ニュース
2014年05月08日
「夫婦間がぎくしゃくしている?」 血糖値をチェックしよう
- キーワード
- 糖尿病の検査(HbA1c 他)

米オハイオ州立大学のブラッド ブッシュマン教授(コミュニケーション・心理学)は、血糖値と配偶者に対する怒りの程度について、次のような研究を行った。
107組の夫婦を対象に、夫婦仲の満足度についてアンケート調査を行った。次に、配偶者に対する怒りの度合いを測るために、ユニークな方法で実験を行った。
すべての参加者に布で作ったヴードゥー人形を配り、それを配偶者の代理だと思うように指示した。21日間の期間中に毎日、1日の終わりに参加者は配偶者に対する怒りの度合いに応じて、0〜51本のピンを人形に刺すように求められた。それは配偶者がいない場所で実行され、その数が記録された。
参加者は、血糖自己測定器を用いて、朝食前と就寝時に血糖値を測定した。その結果、血糖値が98mg/dL以下で低めであるほど、ピンを刺す本数が多い傾向がみられた。
次に、参加者を夫婦別々に実験室に連れて行き、夫婦でコンピュータゲームをプレイしてもらった。
ゲームは、画面上に現れる的を狙い、夫婦で対戦するというものだった。そして、参加した夫婦は、勝った方が負けた方に、罰ゲームとして、大音響の不快なノイズをヘッドフォンで聞かせるように言われた。
実際にはゲームの相手は配偶者ではなくコンピュータで、2回に1回は勝つように調整されていた。罰ゲームの音響は、勝者が音の大きさと長さを選択できるようになっていた。
その結果、常に血糖値が低めの人は、配偶者に不快なノイズをより大きな音で長い時間にわたって聞かせる欲求が強く、攻撃的であることが判明した。
21日間の実験によって、研究チームは、配偶者に対する怒りの程度を予想するのに、血糖値の測定が有用との結論に達した。
なぜ空腹を感じ血糖値が下がり過ぎると夫婦仲がぎくしゃくしやすいのか? ブッシュマン教授は「怒りはコントロールするのがもっとも難しい感情です」と指摘する。
他人とのコミュニケーションや意思決定、感情の抑制などは、脳の「前頭前野」でコントロールされる。血糖(グルコース)は脳のエネルギー源であり、怒りの衝動をコントロールするために、多くのエネルギーが必要になるという。
「脳は体重の2%しかありませんが、消費カロリーの20%を占めています。カロリーが足りなくなると、脳にも影響があらわれます」とブッシュマン教授は言う。
食事をしながら対話することが、円満な夫婦関係や家族の秘訣と言われが、これは理に適っているといえる。「食事中は言い争いなどをしないように、心がけるべきでしょう」とアドバイスしている。
Lashing Out at Your Spouse? Check Your Blood Sugar(オハイオ州立大学 2014年4月14日)
糖尿病の検査(HbA1c 他)の関連記事
- 糖尿病の人は脳卒中リスクが高い 血糖値を下げれば脳卒中を予防できる ストレス対策も必要
- 糖尿病の食事に「ブロッコリー」を活用 アブラナ科の野菜が血糖や血圧を低下 日本でも指定野菜に
- 【国際女性デー】妊娠糖尿病や妊娠高血圧のリスクのある女性の産後の検査が不十分 女性の「機会損失」は深刻
- 【歯周病ケアにより血糖管理が改善】糖尿病のある人が歯周病を治療すると人工透析のリスクが最大で44%減少
- 早い時間に食事をとると糖尿病リスクは減少 「何を食べるか」だけでなく「いつ食べるか」も重要
- 「温泉療法」で⾼⾎圧を改善 ストレスによる睡眠障害を緩和 冬の温泉⼊浴では注意点も
- 糖尿病の予防はすぐにはじめられる こんな人は糖尿病リスクが高い 東京都など
- 「超加工食品」の食べすぎは糖尿病の人にとって危険? 血糖値が上昇し筋肉の質も低下
- 握力が低下している人は糖尿病リスクが高い 握力や体力を維持して糖尿病リスクを減少
- 糖尿病の人は脳卒中リスクが高い 脳卒中の脅威は世界で拡大 【脳卒中を予防するための8項目】