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2022年04月15日

ワインを食事時に飲むと糖尿病リスクが減少 適量のアルコールは健康に良い?

 適度な量のアルコールを飲んでいる人は、とくに食事でワインを飲んでいる人は、2型糖尿病のリスクが減少することが、大規模な調査で明らかになった。

 ただし、適量を超えて飲んでしまうと、アルコールのもたらすメリットはすぐに打ち消されてしまうという。適量の飲酒を守ることが大切だ。

 日本人の糖尿病患者では、「適度な飲酒」は、男性でアルコール量が1日に20~25gぐらいまでだと考えられている。

食事でワインを飲んでいる人は糖尿病のリスクが減少

 適度な量のアルコールを飲んでいる人は、とくに食事でワインを飲んでいる人は、2型糖尿病のリスクが減少することが、31万人以上を対象とした研究で分かった。これは、米国心臓学会(AHA)が発表したもの。

 ただし、この適度な量とは、体格の大きい米国人で、純アルコール換算で男性は1日に28g以下、女性は1日に14g以下。これは男性の場合はおよそ、ビールであるとロング缶1.4本(700mL)、ワインであると3杯(180mL)に相当する(女性はこの半分)。

 この適量を超えて飲んでしまうと、アルコールのもたらすメリットはすぐに打ち消されてしまう。あくまで、適量の飲酒を守ることが大切だとしている。

 なおAHAは、アルコールの適量には個人差があり、また飲む習慣のない人は無理して飲むべきではないとしている。さらに、アルコールを飲む習慣のある人も、適度な飲酒のメリットとリスクについて、医師とよく相談しておくことを勧めている。もちろん、未成年者、妊娠中あるいは妊娠を望んでいる女性、健康状態の良くない人などは飲むべきではない。

アルコールの影響は良い方にも悪い方にもあらわれる

 研究は、50万人の英国人が参加している、遺伝情報や健康情報を含む、大規模な研究用データベースである「UK Biobank」の、約31万2,400人のデータを解析したもの。参加者の平均年齢は56歳だった。

 「アルコール摂取が健康におよぼす影響は、良い方にも悪い方にもあらわれます。適量で切り上げていれば、健康にとってメリットになりえますが、飲み過ぎると害にもなるので、両刃の剣として理解するべきです」と、テュレーン大学肥満研究センターのハオ マ氏は言う。

 11年間の追跡期間中に、約8,600人が2型糖尿病を発症した。解析した結果、適度なアルコール摂取は、2型糖尿病の発症リスクが14%減少することに関連していた。適度な飲酒の2型糖尿病のリスク低下に対する潜在的なメリットは、食事中に飲んでいる人のみにみられた。

 さらに、ワインを飲んでいた人では、とくに2型糖尿病のリスクが低下した。ビールなどの摂取量が多い人では、逆に糖尿病リスクは高くなった。

赤ワインには抗酸化作用のあるポリフェノールが含まれる

 「この研究結果は、食事に含まれるアルコールによるものではなく、ワインに含まれる抗酸化物質によるものかもしれません。ワインの抗酸化物質が、2型糖尿病の発症を潜在的に減らした要因である可能性があります」と、AHAの前会長でコロラド大学医学部教授であるロバート エッケル氏は言う。

 「とくに赤ワインには、ポリフェノールの一種で抗酸化作用のあるレスベラトロールが含まれます。食事でアルコールを飲むのであれば、ワインは良い選択になる可能性があります」としている。

 ただし一般的に、アルコールの過剰な摂取は、自動車事故、暴力、性的なリスク行動、高血圧、2型糖尿病、肥満、脳卒中、がん、肝疾患、うつ病、自殺、アルコール依存症など、さまざまな健康リスクに関連している。これらの健康リスクは、飲酒量が増えるにつれ上昇する。

 「これまでの研究でも、適度な飲酒には糖代謝の改善など、健康上のメリットがある可能性が示されています。しかし、糖代謝の改善が2型糖尿病のリスク減少にどうつながるのかはよく分かっていません。とくにアルコールを飲まない人は、糖尿病のリスク低下を目的に飲むことは勧められません」と、マ氏は述べている。

適度なアルコールは健康に良い でも飲み過ぎると健康リスクは上昇

 「酒は百薬の長」ということわざがある通り、適度なアルコールは健康に良いことを示した研究は多い。適度の飲酒は、心臓病や脳卒中、糖尿病のリスクを減少する可能性がある。アルコールにはストレス解消や、人間関係を円滑にするなどメリットもある。

 しかし、過剰な飲酒は確実に体と心にダメージを与え、健康リスクが上昇する。

 日本人の糖尿病患者では、「適度な飲酒」は、男性でアルコール量が1日に20~25gぐらいまでだと考えられている。

 アルコール量20gは、ビール(ロング缶)1本(500mL)、チューハイ(レギュラー缶)1本(350mL)、日本酒1合(180mL)、焼酎1杯(100mL)、ワイン2杯(120mL)、ウイスキー2杯(60mL)に相当する。

 日本人を対象とした大規模調査「NIPPON DATA」で、2型糖尿病では、適度な飲酒をする習慣のある人は、まったく飲まない人に比べ、心血管疾患などの死亡リスクはむしろ低いという結果が報告されている。

 海外の研究でも、アルコール摂取量と糖尿病や関連する疾患のリスクは、「Uカーブ」の関係にあることが示されている。つまり適度な飲酒をしていると、血糖コントロールの状態はむしろ良くなり、糖尿病合併症も減ると報告されている。

 ただし、注意しなければならないのは、アルコールを飲み過ぎてしまうと、その健康効果はすぐに打ち消されてしまうことだ。

 アルコールを飲み過ぎると、血糖を下げるインスリンが効きにくくなるインスリン抵抗性の原因になり、糖尿病のコントロールが乱れ、高血圧や肥満のリスクも上昇する。肝臓病や脳卒中、がんなどのリスクも高くなる。

Study finds drinking wine with meals was associated with lower risk of type 2 diabetes (米国心臓学会 2022年3月3日)
Epidemiology, Prevention, Lifestyle & Cardiometabolic Health Conference 2022
Is drinking alcohol part of a healthy lifestyle? (米国心臓学会 2019年12月30)
Alcohol intake and 19-year mortality in diabetic men: NIPPON DATA80(Alcohol 2009日12月)
Alcohol as a risk factor for type 2 diabetes:A systematic review and meta-analysis(Diabetes Care 2009年11月)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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