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2020年11月18日

糖尿病の人に「コーヒー・緑茶・アルコール」は良い・悪い? どれくらい飲むと健康効果を期待できる?

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ライフスタイル 糖尿病合併症 食事療法
 糖尿病の人が緑茶やコーヒーを毎日飲むと、死亡リスクの低下につながるという研究が発表された。
 アルコールについても、適度な飲酒を続けていれば、健康効果を期待できるという報告がある。
 しかし、アルコールを飲み過ぎると、健康効果はすぐに打ち消されてしまうので注意が必要だ。
緑茶の健康効果は注目されている
 緑茶に含まれる栄養素のうち、数多くの生理作用が報告されているのが、渋味成分であるカテキン類だ。

 緑茶葉にはカテキン類を含む茶ポリフェノールが含まれているが、そのおよそ半数を占めるのが「エピガロカテキンガレート」(EGCG)だ。

 緑茶に含まれるカテキンには抗酸化作用があり、とくにEGCGの抗酸化力は強力だ。カテキンを摂取し続けると、内臓脂肪が減る、体脂肪が減るといった報告がある。

 緑茶には、グルタミン酸、テアニン、アルギニンなどの旨味成分となるアミノ酸も含まれている。
コーヒーにも抗酸化作用のある成分が
 一方、コーヒーに含まれるポリフェノールであるクロロゲン酸には強い抗酸化作用があり、体脂肪が減る、血圧を下げる効果があるという報告がある。

 ただし、緑茶やコーヒーにはカフェインも含まれている。カフェインには中枢神経に働きかけ、眠気や疲労を抑え、運動機能を高める興奮作用などがある。

 カフェインは、血糖を下げるインスリンの産生と感受性にも影響すると考えられている。

 しかし、カフェインを大量に摂取すると不眠症や神経症などにもなりやすくなる。カフェインの過剰な摂取にも注意が必要で、とくに夜遅い時間や就寝前には飲まないようにするなど工夫も必要になる。
糖尿病の人が緑茶とコーヒーを飲むと死亡リスクが低下
 2型糖尿病の人が緑茶とコーヒーを毎日飲むと、死亡リスクの低下につながるという研究が発表された。

 研究は、九州大学の糖尿病研究室などが行っている前向きゲノムコホート研究「福岡県糖尿病患者データベース研究」(FDR)で明らかになったもの。

 1日4杯以上の緑茶と2杯以上のコーヒーを飲むと、約5年間で死亡リスクが63%低下するという。

 同大学大学院病態機能内科学第二内科の小森田祐二氏らの研究グループは、2型糖尿病の日本人の男女4,923人(平均年齢66歳)を対象に、5年以上追跡して調査した。

 参加者に、毎日どのくらいの緑茶やコーヒーを飲んでいるかという質問を含む、58項目の食事調査票に答えてもらった。

 期間中に309人が死亡し、うち114人は死因はがんで、76人は死因は心血管疾患だった。
緑茶を4杯以上飲むと、死亡リスクは40%低下
 解析した結果、緑茶やコーヒーを飲んでいる糖尿病の人は死亡リスクが低い傾向があることが明らかになった。

 緑茶を毎日1杯までを飲んでいると、死亡リスクが15%低く、2~3杯飲んでいると27%低かった。1日4杯以上飲んでいると、死亡リスクは40%低くなった。

 また、コーヒーを飲んでいる人では、死亡リスクは、1日1杯までは12%低く、1日1杯では19%低かった。1日2杯以上では、死亡リスクは41%低かった。

 「2型糖尿病の人は、循環器疾患、認知症、がん、骨折などを発症しやすいことが知られています。そして、良い治療薬は増えているものの、治療の基本が運動や食事などの生活スタイルの改善であることは変わっていません」と、研究者は述べている。

 「今回の前向きコホート研究は観察研究であり、原因を特定することはできません」としながらも、「緑茶とコーヒーの摂取量の増加が、すべての原因による死亡率の低下と有意に関連していることが示されました」と結論付けている。
適度な飲酒は糖尿病リスクの低下につながる?
 一方で、アルコールはどうだろう?

