ニュース
2015年01月13日
がんを生活改善で予防 米国がん学会が勧める「予防ガイドライン」
- キーワード
- 糖尿病合併症

2001年に発表された米国がん学会(ACS)のがん予防ガイドラインでは、次の生活スタイルをアドバイスしている。糖尿病の治療とも共通する内容が多い。
● 標準体重を維持する
健康的な体重を生涯にわたり維持することが、がんの予防につながる。肥満を予防するために必要なことは「高カロリーの食品や飲料を控えること」と「適度な運動をすること」。
● 適度な運動を習慣として続ける
適度な運動を週に合計150分間行うか、中強度の運動を75分行うことが勧められる。テレビの前でソファーに横たわり、エンターティメント番組ばかり見続けるのは体に良くないので、日常生活で身体活動を増やす工夫する。
● 高カロリーの食品を食べない
肥満のある人は、食事を見直して体重を減らすことで、健康増進の効果を得られる。加工食品を利用するときは、栄養表示ラベルを見ることが役立つ。
● 植物性の食品をとる
体重コントロールを改善するために、食品を選ぶことが大切。野菜や果物は低カロリーで、ビタミンやミネラルなど体に良い栄養成分が含まれる。逆に、加工肉や赤身肉はがんの発症を増やすので食べ過ぎに注意する。穀類は精製されていない全粒粉や玄米などが勧められる。
● アルコールに注意
アルコールの飲み過ぎはがんの発症を増やす。節度ある適度な飲酒量は1日平均純アルコールで20g程度で、これは「ビール中ビン1本」に相当する。飲酒後に顔が赤くなる「フラッシング反応」を起こす人は、これより飲酒量を少なくした方が良い。
研究チームは、がんの予防効果を調べるために「がん予防ガイドライン」にどれくらい従っているかによって5つのグループに分けて解析を行なった。その結果、がんを含む全死因による死亡リスクは、もっとも順守度が高い男性では26%低くなり、女性では33%低くなった。
また、がんによる死亡リスクについては、もっとも順守度が高い男性は25%、女性は24%低くなった。がんの発症リスクについては、男性ではもっとも順守度が高いグループは、もっとも低いグループより10%低く、女性では19%低くなっていた。
がんの種類ごとにみると、胆のうがん(男女合わせて48%減)、肝臓がん(男性48%減、女性35%減)、直腸がん(男性40%減、女性36%減)などで、がんの発症が大きく減少することが確かめられた。
ACSのがん予防ガイドラインで推奨されている生活スタイルの項目ごとのリスクについても検討したところ、全死亡率の低下にもっとも大きく影響しているのは「健康的な体重の維持」と「運動の習慣化」であることが判明した。
「がん予防ガイドラインに沿った生活スタイルが、がん予防において大きな効果をもたらすことが明らかになりました。がんの種類によっては順守するほど予防効果が高まります」と、アルベルト アインシュタイン医学校のジェフリー カバト氏は述べている。
Sticking to Lifestyle Guidelines May Reduce Risk for Certain Cancers and for Overall Mortality(アルベルト アインシュタイン医学校 2015年1月7日)
American Cancer Society guidelines on nutrition and physical activity for cancer prevention(米国がん学会 2012年1月11日)
糖尿病合併症の関連記事
- 運動と健康的な食事の組み合わせで効果は最大に 内臓脂肪が減り転倒も防止 女性にも運動が必要
- 魚を食べている人は糖尿病リスクが少ない 魚は脳の健康にも良い 中年期の食事改善は効果が高い
- テレビの視聴時間を減らすと糖尿病リスクは減少 遺伝的リスクのある人も心臓病や脳卒中を予防できる
- 朝食をしっかりとると糖尿病が改善 血糖管理に大きく影響 朝食で「お腹ポッコリ」肥満を予防
- 糖尿病の人は脳卒中リスクが高い 血糖値を下げれば脳卒中を予防できる ストレス対策も必要
- 「超加工食品」の食べすぎは糖尿病リスクを高める 筋肉の質も低下 「自然な食品」はリスクを減らす
- ウォーキングなどの運動で糖尿病リスクを減少 余暇時間の運動が寿命を4.5年延ばす 仕事の後は体を動かす習慣を
- 腎不全の患者さんを透析から解放 「異種移植」の扉を開く画期的な手術が米国で成功
- 【世界肥満デー】内臓脂肪が増えると糖尿病リスクは上昇 肥満は脳のインスリンの働きを低下 認知症リスクが増加
- ウォーキングなどの運動で糖尿病など19種類の疾患のリスクを減少 わずか5分の運動で認知症も予防