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2022年03月28日

なぜ糖尿病の人は夜に高カロリーの食事はNG? 「体内時計」を整える6つの生活スタイル

 糖尿病とともに生きる人が長生きするためには、夜に高カロリーの食品を食べたり、栄養価の低い加工食品を食べないようにした方が良いという研究を、米国内分泌学会が発表した。

 糖尿病患者4,642人を対象とした研究では、血糖を上げやすい炭水化物が中心の食事をなるべく1日の早い時間帯にとり、夜は野菜や乳製品が中心の食事をしている人が、心疾患で死亡するリスクがもっとも低いことが判明。

 「およそ24時間ごとに繰り返される体内時計は、食事とも関連が深いことが分かってきました。1日のなかで血糖値を上げやすい食品を食べるタイミングを調整すると、糖尿病患者の健康状態を改善できる可能性があります」と、研究者は述べている。

 「糖尿病の人にとって、食事の時間やタイミングは、量やカロリーと同じくらい重要かもしれません」としている。

食事のタイミングも体内時計に影響

 体には、24時間周期のリズムをつくりだす「体内時計」のメカニズムが備わっている。体内時計は、体温やホルモン分泌など体の基本的な機能をコントロールしている。さらに睡眠、覚醒のピーク、食欲や消化などに含め、インスリン分泌にも影響し、糖尿病にも関わると考えられている。

 体内時計は食事のタイミングからも影響を受け、毎日の生活リズムの調整にも影響が出ると考えられている。体内時計と食・栄養との関係を解明する「時間栄養学」は注目されている。

 米国内分泌学会は、糖尿病の人が食事をする時間帯やタイミングは、量やカロリーと同じくらい、健康にとって重要である可能性があるという研究を発表した。

 「24時間ごとに繰り返される体内時計は、睡眠と覚醒のサイクルを調整していますが、食事とも関連が深いことが分かってきました。1日のなかで血糖値を上げやすい食品を食べるタイミングを調整すると、糖尿病の人の康状態を改善できる可能性があります」としている。

体内時計に合わせて食事スタイルを調整

 研究グループが、米国国民健康栄養調査(NHANES)に登録された糖尿病患者4,642人のデータを分析した結果、炭水化物やタンパク質が中心の食事をなるべく1日の早い時間帯にとり、夜は野菜や乳製品が中心の食事をしている糖尿病患者は、心疾患で死亡するリスクがもっとも低いことが判明した。

 たとえば、朝にジャガイモなどのデンプン質の野菜を食べ、昼は全粒穀物を摂り、夜はブロッコリーなどの緑黄色野菜やキャベツやホウレンソウなどの葉野菜、牛乳などの乳製品を摂っていた糖尿病患者は、心臓病で死亡する可能性が低かった。

 逆に、夜に加工肉などの脂肪の多い動物性食品や、高カロリーの加工食品をたくさん食べていた人は、心臓病で死亡する可能性が高いことも分かった。

 「糖質の多い血糖値を上げやすい食品はなるべく早い時間帯に食べて、食物繊維の含まれる全粒穀物を摂り、夕食では野菜と乳製品を摂り、脂質の多い加工肉や加工食品を控えるようにするといったように、体内時計に合わせて食事スタイルを調整すると、糖尿病の食事療法でも有用である可能性があります」と、中国のハルビン医科大学公衆衛生学部のチンタオ ソング氏は述べている。

体内時計を整えるための6つの生活スタイル

 食事をする時間帯やタイミングを調整して、体内時計を適正化し生活リズムを整えるために、次の生活スタイルが勧められている。

夜遅い時間には食事をしない

 就寝に近い夜遅い時間帯に夕食をとると、睡眠をつかさどるホルモンであるメラトニンの分泌が増えており、血糖値を下げるインスリンの分泌が抑制され、血糖値が上昇しやすくなることが、米国のマサチューセッツ総合病院などの研究で明らかになっている。

 就寝前の少なくとも2~3時間前までに食事を済ませておき、就寝前は食物を口に入れないことが勧められている。

寝る前にはカフェインを摂取しない

 夜にコーヒーを飲むと、予定していた就寝時間に眠りにつくのが難しくなり、朝起きるのもつらくなるのは、カフェインによって体内時計が乱されるからだ。

 米コロラド大学の研究によると、カフェインの摂取は概日リズムにも影響する。夜にカフェインが入ったコーヒーなどを飲むと、概日リズムに遅れが出て、睡眠のリズムが乱れるおそれがある。

