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2014年11月11日
40歳以下で合併症を発症 仕事や食事などが2型糖尿病に影響

調査は2011年10月〜2012年3月末に行われ、民医連に加盟する全国96医療機関を受診した20〜40歳の2型糖尿病患者782人を対象に、病歴や合併症の有無、生活環境などについて尋ねた。
調査の対象となった40歳以下の患者は、全体に平均世帯収入や学歴が低く、非正規雇用が多い傾向がみられたという。そうした社会経済状況(SES)が、糖尿病の発症や血糖コントロールに影響している可能性が高いという。
日本の糖尿病患者の平均BMIは23程度で、全体的には肥満は少ないという報告があるが、40歳以下の2型糖尿病に限ってみると、肥満との関連が強いことが示された。
就学年数が短かかったり、非正規雇用、生活保護受給、未婚または離婚のひとり暮らしの人に、合併症が多い傾向がみられた。
治療費の負担が重いと感じていることが、定期的な受診の妨げとなり、血糖コントロールをさらに悪化させる原因になっている可能性がある。
夜10時以降の食事と、短い睡眠時間も血糖コントロールを悪化させる要因となることも明らかになった。夜遅く帰ってきて、食事も睡眠の時間も遅くなるような生活形態や、仕事とは関係なく夜食(間食)をとるような生活習慣は、血糖コントロールを乱す原因になる。
患者自らが、糖尿病の病態、合併症の予防、今後の予測、検査結果の理解、食事や運動、薬の役割などの基本的な健康情報を理解し、自分の療養生活に反映させていく能力を「ヘルスリテラシー」という。
患者がヘルスリテラシーを身につけるためには、医療者と患者の情報の共有や療養指導の改善が重要となる。報告書では「貧困による健康格差をなくす取り組みと同時に、患者の治療に対する姿勢・積極性を高めるためにどんな工夫ができるのか、医療現場に検討が求められる」と指摘している。
患者にとっては、仕事をしながら療養できるような労働環境の改善が必要となる。研究をまとめた城北病院(石川県)の莇也寸志副院長は「医療者にとっては、患者の療養姿勢のみをみるのではなく、治療を中断してしまう患者の社会的な背景にまで配慮し、悩みに積極的にかかわる姿勢も必要」と訴えている。
全日本民医連「暮らし、仕事と40歳以下2型糖尿病についての研究」結果公表(全日本民医連医師臨床研修センター 2014年10月29日)
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