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2014年11月11日
歩き方を変えると気分が変わる ウォーキングはストレス解消に効果的
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研究では、英国で多くのウォーキングイベントを主催するNPO組織「ウォーキング フォー ヘルス」の協力のもと、1,991人の参加者を対象にウォーキング前後のストレスレベルの変化などを調査した。
その結果、ウォーキングプログラム終了後に、参加者全体にストレスレベルやメンタルヘルスの改善がみられ、特にうつ傾向のある参加者で数値に大きな改善がみられたという。
「参加者は、運動の前後に、ストレッチの方法や正しい姿勢の歩き方のレクチャーを受けました。グループで参加すれば、こうした指導を効率良く受けることができます」と、研究を主導したミシガン大学のサラ ワーバー氏は話す。
「ウォーキングは誰でも簡単に行えるエクササイズです。自然が豊かな環境と効果的な指導が加わることで、非常に効果的なストレス対策となる可能性があります。この研究結果は、薬に頼らない症状の改善法としてうつ病などの治療に役立つのではないかと期待されています」と述べている。
これに対して、逆にウォーキングのスタイルを変えることによって気分を変えることが可能という研究が、カナダのクイーンズの研究者らによって報告された。
「幸福な気分の人は、落ち込んだ気分の人に比べ、より正しい元気な姿勢で歩く傾向があることが以前の研究で確かめられました。今回の研究では、ウォーキングのスタイルを変えることがメンタル面に影響するかを調べました」と、クイーンズ大学のニコラウス トロジェ氏は言う。
研究者らは、肯定的な言葉と否定的な言葉のリストを作成した。肯定的な言葉としては「かわいい」(pretty)、「良い」(good)といった言葉を、否定的な言葉としては「恐れ」(afraid)、「不安な」(anxious)といった言葉がリストアップされた。
研究に参加した39人にリストアップした言葉を見てもらった後で、2つのグループに分け、片方には、肩を丸めて、腕の動きが少ないいわゆる「落ち込んだとき」のスタイルの歩き方を促した。もう片方のグループには、背筋を伸ばし、歩幅を広げて、「幸福な気分のとき」のスタイルの歩き方を促した。
ウォーキングの後で、参加者に先に示した言葉のリストの中から、覚えている単語をできるだけたくさん思い出して書き付けてもらった。その結果、幸福な気分のときのスタイルでウォーキングした参加者は、より多くの肯定的な言葉を覚えていた。
「思い出した言葉が肯定的なものであったことは、姿勢の良い元気な歩行スタイルが実際に気分の落ち込みを防ぐ効果があることを示しています」と、トロジェ氏は説明する。
「ウォーキングの姿勢はメンタル面にも影響します。良い姿勢でウォーキングをすることが効果的であることを裏付ける調査結果になりました」とまとめている。
Walking off depression and beating stress outdoors? Nature group walks linked to improved mental health(ミシガン大学 2014年10月23日)
Change your walking style, change your mood(カナダ先進調査研究所 2014年10月15日)
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