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2021年10月14日

糖尿病の人が歯を失わないために 高血糖だと歯の喪失が多い 予備群の段階で歯は減少

 滋賀医科大学などの研究グループは、20~74歳の男女23万人超のデータを解析し、HbA1c値や空腹時血糖値が高い高血糖の人ほど、歯の本数が少ない傾向があることなどを明らかにした。

 空腹時血糖値の高い糖尿病予備群の段階でも、歯数が少なくなる傾向があり、さらに高血糖と喫煙の条件が重なると、歯を喪失するリスクはより高まるという。

 糖尿病とともに生きる人は、早期に歯科検診を受けるなどして、口の中のケアを行い、歯周病やむし歯の予防や治療を行うことも重要であることが示された。
HbA1c値や空腹時血糖値が高いと歯を失いやすい
 歯周病は、歯を失う原因としてもっとも多い。糖尿病の人は、血糖コントロールが不良であると、歯周病になりやすいことはこれまでの研究でも指摘されている。

 糖尿病と診断されたり、糖尿病予備群と指摘された人は、食事や運動などの生活スタイルを見直し、血糖コントロールを改善することが重要となる。

 それに加え、早期に歯科検診を受けるなどして、歯周病やむし歯の予防や治療を行うことも必要であることが、今回の研究で示された。

 研究グループは、定期健康診断の結果と医療機関の診療情報(診療報酬明細書=レセプト)をもとに、血糖コントロール指標と歯の本数の関係を年代ごとに分析した。

 その結果、30代以上の年代で、1~2ヵ月の血糖値の平均を反映するHbA1c値や、空腹時血糖値が高いほど、歯の本数が少ないことが明らかになった。

 また、空腹時血糖は110mg/dL未満であると正常型と判定され、110~125mg/dLであると境界型(糖尿病予備群)と判定される。

 研究では、空腹時血糖が110~125mg/dLと高めの糖尿病予備群の段階も、正常値(110mg/dL未満)の群に比べ、歯数が少なく、さらに高血糖と喫煙の条件が重なると、歯を失うリスクがより高まることも明らかになった。
20~74歳の男女23万3,567人のデータを解析
 研究は、滋賀医科大学の前川聡教授、森野勝太郎准教授の研究グループがサンスターと共同で行ったもの。研究成果は、医学誌「Diabetology international」にオンライン掲載された。

 糖尿病と歯周病は密接な関連があり、相互に影響を及ぼすことが知られているが、血糖コントロールが悪いほど歯の本数が少ないという連続的な関係があるかはよく分かっていなかった。

 そこで研究グループは、いくつかの健康保険組合の定期健康診断の受診をした約70万人のうち、(1)2015年度に歯科受診歴があり、(2)歯の本数とその部位を確認でき、(3)健康診断でのHbA1cのデータを有する、20~74歳の男女23万3,567人のデータを解析した。

 対象者をHbA1c値については5段階(5.5%未満、5.5~6.4%、6.5~7.4%、7.5~8.4%、8.5%以上)、空腹時血糖値(FPG)については3段階(110mg/dL未満、110~125mg/dL、126mg/dL)に群分けし、10歳階級ごとに歯の本数を比べた。

 さらに、中年期(40~59歳)の対象者で、高血糖と喫煙条件の組み合わせで4群または6群に分け、両条件が該当しない群を対照とし、歯数が24歯未満となる性年齢調整オッズ比を算出した。
30代以上で血糖コントロールが不良であると歯が減りやすい
 その結果、30代以上の各年代で、HbA1cや空腹時血糖値が高い群ほど歯の本数が少ない傾向があることが分かった。

 また40~60代では、空腹時血糖値が126mg/dL以上の糖尿病型の群だけでなく、空腹時血糖値が110~125mg/dLの糖尿病予備群(境界型)でも、正常群に比べて、歯の数が少ないことが示された。

 40~59歳の中年期では、HbA1cや空腹時血糖値が高い高血糖と喫煙が、それぞれ単独である群は、血糖が正常で喫煙しない群に比べ、オッズ比が高く、歯の本数が24未満になるリスクが高いことも分かった。

 さらに、両条件が重なる群(高血糖+喫煙、糖尿病予備群+喫煙、糖尿病型+喫煙)では、リスクはさらに上昇することが示された。

年代別のHbA1cレベルと歯の残存数

年代別の空腹時血糖値レベルと歯の残存数

出典:滋賀医科大学、2021年
糖尿病予備群の段階で歯の喪失を防ぐ対策が必要
 HbA1cが7.0%以上の、血糖コントロールが不良の群は、そうでない群に比べ、多くの部位の歯を失っていることは、2020年10月に開催された第63回秋季日本歯周病学会学術大会でも報告されている。

 とくに下顎大臼歯を失った人の割合に、大きな差があることが分かっている。大臼歯(奥歯)は、歯列のもっとも後ろにある歯で、上下顎の左右に3本ずつ、計12本がある。上下の歯を噛みしめたときの咬み合せで重要な歯で、失ってしまうと食物をかみくだく力が低下してしまう。

 「これらの結果から、糖尿病と診断されたり、健康診断で糖尿病予備群と指摘された方は、生活習慣を改善するとともに、早期に歯科検診を受ける必要があると考えられます。また血糖値が高い方は、奥歯の歯周病・むし歯の予防や治療を念入りにすることも重要です」と、研究グループでは述べている。

 「血糖値が上がり始めた糖尿病予備群の段階でも、歯の喪失の主な原因である歯周病やむし歯について、積極的な予防や治療が重要です。歯の喪失を防ぎ、どのような食べ物もしっかりかんで食べることは、全身の健康の維持増進につながると期待されます」としている。

HbA1c高値群(HbA1cが7.0%以上)は、低値群と比べて、多くの部位の歯を失っている
とくに下顎大臼歯(奥歯)を失った人の割合が大きい

出典:滋賀医科大学、2021年

滋賀医科大学糖尿病内分泌・腎臓内科
Glycemic control and number of natural teeth: analysis of cross‑sectional Japanese employment‑based dental insurance claims and medical check‑up data(Diabetology International 2021年8月28日)

サンスター
サンスター お役立ち情報
お口とからだの健康
サンスターは、糖尿病と歯周病の関係性にはいち早く着目し、国内外の大学、医療機関と連携して研究を行っており、新製品の開発および啓発活動に取り組んでいる。
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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