ニュース
2022年12月08日
甘いハチミツが血糖やコレステロールを下げる ハチミツは糖尿病の人にも勧められる?
大さじ2杯のハチミツを毎日食べると、血糖値やコレステロール値などが改善し、心血管代謝を健康にするのに役立つ可能性があるという研究を、カナダのトロント大学が発表した。
ハチミツには、糖質以外に、ビタミン類やミネラル類、アミノ酸、有機酸、ポリフェノールなども含まれる。抗酸化などの生理活性作用を期待できるとしている。
食べ過ぎに注意しながら、適量を毎日摂ることは勧められるとしている。
ハチミツが血糖値やコレステロール値などを改善
大さじ2杯のハチミツを毎日食べると、血糖値やコレステロール値などが改善し、心血管代謝を健康にするのに役立つ可能性があるという研究を、カナダのトロント大学が発表した。 「ハチミツに含まれる栄養のおよそ80%は糖質です。はじめはハチミツを食べ過ぎると、血糖値やコレステロール値は悪くなるのではないかと考えていましたが、結果はその逆でした」と、トロント大学医学部栄養科学科のタウセフ カーン氏は言う。 大さじ2杯(40g)のハチミツのカロリーは約130kcal。糖質(単糖)が30g含まれるほか、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、ビタミンB、葉酸、希少糖のトレハルロースなどの栄養が含まれる。 「ハチミツには、糖質以外に、ビタミン類やミネラル類、アミノ酸、有機酸、ポリフェノールなども含まれます。抗酸化などの生理活性作用を期待できるので、適量を毎日食べることは勧められます」としている。ハチミツを食べると心血管代謝の健康が改善
これまで、ハチミツを摂取することで心血管代謝の健康を改善できることは、動物実験では分かっていた。研究グループは今回、計1,100人以上が参加したヒトを対象とした比較臨床試験(試験期間の中央値は8週間)を含む、18 件の研究を包括的に検討した。 その結果、ハチミツを食べることで、血糖値、総コレステロール値、悪玉のLDLコレステロール値、中性脂肪値が下がる傾向がみられ、脂肪肝に関するマーカーも低下することが明らかになった。さらに、ハチミツは善玉のHDLコレステロールや、炎症に関わるいくつかのマーカーも改善した。 ハチミツを食べることで、平均すると空腹時血糖値は4mg/dL、総コレステロール値は3mg/dL、LDLコレステロールは3mg/dL、空腹時中性脂肪値は2mg/dL、それぞれ低下した。さらに、肝機能のチェックをするための指標となるALTは9.75 U/L低下し、善玉のHDLコレステロールは1mg/dL上昇した。 「公衆衛生や栄養学の専門家のあいだでは長い間、"砂糖は砂糖でしかない"と言われており、糖質の摂り過ぎは良くないと考えられていました」と、同大学栄養学科のジョン シーベンパイパー氏は言う。 「ハチミツは、食事ガイドラインでは、吸収されやすい単糖類などの遊離糖や添加糖として扱われていますが、これを考え直さないといけないかもしれません」としている。アカシアやクローバーなどのハチミツの効果が高い
ヒトを対象にした比較対照試験が必要
ハチミツの健康効果については、これまでも報告されている。イリノイ大学の別の研究では、市販のドレッシングの代わりに、クローバーやブルーベリーを与えたハチから採れたハチミツを使用すると、健康上のベネフィットが増すことが示された。 市販されているドレッシングは、血中の中性脂肪などを上げやすい果糖コーンシロップが含まれるものもあるので、注意が必要としている。 「ハチミツの健康効果を確かめるために、ヒトを対象にした比較対照試験を行う必要があります。また、今回の研究の対象者の多くは、添加糖の摂取量が1日のカロリーの10%以下で、健康的な食事スタイルをもっていた傾向があることにも注意が必要です」と、カーン氏は付け加えている。 「今後の研究で、ハチミツに含まれるどの成分が効果をもたらしているかを特定できれば、健康上のベネフィットを提供できる新たな食品の開発につながると期待されます」としている。 Sweet: Honey reduces cardiometabolic risks, study shows (トロント大学 2022年11月16日)Effect of honey on cardiometabolic risk factors: a systematic review and meta-analysis (Nutrition Reviews 2022年11月16日)
Honey Adds Health Benefits, Is Natural Preservative And Sweetener In Salad Dressings (イリノイ大学 2008年12月24日)
Selection and Use of Honey as an Antioxidant in a French Salad Dressing System (Journal of Agricultural and Food Chemistry 2008年8月30日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
食事療法の関連記事
- 「和食」が認知症リスクを低下 日本型の食事は脳の健康にも良い 糖尿病の人は認知症リスクが高い
- どんな食事スタイルの人が糖尿病リスクが高い? 食事を改善する簡単な方法「食べることに意識を集中」
- 暑い夏の水分補給 甘い飲み物を水に置き換えると糖尿病リスクは低下 食事改善にも役立つ「上手な水の飲み方」
- スマホで写真を撮ると食事改善がうまくいく 糖尿病の治療に活用 食事の振り返りができる
- 糖尿病の人は胃がんのリスクが高い どうすれば対策できる? 胃がんを予防するための6つの方法
- ブルーベリーが腸内環境を健康にして糖尿病や肥満を改善 メントールから抗肥満・抗炎症の化合物
- 糖尿病の人は腎臓病のリスクが高い 腎臓を守るために何が必要? 「糖尿病・腎臓病アトラス」を公開
- 緑茶を飲んでいる人は糖尿病リスクが低下 心臓病や脳卒中が減少 緑茶は歯周病の予防にも良い?
- 今年も猛暑に 「良い睡眠」で対策 睡眠不足は糖尿病を悪化 暑い夏の夜でもぐっすり眠る3つの方法
- 植物性食品が中心の食事スタイルが糖尿病リスクを低下 心臓血管病・がん・うつ病のリスクも減少