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2020年05月08日

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1型糖尿病 医療の進歩

1型糖尿病は2つサブタイプに分けられる 自己免疫を抑制する新たな治療法を開発

 7歳未満で1型糖尿病と診断された子供と、13歳以上で診断された子供とでは、同じ1型糖尿病であってもタイプが異なるという研究が発表された。
 1型糖尿病の原因である自己免疫を抑制する治療法の開発も進められており、今回の研究は1型糖尿病の病態を詳しく知るための手がかりになる。
発症した時期が7歳未満と13歳以上とでは1型糖尿病のタイプが異なる
 英国のエクセター大学の研究チームは、1型糖尿病の小児患者で、発症年齢が若いと、インスリンを産生するβ細胞が急速に破壊され、血糖コントロールが難しくなる可能性があり、タイプに合わせた治療が必要になるという研究を発表した。

 一方、小児期の後半に1型糖尿病と診断された子供は、インスリンを分泌する能力が体に残存している可能性があるという。

 1型糖尿病は、体の免疫系がインスリンを産生する膵臓のβ細胞を攻撃し破壊することで発症する。1型糖尿病の人は、生命を維持するためにインスリンを体外から補うことが一生必要となる。1日数回のインスリンの頻回注射やインスリンポンプにより、血糖値をコントロールする必要がある。

 エクセター大学の研究チームは、1型糖尿病と新たに診断された患者から採取した膵臓のサンプルを収集している。英国糖尿病学会の協力を得て、集めたサンプルを調査し、7歳未満で1型糖尿病と診断された子供と、13歳以上で診断された子供では、膵臓の状態が異なることを発見した。

 7歳未満で診断された子供では、より多くの免疫細胞が膵臓に侵入しβ細胞を破壊し、生存しているβ細胞が少ない傾向があることが分かった。一方、13歳以上の子供では、β細胞を攻撃する免疫細胞は比較的少なく、インスリンを産生するβ細胞がまだ生存しているケースが見られるという。

 この研究は、英国糖尿病学会(Diabetes UK)と国際若年性糖尿病財団(JDRF)の資金提供を受けて行われた。研究の詳細は、欧州糖尿病学会(EASD)が発行している医学誌「Diabetologia」に掲載された。
小児の1型糖尿病は2つのサブタイプに分けられる
 研究チームは今回の研究により、1型糖尿病には2つの異なるサブタイプがあることを突き止めた。

 研究チームは、7歳未満、7〜12歳、13歳以上の3つの年齢グループから約130の膵臓サンプルを収集し、インスリンとプロインスリン(β細胞から分泌されるインスリンの前駆体)が視認できるようサンプルを染色した。

 その結果、インスリンとプロインスリンの分泌に2つの大きく異なるパターンがあることを発見。若い年齢層では、プロインスリンはインスリンと同時に放出されていたが、適切に処理されておらず、このパターンは年齢が高くなるとあまり見られなくなった。

 研究チームは、血液検査により、プロインスリンとまだ生存しているβ細胞から分泌されるインスリンの量を測定し、プロインスリンの処理が悪化しているかを確認し、1型糖尿病のサブタイプを識別することを検討した。

 これにより、小児の1型糖尿病患者を、診断時に年齢が低い「1型糖尿病 Endotype 1(T1DE1)」と、診断時に年齢が高い「1型糖尿病 Endotype 2(T1DE2)」という2つの異なるサブタイプに分けることを提案している。
自己免疫を抑制する治療の実現が視野に入ってきた
 「1型糖尿病がT1DE1とT1DE2の2つの異なるサブタイプに分けられることが示されました。この発見は、1型糖尿病の原因を解明したり、発症の予防をする治療法を開発するために役立ちます」と、エクセター大学医学部のノエル モーガン教授は言う。

 「また成人でも、休止状態にあるインスリンを産生するβ細胞を再活性化する治療の開発につながる可能性もあります。糖尿病の新しい治療法を開発するための大きな一歩となります」としている。

 現在、1型糖尿病の原因となる自己免疫を抑制し、β細胞が破壊されるのを防ぐ「免疫療法」を開発する研究が世界各地で進められている。1型糖尿病のサブタイプによっては、この「免疫療法」の効果的な方法が異なってくる。

 1型糖尿病と診断された時の年齢によって、「7歳未満」または「13歳以上」というサブタイプを識別するのは簡便な方法になる。しかし、この2つの中間である年齢(7〜12歳)の子供は、どちらかのサブタイプをもっている可能性がある。

 血液検査で、プロインスリンと、インスリン分泌能を知るための目安となるCペプチド(CPR)の値ベルを測定することは、小児だけでなく成人の糖尿病のサブタイプを区別するのにも有効だ。

 1型糖尿病の原因である自己免疫のメカニズムについて、多くの研究が集まっており、それを抑制する治療法の実現が視野に入ってきた。β細胞を破壊する免疫細胞のみを抑えるワクチンの開発などが進められている。

 「新しい治療を可能な限り効果的に行うために、1型糖尿病の病態の複雑さをより詳しく理解する必要があります。今回の研究は目標の達成に向けた大きな前進となります」と、オックスフォード大学病理学のリサーチディレクターであるエリザベス ロバートソン氏は述べている。

Type 1 diabetes is not one but two distinct conditions, defined by diagnosis age(エクセター大学 2020年3月16日)
Type 1 diabetes could be split into two separate subtypes, new research suggests(英国糖尿病学会 2020年3月11日)
Studies of insulin and proinsulin in pancreas and serum support the existence of aetiopathological endotypes of type 1 diabetes associated with age at diagnosis(Diabetologia 2020年3月15日)
[ Terahata ]

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