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2015年07月22日
一晩の睡眠不足が体の老化を促進 毎日のウォーキングで睡眠を改善
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カリフォルニア大学ロサンゼル校の研究チームによると、たった一晩の睡眠不足が、生物学的老化を促進するという。
この研究はカリフォルニア大学精神神経免疫学センターのジュディス キャロル氏らが、米国睡眠医学会の年次集会で発表したもの。
睡眠の不足や質の低下が続くと、糖尿病、心血管疾患、がん、認知症などの加齢に伴い発症が増える疾患のリスクが上昇することが知られている。
「一般的に一晩に7~8時間の睡眠をとることが勧められています。今回の研究は、生活習慣病の予防・改善に、睡眠を十分にとる必要がある理由を解明したものです」と、キャロル氏は言う。
実験期間中は毎朝、参加者の血液を採取し、末梢血単核細胞(PBMC)を調べた。PBMCを献体とする検査で、生きた状態の細胞を調べることができる。
その結果、一晩の睡眠不足によって、細胞の老化が促されることが判明した。細胞が分裂し新たな細胞を産生するまでを示す細胞サイクルが阻害され、細胞の損傷が増えることが明らかになった。
また、PBMCは感染症を引き起こすウィルスを排除する免疫機能の中核を担っている。PBMCがダメージを受けることで病気にもかかりやすくなるとう。
過去の研究では、睡眠不足により、皮膚の細胞の染色体が不均等になり、肌の弾力性が失われることが確かめられている。
「人は誰もが老いますが、たった一晩の睡眠不足が細胞のダメージを引き起こし、老化スピードが加速するのに加え、病気にかかりやすくなることが生物学的に確かめられました」と、キャロル氏は言う。

ペンシルベニア大学のマイケル グランドナー氏らは、生活習慣病の予防や健康促進の効果的な方法を探るために行われている大規模研究に参加した42万9,110人のデータを解析した。
参加者に過去1ヵ月間にどのような運動をしたかを質問し、睡眠時間の平均を尋ねた。その結果、運動を習慣として行っている人は、睡眠時間を十分にとっている傾向があることが分かった。
過去の研究では、平均睡眠時間が7時間以下であると、健康状態が悪くなることが示されている。ウォーキングなどの運動を習慣として行っている人は、7時間以上の睡眠時間を確保している割合が高かった。
運動や身体活動を毎日行うと、概日リズムが調整されやすくなり、夜の決まった時刻に自然に眠れるようになるという。
「交感神経が活発に働いている時間である夕方、特に夕食後に運動をすると、心拍数の増加と筋肉の血流量の増加により、体脂肪の燃焼率が活発になり効果的です。食後の血糖値の上昇も抑えられます」と、グランドナー氏は言う。
ウォーキング以外にも、サイクリングやランニング、筋力トレーニング、エアロビクス、ガーデニング、ヨガ、ピラティス、ゴルフなどの運動も効果があるという。
ただし、家事や育児に関連した身体活動が多過ぎると、睡眠不足のリスクが上昇することも分かった。仕事や家事で毎日が多忙で手一杯であると、概日リズムが乱れやすくなる可能性がある。
「ウォーキングを毎日行うだけでも、睡眠の量と質を改善できます。さらにランニングやヨガなどの目的のある運動を組み合わせると、より効果的であることが分かりました。逆に運動不足は睡眠の質を下げる要因になります。運動習慣をもたない人は、いますぐ運動をはじめるべきです」と、グランドナー氏はアドバイスしている。
Partial sleep deprivation linked to biological aging in older adults(米国睡眠医学会2015年6月10日)
Yoga, Running, Weight Lifting, and Gardening: Penn Study Maps the Types of Physical Activity Associated with Better Sleep Habits(ペンシルベニア大学 2015年6月4日)
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