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2016年03月17日
糖尿病やメタボが認知症リスクを上昇 若いうちからできる認知症対策
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- 1型糖尿病 メタボリックシンドローム ライフスタイル 糖尿病合併症
高齢化にともない、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)を発症する人が増えている。軽度認知障害の発症リスクが高まる70歳以上の高齢者を対象とした調査が必要とされているが、効果的な治療法はまだ見つかっていない。
「今回の研究では55歳以上(平均年齢65歳)の比較的若い年齢層の人を対象に調査を行いました。結果として軽度認知障害は考えられている以上に若い頃から症状が進むことが明らかになりした」と、シンガポール国立大学のシ ペン ン氏は言う。
研究は、2003~2009年にシンガポールの5つの地域で、1,519人の男女を対象に行われた。参加者は調査開始時に認知機能の異常はなかったが、22.4%(340人)がメタボリックシンドロームと判定された。6年間の追跡期間中に10.6%(141)人が軽度認知障害を発症した。
調査の結果、「メタボリックシンドローム」、手足はやせているが腹部など体に脂肪が付く「中心性肥満」、「2型糖尿病」、「脂質異常症」などのある人は、そうでない人に比べ、軽度認知障害の発症リスクが上昇することが明らかになった。
軽度認知障害の発症リスクは、メタボリックシンドロームで1.46倍、中心性肥満で1.41倍、2型糖尿病で2.84倍、脂質異常症で1.48倍にそれぞれ上昇した。
また、メタボリックシンドロームと糖尿病、心臓疾患の3つの要因をもつ人では、発症リスクは4.92倍に上昇した。
腹囲周囲径の増加、中性脂肪値の上昇、善玉のHDLコレステロールの低下などは心筋梗塞や狭心症などの心臓疾患のリスク要因となるが、最近の研究では認知症の発症にも関連していることが分かっている。
「メタボリックシンドロームと軽度認知障害の発症に関連があることがはじめて分かりました。軽度認知障害は、本格的な認知症へと進行するリスクが高い状態です。効果的な予防法の開発が求められています」と、研究者は述べている。
血糖を下げるホルモンであるインスリンは、脳においても代謝を促す重要な役割を担っている。糖尿病や血糖値が上昇しやすくなる耐糖能異常のある人の体では、インスリンの効きが悪くなるインスリン抵抗性が起きていて、脳のインスリン代謝にも悪影響をあらわれているおそれがあるという。
メタボリックシンドロームや肥満、糖尿病といった疾患が、脳内で炎症を引き起こす毒性のある物質を増やしている可能性もある。メタボリックシンドロームが脳にもたらす悪影響は中年期を過ぎるとあらわれる。
運動不足、不健康な食事、喫煙習慣、過剰なストレスによるメンタル不調はメタボリックシンドロームのリスクを上昇させる。不健康な生活習慣をもつ人はメタボリックシンドロームになりやすく、そうなると生活習慣がさらに悪化するという悪循環に陥り、結果として認知症のリスクを上昇させるという。
「中年期にメタボを解消し、体重を適正にコントロールすることで、将来の認知症の発症をどれだけ予防できるかを解明するためにさらに研究が必要ですが、なるべく若い時期に対策を始めることが必要であること確実です」と、研究者は強調している。
この研究は医学誌「JAMA Neurology」オンライン版に発表された。
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