。

生活スタイルを前向きに改善 座ったままの時間を減らす

 カリフォルニア大学の別の研究では、座ったままの時間を減らし、体を動かすことで、どのような遺伝的な体質の人でも、長寿につながることが示されている。

 長生きをする遺伝子をもっている人も、長生きする可能性が低いとみられる人も、運動を習慣として続けていれば、等しく恩恵を受けられるという。

 「運動不足で、座っている時間が長いほど、死亡リスクが高くなることが分かっています」と、同大学公衆衛生学部のアレクサンダー ポシス氏は言う。

 「遺伝的に長生きする可能性が低いとみられる人でも、座ったまま過ごす時間を減らし、運動を習慣として行うなど、生活スタイルを前向きに改善することで、寿命を延ばせることが明らかになりました」としている。

Chronic Stress Heightens Vulnerability to Diet-Related Metabolic Risk (カリフォルニア大学サンフランシスコ校 2014年4月29日)
Chronic stress increases vulnerability to diet-related abdominal fat, oxidative stress, and metabolic risk (Psychoneuroendocrinology 2014年8月)
Many types of leisure time activities may lower risk of death for older adults (米国国立がん研究所 2022年8月24日)
Association of Leisure Time Physical Activity Types and Risks of All-Cause, Cardiovascular, and Cancer Mortality Among Older Adults (JAMA Netw 2022年8月24日)
Physical Activity May Have a Stronger Role Than Genes in Longevity (カリフォルニア大学サンディエゴ校 2022年8月24日)
Associations of Accelerometer-Measured Physical Activity and Sedentary Time With All-Cause Mortality by Genetic Predisposition for Longevity (Journal of Aging and Physical Activity 2022年8月24日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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