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2017年05月23日
糖尿病の治療と仕事の両立 連携して治療をサポート 働き方改革に前進

働き盛りの世代で糖尿病は増えている。仕事を優先させて糖尿病の治療をおろそかにしないために、医療や労働の環境で実施する具体的な対策が考えられている。
糖尿病の治療を早期開始・継続することが必要
働き盛りの世代で糖尿病は増えている。人間ドックを受けた人の4人に1人は「糖代謝異常」と判定されているという報告がある。糖尿病などの治療を続けながら、仕事もおろそかにしないための具体的な施策が必要とされている。
治療と仕事の両立 連携して治療をサポート

両立支援モデル事業を開始 「糖尿病両立支援手帳」で連携
就労している糖尿病患者が真摯に治療に取り組むためには、治療と仕事との両立が円滑に行われていることが重要で、その取組みのひとつは、医師−患者−企業連携を推進し、チーム医療として就労患者をフォローしていく仕組みを開発・普及することだ。
中部ろうさい病院は、2014年度より全国12労災病院で、医療機関と職場の連携を推進しその連携マニュアルを作成するための両立支援モデル事業を開始している。
糖尿病のある就労者は、両立支援に関する事業場内のルールなどにもとづいて、支援に必要な情報を収集して事業者に提出する必要がある。
この際、就労者は職場が定める様式などを活用して、仕事に関する情報を主治医に提供した上で、主治医から必要な情報の提供を受けることが求められる。
そこで提唱されているのが、産業保健スタッフや人事労務担当者が、主治医に相互に連絡できる「糖尿病両立支援手帳」を設けることだ。
これにより、仕事の治療の両立の支援を必要とする患者から相談があった場合に、労働者が必要十分な情報を収集できるようになる。
「糖尿病両立支援手帳」を活用すれば、患者自身や、事業場の関係者(事業者、人事労務担当者、上司・同僚、労働組合、産業保健スタッフなど)、医療機関関係者(主治医、看護師、医療ソーシャルワーカーなど)、地域の支援機関などが、互いの情報を共有でき、相互に必要な情報を交換すること可能になると考えられている。
具体的には、糖尿病のある就労者自身に「糖尿病両立支援手帳」を主治医に受診時に提出してもらい、主治医より現在の治療状況、就労に関わる注意点や就業上の制限の必要性などについて記入してもらい、同時に就業のスタɼルに合わせた治療法を検討してもらう。
手帳に記入された返答より必要情報を得て、事業場の関係者は職場での対応を検討する。


両立支援コーディネーターを養成

就労と糖尿病治療の両立の手引きを作成
糖尿病の治療と就労の両立を支援するために、個々の患者などに応じた「オーダーメイド」の対応が求められる。
また、糖尿病患者やその家族だけでなく、産業医をはじめとする産業保健関係スタッフや主治医、職場の上司・同僚や就労支援機関などのスタッフなど、さまざまな立場の人々が接することが多くなる。
そのため、支援の対象者の職場に関することはもとより、病態の理解、障害の程度や機能を評価できる医療知識、両立支援に必要な雇用に関する法律ならびに利用可能な行政サービスなど、幅広い知識が必要となる。
そこで日本糖尿病協会は、就労環境の整備に携わる産業医、産業保健スタッフへの糖尿病教育支援の一環として、e-ラーニングを受講もらえるシステムの構築を行っているという。
e-ラーニングを通して、簡便に現在の糖尿病や治療のエッセンスの知識を業務に役立ててもらう。また、産業医や保健スタッフの整っていない中小企業などへは、日本糖尿病協会から医師やコメディカルスタッフを派遣する出張糖尿病教室も計画中だという。
企業の視点ばかりでなく、患者の視点も重視した「就労と糖尿病治療の両立の手引き」の作成も計画中だ。

治療と職業生活の両立について(厚生労働省)
治療と就労の両立支援マニュアル(労働者健康安全機構)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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