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2020年09月30日

「早寝・早起き」は糖尿病の人にも良い 生活が夜型だと運動量が減る

 早寝・早起きは糖尿病の人にも良く、生活が夜型だと日中の運動量が減ってしまうことが、2型糖尿病の人の睡眠のタイプ(クロノタイプ)を調べた研究で明らかになった。
早寝・早起きは人を賢くする
 英語には「早寝・早起きは人を健康、裕福、賢明にする」(Early to bed and early to rise, makes a man healthy, wealthy and wise)という古いことわざがある。

 このことわざは糖尿病の人にも当てはまることが、最新の研究で明らかになった。早寝・早起きを実行している人は、夜更かししがちの人に比べ、より健康的で、体を活発に動かしている傾向があるという。

 この研究は、英国のレスター大学と南オーストラリア大学が実施したもの。2型糖尿病の人の睡眠のタイプ(クロノタイプ)を調べ、それが就寝時間と健康でアクティブな生活スタイルにどう影響するかを調べた。研究成果は「BMJ Open Diabetes Research&Care」に発表された。

関連情報
夜型の人は日中は「座ったまま」が多い
 研究グループは、2型糖尿病患者635人を対象に、活動量計を7日間装着してもらい、睡眠、休息、全体的な身体活動など、さまざまな身体的行動の内容と強度、時間を測定した。

 その結果、参加者の25%が朝型のクロノタイプをもっていることが分かった。朝型の人の平均の就寝時間は22時52分で、朝起きる時間も早かった。

 一方、23%は夜型のクロノタイプをもっていた。夜型の人の平均の就寝時間は0時36分、起床時刻も遅かった。さらに、52%はどちらにも当てはまらないことが分かった。

 夜型のクロノタイプをもつ人は、身体活動のレベルと強度が低い傾向があり、日中は座ったまま過ごすことの多い、不活発な生活スタイルをもっていることが分かった。座ったままの時間が長い生活スタイルは、健康にとって大きなリスクとなることは、多くの研究で確かめられている。
夜型の人は運動量が56%少ない
 「睡眠習慣の好みが身体活動のレベルにどのように影響するかを解明すれば、2型糖尿病の人の健康管理をより改善できる可能性があります」と、レスター大学糖尿病研究センターの主任研究員であるジョセフ ヘンソン氏は言う。

 糖尿病の人が、よりアクティブに体を動かし、生活スタイルを健康的に変えていくのを支援するために、大規模な介入が切実に必要だという。

 「夜ベッドに入る時刻が遅く、朝は遅くまで寝ていることの多い人にとって、このことはとくに重要です。今回の調査で、生活が夜型の人は朝型の人に比べ、運動量が56%も少ないことが示されました」。

 糖尿病の人にとってウォーキングなどの運動が果たす役割は大きい。運動によって、健康的な体重と血圧を維持でき、心臓病のリスクも低下する。糖尿病のことロールを改善するために、運動はもっとも重要な要素となる。
朝型の生活は糖尿病の人にとっても良い
 「運動が長続きしない人は、睡眠や就寝時刻を含めた、生活リズムを見直してみることが役立つかもしれません」と、同センターのアレックス ローランズ氏は指摘する。

 ヒトは昼行性で、通常は昼に活動的になり、夜に休息(睡眠)をとっているが、そのタイミングは1人ひとり少しずつ異なる。しかし、大切なのは睡眠のクロノタイプは潜在的に変更することができることだという。

 「生活リズムと運動習慣は関連があります。夜遅くまで起きていて、睡眠時間が足りないと、日中に不活発になってしまうおそれがあります。就寝時間を調整し、朝型の生活に変えていくと、糖尿病にとっても良い効果を得られます」と、ローランズ氏はアドバイスしている。

Early birds vs night owls: for diabetics, an early bedtime is best(南オーストラリア大学 2020年9月21日)
Physical behaviors and chronotype in people with type 2 diabetes(BMJ Open Diabetes Research & Care 2020年7月16日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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