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2021年04月28日

連休(GW)は糖尿病のコントロールに注意 コロナ禍に負けないために対策 8つのヒントで乗り切る

 連休はふだんの生活スタイルを維持するのが難しく、食べ過ぎと運動不足が重なり、余分なストレスをためこみやすい。体重を増やしたり、血糖コントロールを乱す人が多い。
 とくに今年は、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、例年に比べて行動に制限が加わり、連休の過ごし方が難しくなる。
 米疾病予防管理センター(CDC)は、コロナ禍の昨今、連休をより安全に過ごすためのヒントを紹介している。
集会は少人数で マスク着用とソーシャルディスタンスを忘れない
 連休を社交的に過ごすと、生活全体に対する満足度が上がり、休日の質と主観的な幸福感が向上することが、東フィンランド大学の研究で示されている。

 しかし、コロナ禍が深刻な昨今、集会に参加すると、新型コロナの感染リスクが高まる。体調がすぐれないときや、新型コロナに感染した人に濃厚接種した、またはそれが疑われる場合は、集会をキャンセルすることも必要だ。

 米オハイオ州立大学の調査によると、休日も3密を避け、ソーシャルディスタンスを守るなど、感染予防策を講じようと考えている人が大部分だが、5人に2人近くが10人以上の集会に出席する可能性が高く、多くの危険にさらされている。ウイルス感染が広がりやすい屋内での集会に参加せざるをえないという人もいる。

 もっとも安全な方法は、なるべく屋外で、他の人から2メートル以上離れて過ごすことだ。CDCは、感染予防をするために、次のことを試してみるよう提案している。
▼集会は屋外で、参加者がそれぞれ2メートル離れて、マスクを着用して行う。▼家族や友人とビデオチャットパーティーを開く。▼ネットでバーチャルイベントを探して参加する。

換気の悪い屋内は避ける 手洗いも忘れないように
 混雑した場所や、屋外からの新鮮な空気を取り入れていない換気の悪い屋内スペースはなるべく避けたい。屋内の場合は、できれば窓やドアを開けて外の空気を取り入れることが大切。

 屋内や屋外で、24時間に計15分以上、他人と密接に接触していると、新型コロナに感染したり感染させる危険性が高くなる。3密を避け、ソーシャルディスタンスを守ることが大切。症状がない人や検査を受けて陰性反応が出た人でも、新型コロナを他の人に広げてしまう可能性があることを忘れないようにしたい。

 公共の場所にいた後や、鼻をかんだり、咳をしたり、くしゃみをしたりした後、食事をする前に、石鹸と水で手を20秒以上よく洗う。石鹸と水がすぐに手に入らない場合は、60%以上のアルコールを含む手指消毒剤を使用する。マスク、目、鼻、口には手をふれない。

 さらに、旅行はコロナ感染を広めてしまう危険性がある。予防接種を受けられるようになるまで、旅行をなるべく控えることを呼びかけている。旅行を計画している人は、自分と他者を守るために、とくに感染予防の措置を講じる必要がある。公共交通機関では引き続きマスクを着用することが大切だ。
血糖コントロールを乱しやすい時期を8つの対策で乗り切る
 連休中はふだんの生活スタイルを維持するのが難しくなる。そのため食事や運動などに偏りが出たり、余分なストレスをためこむおそれがある。

 休日が続くと、食べ過ぎと運動不足が重なり、血糖コントロールを乱したり、体重を増やす人が多い。ハーバード大学医学部や米国糖尿病学会などは、休日を健康的に過ごすために、以下のことをアドバイスしている。

1 体重を毎日測る

 連休は生活が不規則になりがちになり、ふだん通りの食生活を続けるのが難しくなり、運動不足になりやすい。仕事の片付けや予定外の用事が入ったり、子供の相手を過ごす時間が増えるなど、ストレスがたまりやすい時期でもある。

 多くの人にとって、体重コントロールが難しい時期だが、米国肥満学会によると、自分の体重を毎日測定している人は、連休中も体重を増やしにくい。

 体重を増やしたくない・減らしたいと希望しているのなら、体重を毎日測定するのは良い方法だ。体重をはかりグラフ化したり、スマホのアプリに記録しておき、増えたときには何が原因かを考えると、生活改善につながる。

2 快眠はまずは規則正しい生活から

 睡眠や体温、血圧、ホルモン分泌など体の基本的な機能はおよそ24時間のリズムを示す。この1日周期のリズムは「概日リズム」と呼ばれる。概日リズムを調整している「体内時計」は、生活習慣から大きな影響を受けている。

 仕事のある平日に定刻に起きていても、休日は遅くまで寝ている習慣のある人は、疲れが思ったようにとれないおそれがある。それどころか、睡眠習慣の乱れによって体内時計が狂い、肥満や2型糖尿病、心臓病の発症リスクが高まる可能性がある。

 体内時計を整え、体を睡眠に導くために、毎日同じ時刻にベッドに入り、起床時間も一定にすることが大切だ。規則正しい生活によって、体内時計がホルモンの分泌や生理的な活動を調節し、睡眠に備えて準備してくれるので、夜はよく眠れるようになる。

3 夜遅い時間に食事しない

 体内時計を整えるために規則正しい食事が望ましい。食事で摂取した食べ物が消化・吸収されるまでに2〜3時間が必要となる。夜遅い時間に夕食をとると、胃の消化活動が活発になり、大脳皮質や肝臓の働きが活性化し、結果として食べ過ぎや睡眠不足につながる。もちろん体重が増えて、血糖コントロールも乱れやすくなる。

