糖尿病患者やその介助者に必要な情報と支援が不足
63歳の女性、Diane Kondyraさんは、今では糖尿病の潜在的な危険性について多くのことを知っている。彼女と彼女の夫は2人とも糖尿病と診断されており、夫は2018年に感染症と血流障害のため、足の一部の切断を余儀なくされた。
HealthDay Nowのインタビューの中で彼女は、「私は自分の体のケアを続けなければならないことを理解している」と語っている。夫の下肢切断は彼女の家族に大きな負担となったが、リスクを直視する目覚めの機会にもなった。
「夫に起きたことと同じことを私は経験したくない。私たち夫婦はそれ以来、足や腕に怪我がないか細かくチェックするようになった」と彼女は話す。
もちろん糖尿病の管理に苦労しているのはKondyraさん夫婦だけではない。米国では糖尿病が驚くほど多く、人口の約10%が罹患している。米疾病対策センター(CDC)のデータによると、その90%以上は2型糖尿病だ。
つまり、米国人の大半が、本人または家族や知人のうちの誰かが2型糖尿病に罹患していると考えられる。そして、糖尿病はときに、患者本人だけでなく、家族や知人にも影響を及ぼすことがある。
HealthDayがHarris社とともに6月9~13日に、米国成人2,000人以上を対象に行った調査から、3人に1人以上が2型糖尿病患者と同居している、または介助をしていると回答した。
糖尿病の管理では、毎日の投薬や頻繁な血糖測定、食事のアレンジ、医療コストなど、患者と家族に多くの負担が生じる。今回の調査では、家庭内に糖尿病患者がいる家族の80%が、「家族全員が何らかの影響を受けている」と述べている。
Diane Kondyraさんは2018年以降に減量し、連続血糖モニタリングの利用などによる治療を続けた。もっと最近になり、彼女の血糖コントロールはこれまででもっとも良好なレベルに達した。
前記の調査からはこのように、糖尿病患者の存在がその家族に前向きな変化を生むことも少なくないことが示された。糖尿病患者の介助に当たる人の77%が、「自分自身のライフスタイルも変化した」と回答している。
糖尿病の管理には多くの知識が求められる。そのための情報は、糖尿病自己管理教育・サポート(diabetes self-management education and support;DSMES)と呼ばれる糖尿病教育によって得ることが可能だ。
DSMESの有用性はエビデンスによって裏付けられている。しかし、DSMESを受ける糖尿病患者は少数であり、患者の家族に至っては、受けたことがある人は恐らくほとんどいないと考えられる。
一方、連続血糖モニタリングや健康アプリなどの新しいテクノロジーが糖尿病の管理に役立つことがある。調査によると、患者の49%がこれらを利用したことがあり、その60%はそれによって「血糖管理が容易になった」と答えている。
しかし他方で10人に9人は、「医師が個々の糖尿病患者に適した管理方法をより積極的に助言すべき」と回答した。適切な情報やアドバイスがなければ、大半の人は糖尿病管理の重要性やその具体的な方法を知ることができない。
Ida Mendozaさんは20年近く前、35歳のときに受けた健診で糖尿病を指摘された。経口血糖降下薬のメトホルミンの処方箋を手にして病院を出たときから、彼女の人生は大きく変わった。
ただしその時点では、糖尿病の治療について何も準備ができておらず、「血糖管理をどのように行うのか、全く手がかりがなかった」という。
HealthDay Nowのインタビューに対してMendozaさんは、「私は医師から『あなたは間違いなく2型糖尿病です。これが処方箋で、1日2回服用と書いてあります。以上です』と言われた。帰宅途中、私は心の中で『OK。で、私は何をしたらいいの?』とつぶやいた」と語っている。
彼女には糖尿病の濃厚な家族歴があった。身内の何人かは下肢切断を受け、視力を失い、早くに亡くなっていた。彼女は糖尿病としっかり向き合い、専門家に相談しながら自分で勉強すると決意した。
しかし、必要な知識はすぐには得られなかった。「初めはどうすれば良いか分からず恐れを感じていた。自分自身で糖尿病を管理できていると実感できるようになるまで、5年かかった」とMendozaさんは話す。
彼女は、定期的な運動、健康的なレシピ、服薬順守という堅実な方法で血糖管理に成功した。彼女自身は自分の糖尿病管理をほぼ1人で行っているが、糖尿病の管理が簡単なことではないことを、身をもって理解している。
現在では米国糖尿病学会(ADA)のボランティアスタッフとして糖尿病療養指導士のように、知人や親戚にアドバイスを続けている。さらに最近、糖尿病患者のサポートネットワークを立ち上げた。
「私は自分自身のために十分な糖尿病教育を受けたいと思う。しかしそればかりでなく、友人や家族のためにも、正確で十分な知識を得たい」とMendozaさんは述べている。
[HealthDay News 2022年7月5日]
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[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所