ニュース
2017年03月22日
糖尿病腎症の早期発見に役立つ検査法を開発 「メガリン」を測定
- キーワード
- 糖尿病の検査(HbA1c 他) 糖尿病合併症
新潟大学の研究グループは、糖尿病腎症の早期診断や予後予測に役立つ可能性のある、糖尿病腎症の成因にもとづく尿検査法を開発したと発表した。
腎臓で、糸球体から濾過されるタンパク質などの物質を再吸収する分子「メガリン」の尿中排泄量を測定するもので、早期から糖尿病腎症の発症・進展しやすさを診断できるようになるという。
腎臓で、糸球体から濾過されるタンパク質などの物質を再吸収する分子「メガリン」の尿中排泄量を測定するもので、早期から糖尿病腎症の発症・進展しやすさを診断できるようになるという。
糖尿病腎症の成因にもとづく検査法を開発
研究は、新潟大学大学院医歯学総合研究科機能分子医学講座の斎藤亮彦特任教授を中心とする研究グループによるもので、米国糖尿病学会誌「Diabetes」に発表された。
糖尿病の合併症である糖尿病腎症は、透析導入原因疾患の第1位を占めている。また、糖尿病患者は腎症を合併すると心臓病や脳卒中の危険も増大することが知られており、糖尿病性の発症・進展を食い止めることは、糖尿病治療における最重要課題のひとつとして挙げられている。
日本では腎不全によって約32万人が透析療法を受けており、その数は年間約3万8,000人ずつ増加している。透析療法は患者の負担が大きいだけでなく、医療費の増加も重要な問題になっている。
これまで、糖尿病腎症が発症・進展しやすい人とそうではない人が存在することは分かっていたが、どのようにしてそうした人を見分けるかは明らかではなかった。
また腎臓を保護するために行われている治療が個々の患者にとって妥当なものかを評価する方法も確立されていない。
そこで研究グループは、糖尿病腎症の成因にもとづき、その発症・進展のリスクを予測し、治療に指針を与えるとともに、簡便に行える検査法の開発に取り組んでいる。
「メガリン」を測定し、糖尿病腎症を早期診断、予後予測
臨床での実用化に向けて研究を開始
Exocytosis-Mediated Urinary Full-Length Megalin Excretion is Linked with the Pathogenesis of Diabetic Nephropathy(Diabetes 2017年2月14日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
糖尿病の検査(HbA1c 他)の関連記事
- 夕方から夜のウォーキングが血糖値を下げる 糖尿病や肥満のある人に運動がおすすめ 睡眠も改善
- 糖尿病の治療を続けて生涯にわたり健康生活 40年後も合併症リスクが大幅減少 最長の糖尿病研究「UKPDS」で明らかに
- 糖尿病の人は胃がんのリスクが高い どうすれば対策できる? 胃がんを予防するための6つの方法
- 「糖尿病網膜症」は見逃しやすい 失明の原因に 手遅れになる前に発見し治療 国際糖尿病連合などが声明を発表
- なぜ男性は女性よりも糖尿病リスクが高い? メカニズムを解明 男性はインスリンの働きを高める対策が必要
- 糖尿病の人は細切れ時間に運動を 階段の上り下りが心筋梗塞や脳卒中のリスクを低下 エレベーターは寿命を短くする
- 「超加工食品」の添加物が糖尿病リスクを上昇 ジャンクフードの食べすぎはやはり健康に良くない
- 「玄米」が糖尿病を改善 白米から置き換えて血糖上昇を抑制 「米ぬか」の健康機能を解明
- 「卵を1日に1個」は健康的 卵を毎日食べても糖尿病や心臓病のリスクは上昇しない
- 塩分のとりすぎは糖尿病リスクを高める 減塩すれば高血圧も改善 減塩食品は身近で買える