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2021年08月31日
「大豆」が更年期のホットフラッシュを軽減 「エクオール」が関与 脂質異常症や糖尿病にも有用

植物性食品が中心の食事で、大豆を十分に食べることで、更年期のほてり(ホットフラッシュ)を減らせる可能性があることが明らかになった。
大豆を豊富に摂る食事により、中程度から重度のほてりを84%減少でき、1日5回近くから1回未満に抑えられるという。
大豆に含まれるイソフラボンを材料に、腸内細菌によって体内で作られるエクオールと呼ばれる物質が、ほてりの発生と重症化を軽減すると考えられている。
大豆を豊富に摂る食事により、中程度から重度のほてりを84%減少でき、1日5回近くから1回未満に抑えられるという。
大豆に含まれるイソフラボンを材料に、腸内細菌によって体内で作られるエクオールと呼ばれる物質が、ほてりの発生と重症化を軽減すると考えられている。
更年期のホットフラッシュは食事で軽減できる?
大豆には植物性タンパク質や食物繊維、ミネラル、イソフラボンなどのさまざまな栄養が含まれる。とくに日本には、納豆や味噌といった発酵性の大豆食品が豊富にある。日本食が健康的な食事として世界的に人気がある理由のひとつは、納豆や豆腐などの大豆食品を多く食べていることだ。
大豆を食べることで、更年期のほてり(ホットフラッシュ)を減らせる可能性があることが、米ジョージワシントン大学医学部の研究で明らかになった。
大豆を十分に摂ると、中程度から重度のホットフラッシュを84%減少でき、1日5回近くから1回未満に抑えられるという。
大豆を含む植物性食品中心の食事を12週間続けた女性は、60%近くが中等度から重度のホットフラッシュがなくなり、軽度なものまで含めるとホットフラッシュは全体に79%減少した。
更年期を迎えた女性の多くが、ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)、発汗、顔の紅潮といった症状に悩まされている。ジョージワシントン大学医学部のニール バーナード氏によると、閉経後の女性の80%がホットフラッシュに苦しめられているという。
「ホットフラッシュを治療するために、食事療法はこれまで考えられていた以上に重要である可能性があります」と、バーナード氏は言う。
大豆を食べた女性はホットフラッシュが79%減少

大豆イソフラボンから作られるエクオールが関与
大豆に含まれるイソフラボンを材料に、腸内細菌によって体内で作られる「エクオール」と呼ばれる物質が、ホットフラッシュの発生と重症化の軽減に関与していると考えられている。
過去にもエクオールがホットフラッシュの発症と重症化を軽減することを示した研究が発表されており、野菜をよく食べる食事スタイルの人でエクオールが高いレベルで生成させていることが示された。なお、大豆のイソフラボンを抽出したサプリメントなどでは、効果をあまり期待できないという。
エクオールを体内で作り出せる体質には個人差があるが、血糖値(HbA1c)を下げたり、動脈硬化のリスクを高める悪玉コレステロールを下げる効果なども報告されている。
エクオールが肥満を改善 脂質異常症や糖尿病などにも有益
イソフラボンを材料に体内で作られるエクオールに、50~60代の閉経後の女性の肥満を改善する効果があることが、福島県立医科大学消化器内科学講座の高橋敦史氏らの研究でも確かめられている。研究成果は、北米更年期障害協会が刊行している医学誌「Menopause」に発表された。
研究グループが、福島市のわたり病院で健診を受けた50~60代の女性386人のデータを分析した結果、体内でエクオールを作れる体質の女性(27.5%)は、過体重が0.47倍に、内臓脂肪型肥満が0.30倍に減少していた。
エクオールは、脂質異常症や2型糖尿病などの代謝性疾患にも有益な影響を及ぼすと考えられている。大豆のタンパク質を摂取すると血圧が低下する効果を期待できるという研究も発表されている。
The Women's Study for the Alleviation of Vasomotor Symptoms (WAVS): a randomized, controlled trial of a plant-based diet and whole soybeans for postmenopausal women(Menopause 2021年7月)
Association of equol with obesity in postmenopausal women(Menopause 2021年7月)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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