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2019年10月11日

涙を検査し「糖尿病神経障害」を早期発見 3分の検査でリスクを判別

 涙を検査することで、糖尿病による末梢神経障害を早期発見する方法を、オーストラリアのニュー サウス ウェールズ大学が開発した。糖尿病外来を受診し、血液検査と尿検査を受ける人は多いが、近い将来に涙液サンプルの検査も行われるようになるかもしれない。
もっとも多い合併症「糖尿病神経障害」
 糖尿病神経障害はもっとも発症の頻度が高い合併症で、比較的、糖尿病の早期の段階から症状があらわれる。感覚を伝える抹消神経が障害されることで、足の指や足の裏のしびれ、痛み、感覚まひなどが起こる。

 糖尿病神経障害があると、足の感覚が鈍くなるため、靴ずれや、やけど、足のけがに気付きにくくなる。放置していると、足潰瘍のリスクが高まり、ひどい場合には足切断まで進展することがある。

 さらに、内臓の働きを調整する自律神経が傷害されると、便秘、下痢、胃のもたれなどがあらわれることがある。

 糖尿病神経障害の予防と治療でもっとも重要なのは、血糖コントロールの改善だ。高血圧と脂質異常症を治療することも予防と治療につながる。

 神経が損傷を受けると元に戻すことはできなくなるが、早期発見して治療を開始しコンディションを改善すれば、合併症の進行を抑えることができると考えられている。

関連情報
早期発見すれば合併症の進行を抑えられる
 神経障害の検査として、アキレス腱反射、音叉による振動覚、モノフィラメントによる圧触覚、爪楊枝や竹串による痛覚など、知覚機能が評価される。神経伝導検査が行われることもある。

 ただし、「末梢神経障害を早期の発見するために、医療者は専門的なトレーニングを積む必要があります。神経障害は早期発見が難しいことで有名なのです」と、ニュー サウス ウェールズ大学眼科学部のマリア マコウリィ氏は言う。

 「私たちがこの方法で提案しているのは、非侵襲的に迅速に行われ、専門家でなくても神経障害を的確に早期発見できるようにすることです」。

 研究チームは、1型および2型糖尿病の患者100人の涙液を調べ、2種類のタンパク質(神経ペプチド)の濃度を試験した。その結果、1型糖尿病で末梢神経障害のある患者は涙液に「サブスタンスP」と呼ばれるペプチドが少ないことを発見した。

 サブスタンスPは、アミノ酸11個からなるペプチドで、ニューロキニン受容体を介して、痛み刺激を伝達するシナプスの神経伝達因子として機能している。疼痛や炎症のメカニズムに関連しているだけでなく、痛みの細胞間のシグナル伝達を行う物質としても注目されている。
涙液サンプルを採取するだけの簡単な検査
 「オーストラリアの糖尿病患者のほぼ50%が神経障害を発症しています。とくに1型糖尿病の患者で末梢神経障害が起こると、足潰瘍に進展する危険性が高いのです。神経障害を早期発見し、治療を開始する必要があります」と、マコウリィ氏は強調している。

 「オーストラリアの1型糖尿病患者数は11万9,000人です。近い将来、涙液サンプルを採取するだけの簡単な方法で、神経障害のリスクを測定できるようになる可能性があります。しかも、開業医、内科医、眼科医に限らず、どこでも迅速に検査できるのです」。

 研究チームは、2型糖尿病においても末梢神経障害にリンクするペプチドを見つける研究を続けている。

Tear samples could help detect diabetes complication(ニュー サウス ウェールズ大学 2019年10月8日)
Tear film substance P: A potential biomarker for diabetic peripheral neuropathy(Ocular Surface 2019年8月30日)
[ Terahata ]

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