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2015年05月01日
連休は高脂肪の食事にご注意 たった5日間で筋肉の代謝は低下

高脂肪の食事をわずか5日間とり続けただけで、体のエネルギーの代謝に悪影響があらわれることが、米国のヴァージニア工科大学の研究で明らかになった。高脂肪の食事をとると、ブドウ糖を筋肉に取り組むインスリンの働きが悪くなるという。
糖尿病は血液中のブドウ糖の濃度が慢性的に高くなる病気だ。ブドウ糖は細胞や筋肉でエネルギー源として使われるが、糖尿病になるとブドウ糖は細胞の中に十分とりこまれず、血液中にあふれてしまう。
肥満になると、血糖を下げるホルモンであるインスリンが細胞に十分に取り込まれなくなり、血糖値が高くなる「インスリン抵抗性」が起こりやすくなる。これは、糖尿病予備群でも起こる現象だ。
肥満によって脂肪細胞が増加すると、インスリンの働きを悪くする生理活性物質である「アディポサイトカイン」が放出され、筋肉や脂肪などの組織、肝臓へブドウ糖が取り込まれにくくなる。
わずか5日間、高脂肪の食事をとっただけで、筋肉がブドウ糖や脂肪酸を代謝してエネルギーに変えるメカニズムに異変が起こることが、ヴァージニア工科大学の研究で判明した。この変化が、体重増加、肥満などの健康問題の原因になるという。
「大部分の人は高脂肪の食事が体に悪いことを理解していますが、ほんの数日だけなら大丈夫だろうと思いがちです。しかし、高脂肪の食事を5日間とり続けただけで、筋肉では防御機能と呼べるような反応が働くようになります」と、ヴァージニア工科大学のマット ハルヴァー氏は説明する。
筋肉は人の体の体重のおよそ30%を占める最大の器官だ。筋肉は食事からとったブドウ糖をエネルギーに変換し調整する「クリアリングハウス」の役目を担っている。
食事をすると、血液中のブドウ糖の濃度が高くなり血糖値が上昇する。筋肉は、このブドウ糖をエネルギーとして消費し、余分なブドウ糖はグリコーゲンへ変換され筋肉や肝臓に蓄えられる。
研究チームは、12人の健康な大学生を対象に実験を行った。ソーセージをはさんだパン、マカロニ、チーズにバターといった、脂肪のエネルギー比率を55%に高めた高脂肪食を5日間食べさせて、前後に筋生検を行って筋中のブドウ糖の代謝を測定した。
高脂肪の食事を5日間とり続けた結果、筋肉でのブドウ糖の代謝が阻害され、インスリンに対する反応は悪くなることが判明した。
「通常の食事では、脂肪のエネルギー比率は30%程度です。これを超える量の脂肪をとり続けると、わずか5日間で筋肉でのエネルギー代謝は悪くなることが判明しました」
筋肉でのブドウ糖の取り込みが悪くなることは、エネルギー消費が低下することを意味する。運動や身体活動を行い、筋肉を動かすことが、エネルギー消費を高く維持させることにつながる。
「筋肉でのブドウ糖の代謝を高めるために、休日に食べ過ぎを防ぎ、運動を続けることが必要です。休日に食べ過ぎてしまったという人は、ウォーキングなどの運動に取り組み、筋肉を動かすよう対策した方が良いでしょう」と、ハルヴァー氏は指摘している。
この研究は、米国糖尿病学会(ADA)と米国立衛生研究所(NIH)による支援を受けて行われた。
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