 日本人4,000人以上を対象に19年間追跡した大規模調査「NIPPON DATA80」では、2型糖尿病やその予備群では、適度な飲酒をする習慣のある人は、まったく飲まない人に比べ、心血管疾患などの死亡リスクはむしろ低いという結果が報告されている。

 海外の研究でも、アルコール摂取量と糖尿病や関連する疾患のリスクは、「Uカーブ」の関係にあることが示されている。つまり適度な飲酒をしていると、血糖コントロールの状態はむしろ良くなり、糖尿病合併症も減ると報告されている。

 ただし、注意しなければならないのは、アルコールを飲み過ぎてしまうと、その健康効果はすぐに打ち消されてしまうことだ。

 アルコールを飲み過ぎると、糖尿病のコントロールが乱れ、高血圧や肥満のリスクも上昇する。肝臓病や脳卒中、がんなどのリスクも高くなる。
アルコールを大量に飲むと健康効果は打ち消される
 カナダのトロント大学などの研究では、アルコールを1日に25~30g程度摂取していると、糖尿病の発症リスクは低くなることが分かった。しかし、アルコールを飲み過ぎて、1日に50gを超えると、その効果はすぐに打ち消されてしまう。

 日本人では「適度な飲酒」は、男性でアルコール量が1日に20gぐらいまでだと考えられている。これは、ビール(中びん)1本(500mL)、チューハイ レギュラー缶1本(350mL)、日本酒1合(180mL)、焼酎1杯(100mL)、ワイン2杯(120mL)、ウイスキー1杯(60mL)に相当する。
缶ビールの2本目を飲む前にご注意を
 糖尿病の人は、缶ビールの2本目を飲む前に注意した方が良いかもしれない。糖尿病の人は、アルコールを飲み過ぎると、高血圧のリスクが高まる可能性があるという研究が発表された。

 「アルコールは、ほどほどを飲んでいる分には、心血管の健康にプラスに働く可能性がありますが、飲み過ぎてしまうと、とくに2型糖尿病の人では高血圧のリスクが高くなります」と、米ウェイクフォレスト大学医学部のマシュー シングルトン氏は言う。

 「糖尿病の人は心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクが高く、これを予防するために、血糖にあわせて血圧のコントロールも大切です。そのために、大量の飲酒は避けた方が良いのです」。
お酒以外のリラックス方法をみつけることも大切
 シングルトン氏らは、米国で実施された大規模試験「ACCORD研究」のデータを解析した。

 糖尿病を発症して10年程度の、平均年齢63歳の、1万人以上の男女のデータを解析。

 その結果、ビールなら缶(355mL)を週に15本以上を飲む、飲酒量が「重度」の人は、高血圧のリスクが1.91倍に上昇することが分かった。140/90mmHg以上の高血圧は3倍以上に増加した。

 飲酒量が「中等度」であっても、高血圧のリスクは1.79倍になり、140/90mmHg以上の高血圧は1.62倍に増加した。

 「アルコールにはストレス解消の効果もありますが、体や心をコントロールするための手段として飲み過ぎると、健康的ではありません」と、シングルトン氏はアドバイスしている。

 「もしもあなたがストレスや不安を感じているのなら、体を動かしてアクティブになったり、趣味や話の合う友達をみつけたり、読書や音楽、入浴などでリラックスする方法をみつけることが役に立ちます」としている。

九州大学大学院病態機能内科学(第2内科)糖尿病研究室
Drinking green tea and coffee daily linked to lower death risk in people with diabetes(BMJ 2020年10月2日)
Additive effects of green tea and coffee on all-cause mortality in patients with type 2 diabetes mellitus: the Fukuoka Diabetes Registry(BMJ Open Diabetes Research & Care 2020年10月21日)
Alcohol intake and 19-year mortality in diabetic men: NIPPON DATA80(Alcohol 2009日12月)
Alcohol as a risk factor for type 2 diabetes:A systematic review and meta-analysis(Diabetes Care 2009年11月)
The relationship between alcohol consumption and glycemic control among patients with diabetes:the Kaiser Permanente Northern California Diabetes Registry(Journal of General Internal Medicine 2008年3月1日)
More than 1 drink a day could raise blood pressure in adults with diabetes(米国心臓学会 2020年9月9日)
Association of Alcohol Intake With Hypertension in Type 2 Diabetes Mellitus: The ACCORD Trial(Journal of the American Heart Association 2020年9月9日)
[ Terahata ]

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