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2022年07月27日
糖尿病の人にも勧められる「長寿ダイエット」とは? 食事スタイルは「体内時計」にも影響
南カリフォルニア大学などは、健康に生きられる期間を延ばすための「長寿ダイエット」について、最新の研究成果を発表した。
エネルギー摂取量や栄養バランス、食事をするタイミングや体内時計への影響まで、食事スタイルのさまざまな側面について調査した。
食事のタイミングは体内時計にも影響している。健康長寿につながる食事のタイミングについても提案している。
血糖コントロールを改善するために食事の改善が必要
南カリフォルニア大学などは、健康に生きられる期間を延ばすための「長寿ダイエット」について、最新の研究成果を発表した。 研究は、米国の南カリフォルニア大学老年学部のヴァルター ロンゴ教授と、ウィスコンシン大学老年医学部のロザリン アンダーソン教授によるもの。 紀元前440年、ギリシャの医師であるヒポクラテスは、「食事をあなたの薬とし、あなたの薬は食事とせよ」「食事療法と運動療法により、病気は治療できる」と言った。 食事はいまなお、健康改善のための重要な要素だ。とくに糖尿病のある人にとっては、血糖コントロールを改善するために、食事の改善が必要になる。 「今回の研究では、長寿の人と短命の人を比べ、食事スタイルがどう違うかを調べ、とくに100歳を超えて長生きしている長寿者は、どうのような食事をしているかを調査した疫学研究を解析しました」と、ロンゴ教授は言う。長寿ダイエットに共通する特徴
その結果、「長寿ダイエット」として知られる、健康的な食事スタイルに共通する特徴として、次のことが明らかになった。「長寿ダイエット」に共通する特徴
| ▼ 全粒穀物など精製されていない食品から炭水化物を十分に(中~高程度)摂る |
| ▼ 全粒穀物、野菜、糖質の少ない果物、魚類、マメ類を十分に摂る |
| ▼ 植物ベースの食品から適量のタンパク質を摂る |
| ▼ 植物ベースの食品から脂肪をエネルギー比で30%くらい摂る |
| ▼ オリーブオイルやナッツ、魚など、体に良い不飽和脂肪酸を含む食品を摂る |
| ▼ 赤身肉や加工肉など、飽和脂肪酸の多い肉類は少なめにする |
| ▼ 食物繊維を十分に摂り、塩分はなるべく減らす |
| ▼ 1日の食事は11~12時間の枠におさまるように調整する |
| ▼ 就寝前には食事をしないで、空腹でいる時間帯を設ける |
食事スタイルは体内時計にも影響 健康になりやすい食事のタイミングは?
ロンゴ教授は、食事を摂る時間帯を1日12時間以内におさまるように調整し、空腹でいる時間を設けることを勧めている。つまり、常に胃のなかに食物が入っている状態は避けた方が良いとしている。 睡眠やホルモン分泌、代謝、体温調整など、さまざまな生理機能に、およそ24時間周期のリズムがあり、体内時計によって制御されていることが分かってきた。 夜遅い時間帯に食べると肥満になりやすく、朝食べたほうが肥満になりにくいなど、食事のタイミングは体内時計にも影響しているという。 肥満を防ぐためには、活動量の低下する夕方から夜にかけて、高カロリーの食べ物をなるべく食べないようして、エネルギーを体に貯めこまないことが必要だ。 夜に高カロリーの食品を食べたくなるのは、体内時計がうまく調整されていないからかもしれない。体が摂取したカロリーを消費しやすい時間帯を知り、それに合わせて食事のタイミングを調整すれば、食事の選択が適正になり、体重増加を防げる。 最近、体重が増えてきたとか、血糖コントロールが悪くなっているという人には、1日の食事のカロリー摂取量を減らすことを一定期間続けることも勧めている。そうしたカロリーを制限した食事では、タンパク質が不足しがちになるので、タンパク質をしっかり摂ることもポイントになるという。 カロリー制限中にタンパク質の摂取を少し増やした人は、そうでない人に比べて、より健康的な食事をするようになる傾向があり、除脂肪体重(体重から脂肪量を除いた、筋肉・骨・内臓などの重さ)もより良く管理できたという報告がある。特別に長寿者が多い地域の食事スタイルも調査
研究グループはこの研究で、動物実験を含め、ヒトの栄養・疾患・長寿に関する数百件の研究をレビューし、食事や栄養素と老化との関連について分析した。 食事が、血液中のインスリン濃度、インスリン分泌能、体の炎症反応などを調べるC反応性タンパク質(CRP)、インスリン様成長因子1(IGF-I)、それ以外の疾患リスクを知るためのマーカーにどのような影響をもたらすかを解析。 さらには、カロリー制限食、高脂肪ダイエット、低炭水化物ダイエット、菜食主義の食事療法、地中海式ダイエットなど、流行したダイエット法についても調査した。 研究グループは現在、長寿ダイエットについての新しい調査研究を、南イタリアで500人程度を対象に実施する計画をたてている。 イタリアのサルデーニャ島周辺は、「ブルーゾーン(特別に長寿者が多い地域)」として知られており、100歳以上の高齢者の割合が高いことが知られている。この地域では、健康的な食事スタイルとして知られる地中海式ダイエットを実行している人が多い。 かつての沖縄や、カリフォルニア州ロマリンダなども、超高齢者の多い地域だ。これらの地域で共通していることとして、植物ベースの食事スタイルや、良質なタンパク質を摂っていることなどが挙げられる。管理栄養士などの食事指導の専門家にも相談
「65歳以上の人は、フレイルやサルコペニアを予防し、筋肉などの除脂肪体重が減らないようにするため、良質なタンパク質を十分に摂る必要があります」と、ロンゴ教授は言う。 「ただし、65歳以上の人にはタンパク質を十分に摂ることをお勧めしますが、65歳未満の若い人ではタンパク質の摂り方には注意が必要です。最適化された健康的な食事スタイルは、個々の人で異なり、年齢によっても違っていきます」としている。 食事を改善することを願っている人は多い。そうした人には、管理栄養士などの栄養の専門家に相談し、医療従事者に協力してもらいながら、無理なく食事改善を進めることが勧められるが、実際には多くの人は、そうした専門家にアクセスするのが難しい状況に置かれている。 「多くの人が、食事指導の専門家にアクセスし、適切なアドバイスをもらえるように、社会環境を整備する必要もあります」と、ロンゴ氏は言う。 「長寿ダイエットは、減量だけを目的とした食事制限ではなく、老化を遅らせることに焦点をあてたものです。運動などの生活スタイルも含め、2型糖尿病や肥満などを予防・改善するために、食事を含めた標準的なヘルスケアを見直す必要があります」としている。 New article outlines the characteristics of a 'longevity diet' (南カリフォルニア大学 2022年4月28日)Nutrition, longevity and disease: From molecular mechanisms to interventions (Cell 2022年4月28日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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