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2015年01月09日
「人工膵臓」が1型糖尿病の治療を改善 夜間低血糖がゼロに
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インスリンとグルカゴンの2種類のホルモンを投与する「人工膵臓」によって、血糖コントロールが改善し、低血糖の頻度も減らせるという研究をカナダの研究所が発表した。
グルカゴン投与の機能を組み込んだ人工膵臓
人工膵臓によって夜間低血糖をゼロに抑える
試験にはインスリンポンプ療法を3ヵ月以上継続している30人の成人と10代の1型糖尿病患者が参加した。参加者は2013年2月と2014年5月の期間に研究施設に1晩の入院を3回行った。
従来のインスリンポンプ療法に比べ、シングル人工膵臓と、デュアル人工膵臓の2つのパターンで、血糖コントロールや低血糖の頻度がどれだけ変化するかを調べた。
その結果、血糖値が正常範囲内にとどまった時間は、シングル人工膵臓を使った患者では62%、デュアル人工膵臓を使った患者では63%だった。ともに、従来のインスリンポンプ療法の際の51%より改善していた。
低血糖の頻度の合計は、シングル人工膵臓では13例、デュアル人工膵臓では9例が確認された。従来のインスリンポンプ療法では、徴候性低血糖12例を含む52例が確認されており、人工膵臓によって低血糖が大きく減らせることが示された。
特に夜間の低血糖については、インスリンポンプ療法では13例が確認されたのに対し、シングル人工膵臓およびデュアル人工膵臓では0件で、人工膵臓が夜間の低血糖を防ぐのに効果的であることが示された。
「特に1型糖尿病患者の幼い子供をもつ親にとっては、睡眠中の低血糖は大きなストレスや不安となります。人工膵臓によって夜間低血糖をゼロに抑えられたことは期待をもたらします」と、モントリオール大学小児内分泌学の専門医であるローレント レゴ氏は言う。
インスリンとグルカゴンのデュアル人工膵臓では予想されていたほど優位性が認められなかった点につき、人工膵臓はまだ開発途中にあることや、今回の研究規模が小さかった点などを指摘している。人工膵臓は2020年より前に上市することを目標に開発が進められている。
「人工膵臓は従来のインスリンポンプ療法に比べ、血糖コントロールを改善し、低血糖のリスクを減らすことが確かめられました。人工膵臓は、糖尿病の管理や患者とその家族の生活の質を向上すると期待しています」と、IRCMのアーマド ハイダル氏は述べている。
研究は医学誌「ランセット 糖尿病&内分泌学」に発表された。
Artificial pancreas shown to improve the treatment of type 1 diabetes(モントリオール大学 2014年11月27日)Comparison of dual-hormone artificial pancreas, single-hormone artificial pancreas, and conventional insulin pump therapy for glycaemic control in patients with type 1 diabetes: an open-label randomised controlled crossover trial(ランセット 糖尿病&内分泌学 2014年11月26日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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