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2022年07月01日

夜に明かりを付けたまま寝ると糖尿病・高血圧・肥満のリスクが上昇 4つの対策

 睡眠をとっているときに、寝室の照明をつけっぱなしにしていたり、眠る直前までスマホなどのスクリーンが明るいデバイスを使用するなど、光にさらされていると、糖尿病・高血圧・肥満のリスクが上昇することが明らかになった。

 「睡眠をとっているときは、光への露出を避けるか、最小限に抑えることが重要です」と、研究者は述べている。

夜間の光汚染は健康に悪影響をもたらす

 睡眠をとっているときに、寝室の照明をつけっぱなしにしていたり、眠る直前までスマホなどのスクリーンが明るいデバイスを使用するなど、光にさらされていると、糖尿病・高血圧・肥満のリスクが上昇することが、米国のノースウェスタン大学の研究で明らかになった。

 「現代人は24時間、人工的な光源に多くさらされています。夜に眠るときに、テレビを付けっぱなしにしたり、スマートフォンを見ている人は多いのです。しかし、こうした光汚染は健康に悪影響をもたらすことが示されました」と、同大学医学部神経学科のミンジー キム氏は言う。

 「年齢を重ねると、2型糖尿病や心血管疾患の発症リスクは上昇していきます。夜間に光にさらされていると、リスクはさらに上昇します。夜に眠るときは、なるべく照明を消して、部屋を暗くするべきです」。

 研究は、夜間の光曝露が2型糖尿病の有病率の増加にどう影響するかを調べたリアルワールド研究で、63~84歳の男女552人が参加して行われた。研究グループは、参加者に露光量を測定するデバイスを手首に装着してもらい、毎日の睡眠について日誌に記録してもらった。

 7日間にわたり追跡して調査した結果、1日に5時間以上、部屋を完全に暗くして眠っている人は半数未満で、それ以外は睡眠をとっているあいだも明かりをつけていることが分かった。

 参加者は、血圧・体重・身長・コレステロール値、血糖値など、心血管疾患の危険因子について詳細な検査も受けた。

関連情報

睡眠中の光への露出を減らすための4つの対策

 解析した結果、夜に部屋の明かりをつけて寝ている人は、暗くして寝ている人に比べ、糖尿病は2.00倍に、高血圧は1.74倍に、肥満は1.82倍に、発症リスクがそれぞれ上昇した。

 夜に部屋を暗くして寝ている人は、睡眠覚醒サイクルが良好で、日中はより活動的で、覚醒も高い傾向があることも分かった。

 「睡眠をとっているときは、光への露出を避けるか、最小限に抑えることが重要です」と、同大学で睡眠医学を研究しているフィリス ジー氏は言う。

 ジー氏は、睡眠中の光への露出を減らすための対策として、次のことを提案している。

  • 眠っているときは、照明をなるべくつけない。高齢者などは安全のために照明が必要な場合もあるが、そうした場合でも床照明や間接照明にして、部屋はなるべく暗くする。
  • 屋外が明るくて、窓から光が入ってくる場合は、カーテンやブラインドを使ったり、遮光のためにアイマスクやシェードを利用する。
  • 屋外から入ってくる光が顔にあたらないように、ベッドの位置を調整する。
  • 照明の色も重要。赤/オレンジ色や琥珀色の暖色の照明は、脳への刺激が少ない。白/青色の光は、睡眠中はなるべく遠ざける。

寝ているときはなるべく光にさらされないように工夫を

 「今回の研究は横断研究であったので、糖尿病・高血圧・肥満があるために、夜に照明をつけたまま眠りたくなるのか、それともそうした照明が健康に影響しているのかという、因果関係についてはよく分かっていません」と、ジー氏は言う。

 「たとえば、夜にトイレを使う頻度の高い人や、糖尿病の神経障害を発症している人が、足のしびれなどがあり、転倒リスクを減らすために常夜灯をつけていることもあるかもしれません」。

 「そうした人も、工夫をして、寝ているときはなるべく光にさらされないように調整することをお勧めします」としている。

 研究グループは今後、自然の明暗サイクルの回復が、認知障害などの健康上の問題を改善するかどうかを調べるための介入研究を計画している。

Light during sleep in older adults linked to obesity, diabetes, high blood pressure (ノースウェスタン大学 2022年6月27日)
Light at night in older age is associated with obesity, diabetes, and hypertension (Sleep 2022年6月22日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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