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2019年09月12日

「低血糖」は糖尿病患者の家族にとっても負担 話しあうことで絆が深まる

 糖尿病患者の家族4,300人を対象とした国際調査で、家族の64%が低血糖リスクを心配、または不安に感じていることが明らかになった。
 低血糖について会話をすることが、糖尿病患者の生活を改善し、低血糖に対する不安が家族に及ぼしている大きな負担を軽減することも示された。
日本を含む9ヵ国の糖尿病患者の家族を調査
 低血糖は、血糖値が低すぎる状態のこと。低血糖の初期症状には震え、発汗、心拍数増加などがある。適切な対処をすれば回復するが、適切な対処をしないと重症化し、身体の臓器に必要なエネルギーを供給できなくなるため、混乱、集中力の低下や話しにくさ、痙攣の発作や昏睡、場合によっては死に至ることもある。

 「TALK-HYPO」調査は、ノボ ノルディスクが資金提供し、低血糖が糖尿病患者の家族にもたらす負担を明らかにすることを目的として実施された国際調査。低血糖について家族や医療従事者と話しあうことが糖尿病治療にいかに役立つかも調査した。

 対象となったのは、18歳以上の糖尿病患者(インスリンおよび/またはインスリン分泌促進薬の投与を受けている1型または2型糖尿病患者)の成人家族。4,300人にオンラインでインタビューを行った。

 調査はカナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、スペイン、英国、米国、デンマークの9ヵ国で実施された。回答者の37%は患者の親で、18%は配偶者(パートナー)。平均年齢は46.6歳だった。
低血糖は家族にっても負担に
 その結果、糖尿病患者の家族の64%が、低血糖リスクについて心配、または不安に感じ、66%が少なくとも月1回は糖尿病患者である家族の低血糖リスクについて考えると回答した。

 さらに、糖尿病患者である家族の低血糖管理をサポートしている調査参加者の74%は、その結果として、趣味や休暇などの活動に使える時間や他の友人や家族と過ごす時間が少なくなる、あるいは完全に諦めていると回答した。

 回答者の76%が、低血糖についてもっと話しあうことにより糖尿病患者である家族の生活に好ましい影響がみられるものと考えていた。低血糖に関する話しあいに時間をかけることの重要性が明らかになった。

 80%を超える回答者が、糖尿病患者である家族と低血糖について話しあうことにより、お互いの絆が強くなるように思うと回答。ほぼ同じ割合が、低血糖について話しあうことで、その管理のために自分に何ができるかを理解できるようになり、家族が経験している試練について理解が深まると報告している。
低血糖について話しあうことで生活に好ましい影響が
 低血糖に関する会話をする場合、調査参加者の半数近く(45%)が自分たちの方から話題にすると回答し、43%が糖尿病患者本人が低血糖について話すのを好まないことが主たる障壁になっていると回答した。

 家族の78%は糖尿病患者である家族に、医療従事者と低血糖について話しあうことを勧め、とくに低血糖の予防と治療について話すことを求めている。

 「低血糖は臨床診療において重要な問題であるにもかかわらず、日常の診察では見過ごされがちです。今回の調査から、もっと低血糖について話しあうことが糖尿病患者さんとそのご家族の生活の改善に役立つ可能性が示唆されました」と、Schulich School of Medicine and Dentistryのスチュワート ハリス教授は言う。

 「低血糖について会話をすることが、糖尿病患者さんの生活を改善し、低血糖に対する不安が家族に及ぼしている大きな負担を軽減することに貢献することが明らかになりました」と、ノボ ノルディスクのステファン ゴー氏は述べている。

Family Members: The Forgotten Players in the Diabetes Care Team (The TALK-HYPO Study)(Diabetes Therapy 2019年9月9日)
ノボ ノルディスク ファーマ
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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