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2019年10月04日
「低脂肪食」が女性の健康に大きく貢献 糖尿病やがんのリスクが減少
低脂肪の食事をこころがけ、野菜や果物を十分に摂る食事スタイルを長期的続けると、女性の健康にとって大きなメリットを得られることが、20年以上にわたる大規模な研究で明らかになった。
加齢と閉経にともない女性に増える病気を解明
これまでマウスなど使った実験で、低脂肪の食事を与えたマウスは、高脂肪の食事を与えたマウスにくらべ、がんや腫瘍を発症する割合が少ないことが確かめられている。
ヒトを対象とした小規模な研究でも、低脂肪食により乳がんの診断を受けた女性の健康と寿命を改善できることが示されている。
女性を対象としたより大規模な研究で、低脂肪食の効果について確かなことは分かっていなかった。米国のフレッド ハッチンソンがん研究センターのロス プレンティス氏らはこの課題に取り組んだ。
研究は、米国立衛生研究所(NIH)が資金提供している研究プロジェクト「ウイメンズ ヘルス イニシアチブ(WHI)」の一環として行われた。このプロジェクトは、加齢と閉経にともない女性に増える病気の治療と予防について探る目的で、50歳以上の女性を対象に1993年に開始された。
低脂肪食は女性に恩恵をもたらす
研究チームは、低脂肪食の乳がん、結腸直腸がん、心臓病のリスクに対する影響を調べるために、約5万人の閉経後の女性を、20年以上にわたり追跡て調査した。
1993年に「食事改善試験(DM)」と名付けた研究を開始した。米国に住む閉経後の女性4万8,835人を登録し、その40%を野菜、果物、穀物の摂取量を増やすことを目的とした低脂肪食群に、残りの60%を通常の食事をとる対照群にそれぞれ割り当てた。
8.5年後(中央値)に大腸がん、乳がん、冠状動脈性心疾患のそれぞれのリスクに関して、介入群と対照群の間に有意差はみられなかったが、追跡期間を19.6年後(中央値)に延長した結果、研究チームは次のことを発見した。
・ 乳がんと診断された女性では、野菜、果物、穀物を十分に摂り、低脂肪の食事スタイルを続けると、全死因による死亡リスクが15〜35%減少した。
・ 低脂肪食を摂った女性では、インスリン依存性の糖尿病を発症するリスクが13〜25%減少した。
・ 開始時に高血圧または心血管疾患の既往がなかった女性は、追跡期間中に冠状動脈性心臓病を発症するリスクが15〜30%減少した。
食事の影響は長期にわたり検証する必要が
「女性の栄養と病気の予防に焦点をあてた今回の研究では、健康を維持するために食事が重要であることを裏付ける結果になりました。野菜、果物、穀物を十分に摂る低脂肪の食事スタイルには、健康上の多くの利点があり、しかも副作用はみられませんでした」と、プレンティス氏は言う。
今回の研究では、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸を区別せず、また、穀物でも全粒穀物をとくに推奨しなかった。「女性の健康を維持するために、どのような栄養素が重要なのか、今回の研究では解明できませんでした」と、付け加えている。
それでも、「野菜、果物、穀物の増加にともなう脂肪の減少は、乳がん、心臓病、糖尿病を予防・改善するために有利であり、有害な影響はないことが明らかになったことは大きい」と、研究者は結論付けている。
「今回の研究は低脂肪食の長期的な健康への影響を科学的に検証したものです。減量などの短期的な利益を求めている人が、新しいダイエット法や栄養トレンドに飛びつくことは多くみられますが、食事の影響は長期にわたり検証していく必要があります」と、フレッド ハッチンソンがん研究センター公衆衛生学部のガーネット アンダーソン氏は述べている。
New study confirms the long-term benefits of a low-fat diet(フレッド ハッチンソンがん研究センター 2019年9月4日)Low-Fat Dietary Pattern among Postmenopausal Women Influences Long-Term Cancer, Cardiovascular Disease, and Diabetes Outcomes(Journal of Nutrition 2019年6月8日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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