 カフェインを適切に利用すれば、朝の目覚めをすっきりさせたり、時差ぼけを回避するのに役立つが、就寝前はなるべくコーヒーなどを飲まないようにした方が良い。

朝食を毎朝、規則正しく食べる

 体内時計は光を浴びることで同調されるが、食事も強い同調因子として働いている。名古屋大学の研究によると、朝食は体内時計を正常化するために重要な食事だ。

 朝食を抜く習慣があると、体内時計のずれや体温の調節異常により、エネルギーをあまり消費できない体になり、体重増加や肥満が引き起こされるおそれがある。

 現代では不規則な食生活が増え、朝食を抜いて食生活が乱れている人も多いが、朝食は毎朝きちんと食べた方が良い。

タンパク質を十分に摂る

 早稲田大学の研究によると、体内時計は食事で同調され、食事に含まれるタンパク質やアミノ酸が体内時計に影響している。たとえば朝食では、食後高血糖を防ぎ、同時に体内時計を調整するために、タンパク質を十分に摂ることを勧めている。

 食事ガイドラインでは、総エネルギーの15~20%をタンパク質から摂ることが推奨されている。タンパク質を十分に摂ることは、体内時計を正常に調整するのに必要だ。

 ただし、タンパク質の摂取が20%エネルギーを超えると、動脈硬化が進みやすくなるという報告もあるので、適量を心がけてバランス良く摂ることにも注意が必要。

夜はストレスになることを行わない

 北海道大学の研究によると、体内時計はストレスホルモンに影響を与えている。体のストレス反応に関わるコルチゾールは昼間に活性化し、夜は低下する。

 ストレスは少な過ぎても多過ぎても、体や心の不調をまねきやすくなるが、ストレスの受け方については注意が必要だ。体内時計の働きを考慮しながら、昼は活動的に過ごし、夜は休息をとるなど、バランス良く活動することで、ホルモンの作用をコントロールできるようになると考えられている。

 夜間は交感神経系が優位になるので、多くの人は夜間の方がストレスに対して弱くなる。ストレスを夜に受けると、心身が対応しにくくなるおそれがある。体内時計を調整するために、ストレスになるようなことはなるべく昼間に行った方がよい。

ウォーキングなどの運動で体内時計を調整

 軽度なストレスは、体内時計を正しく保つのに役立つ可能性がある。運動はアドレナリン分泌などストレスに似た生理応答につながるので、運動を習慣として行うことで体内時計を調整しやすくなる。

 北海道大学の研究により、適度な運動を行うと生体リズムを調整しやすいことが明らかになっている。運動には体内時計の光に対する反応性を増強する作用があり、睡眠の質を改善するのにも有用だ。運動は活発なウォーキングなどの、息が少し上がる程度のものが良い。

People with diabetes who eat less processed food at night may live longer (米国内分泌学会 2022年3月15日)
The Association of Consumption Time for Food with Cardiovascular Disease and All-Cause Mortality Among Diabetes Patients (Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism 2022年3月15日)
Interplay of Dinner Timing and MTNR1B Type 2 Diabetes Risk Variant on Glucose Tolerance and Insulin Secretion: A Randomized Crossover Trial (Diabetes Care 2022年1月11日)
Effects of caffeine on the human circadian clock in vivo and in vitro (Science Translational Medicine 2015年9月16日)
Delayed first active-phase meal, a breakfast-skipping model, led to increased body weight and shifted the circadian oscillation of the hepatic clock and lipid metabolism-related genes in rats fed a high-fat diet (PLOS ONE 2018年10月31日)
Glucagon and/or IGF-1 production regulates resetting of the liver circadian clock in response to a protein or amino acid-only diet (EbioMedicine 2018年1月21日)
HPA axis differentially responses to morning and evening psychological stress in healthy subjects (Neuropsychopharmacology Reports 2018年11月27日)
Differential regulation of circadian melatonin rhythm and sleep-wake cycle by bright lights and non-photic time cues in humans (Americn Journal of Physiology - Regulatory, Integrative and Comparative Physiology 2014年6月18日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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