4 朝食を抜かない

 朝食をしっかりとることで、その日の3食の食欲をコントロールしやすくなる。逆に朝食を抜いて空腹でいると、反動で食べ過ぎてしまうおそれがある。なるべく1日に摂取するカロリーの3分の1は朝食でとるようにしたい。

5 ゆっくり食べる

 食事をして、胃がふくれてから、脳の満腹中枢に信号が伝わるまでに、約15~20分の時間がかかる。満腹中枢は食後の血糖値の上昇によっても刺激される。

 よく噛んでゆっくり食べることで、満腹中枢に刺激が伝わり、食欲を抑えられる。よく噛むことで、食欲を抑制する働きのあるレプチンというホルモンの分泌も促進される。早く食べると満腹感が得られにくく、食べ過ぎの原因となってしまう。

6 ストレスをためない

 ストレスは不安や睡眠障害、血圧の上昇など、好ましくない影響をもたらす。糖尿病や高血圧症のある人にとっては、血糖や血圧のコントロールに悪影響が出てくるおそれがある。

 ふだん通りの食事を続けられなくなったり、アルコールを飲みすぎたり、運動不足が続くことも、ストレスの原因になる。

 休暇には、想定外の用事が入り忙しくなり、さらに生活が乱れやすくなる。この時期に外せない予定を作りすぎないようにし、余裕をもって計画をたてよう。

7 運動を続ける

 日中に体をアクティブに動かし運動する習慣のある人は、質の良い睡眠を得られるという調査結果がある。30分のウォーキングなどの運動を毎日続けよう。

 運動や身体活動は自然なストレス解消法になる。血糖コントロールや血圧コントロールにもつながり、健康上の利便はたくさんある。

 30分の適度な運動を週に5日行うのが理想だが、それが難しい場合は、1日に10~15分のウォーキングなどの運動を1日に2回取り入れるようにしよう。

 不規則な生活が続く場合でも、運動のための時間を確保するために、カレンダーに運動する予定を書きとめておくと効果的だ。

8 アルコールに注意

 アルコール類にもカロリーがあり、アルコールには食欲を増進する作用があるため、飲み過ぎは肥満につながる。この時期は高カロリーの食事が多いため、相乗的に悪影響があらわれる。

 糖尿病の治療を受けている人は、アルコールにより低血糖の危険性が高まるおそれもある。アルコールを飲む場合は、上限を決めて飲み過ぎないようにしよう。

 「節度ある適度な飲酒」の上限は、純アルコール換算で「1日平均20g程度」。これは、ビールは中瓶1本(500mL)、清酒は1合(180mL)に相当する。
わずか5日間、食べ過ぎただけでインスリンの働きは悪くなる
 連休のわずか5日間、高脂肪の食品などを食べ過ぎただけで、筋肉がブドウ糖や脂肪酸を代謝してエネルギーに変えるメカニズムに異変が起こることが、米国のヴァージニア工科大学の研究で明らかになっている。

 糖尿病は血液中のブドウ糖の濃度が慢性的に高くなる病気だ。ブドウ糖は細胞や筋肉でエネルギー源として使われるが、血糖を下げるホルモンであるインスリンが不足したり、インスリンの効きが悪くなるインスリン抵抗性があると、ブドウ糖は細胞に十分とりこまれず血液中にあふれてしまう。

 肥満になると、血糖を下げるホルモンであるインスリンが細胞に十分に取り込まれなくなり血糖値が高くなる「インスリン抵抗性」が起こりやすくなる。これは、糖尿病予備群でも起こる現象だ。

 インスリン抵抗性が起こると、肝臓や筋肉、脂肪細胞などでインスリンが正常に働かなくなる。糖尿病予備群の段階から影響し、肥満(とくに内臓肥満)、高血圧、高中性脂肪、低HDLコレステロールなどを併発することも多い。

 さらに、肥満によって脂肪細胞が増加すると、インスリンの働きを悪くする生理活性物質である「アディポサイトカイン」が放出され、筋肉や脂肪などの組織、肝臓へブドウ糖が取り込まれにくくなる。

 「高脂肪の食事をわずか5日間とり続けただけで、体のエネルギーの代謝に悪影響があらわれます。食べ過ぎてしまうと、ブドウ糖を筋肉に取り組むインスリンの働きが悪くなります。連休の食事をどうするか、前もって計画をたてておくことが大切です」と、研究者は述べている。

Holiday Tips(米疾病予防管理センター 2021年4月21日)
Healthy eating through the holidays(ハーバード大学医学大学院 2018年12月20日)
Healthy Living: You can live well with diabetes(米国糖尿病学会)
Social holidays improve overall well-being(東フィンランド大学 2020年12月16日)
Americans Likely to Attend Risky Holiday Gatherings Despite COVID-19(オハイオ州立大学 2020年11月12日)
New strategy for preventing holiday weight gain(米国肥満学会 2019年5月23日)
Daily Self‐Weighing to Prevent Holiday‐Associated Weight Gain in Adults(Obesity 2019年5月22日)
Five days of eating fatty foods can alter how your body's muscle processes food, researchers find(ヴァージニア工科大学 2015年4月13日)
Early skeletal muscle adaptations to short-term high-fat diet in humans before changes in insulin sensitivity(Obesity 2015年3月27日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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