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2014年10月24日
なぜ糖尿病になると「心の負担」を感じやすいのか 社会心理学で解明
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糖尿病の治療では生活習慣の変容が求められるが、「心の負担」が伴いやすい。池田特定助教らは、内田特定准教授らとともに、日本と米国の糖尿病患者を対象に、協調性、周囲の人との心のつながり、糖尿病の心の負担を調査し、相互の関連を検討した。
研究チームは、京都大学医学部附属病院と米デラウェア大学の病院で、外来受診患者を対象として質問紙による調査を行った。文化・社会心理学の領域で用いられる、協調性の程度や身近な周囲の人からの心のサポートを尋ねる質問紙や、糖尿病学の領域で用いられる、糖尿病から生じる心の負担を尋ねる質問紙を用いた。
その結果、日本人糖尿病患者では協調性を重視する人ほど糖尿病による心の負担を強く感じる傾向があることが判明。さらに、身近な人からの「心のサポート」を強く実感している人では、この負担感が小さいことも分かった。一方、米国人患者ではそのような関連がみられなかった。

一方、糖尿病の療養を支援する手法は特に北米において検討が進んでおり、日本でもそれらの手法がよく知られているが、糖尿病患者を対象とした調査は少ない。
今回の研究は、文化・社会心理学の面から、日米の糖尿病患者を比較し、アジアに特有の要因を示した研究として大きな価値をもつ。
個人の意思や能力が行動に多く影響する米国と異なり、日本などアジアでは、周囲の他者との調和を重視する相互協調性の高い文化や社会が特徴的とされる。
協調性を重視する程度やサポートの効果には個人差も大きいが、アジアでは身近な人からの共感や励ましが、糖尿病患者の心の負担の軽減やその結果としての治療の成功に効果を発揮しやすいとしている。
「協調性を重視する程度や周囲からの心のサポートの効果には個人差が大きいが、日本などアジアの国では周囲の他者との調和を重んじる相互協調性の高い文化や社会が形成されています。このことを考慮に入れた治療戦略を確立することで、多くの糖尿病患者の心の負担の軽減やその結果としての治療の成功にも貢献できるようになります」と、池田特定助教は述べている。
京都大学医学部附属病院
京都大学こころの未来研究センター
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