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2014年04月18日
運動して高血圧を改善 水中エアロビクスがお勧め

サンパウロ大学が行った研究には、32人の治療抵抗性高血圧患者が参加した。参加者は、全員が治療抵抗性高血圧と診断され、最高血圧(収縮期血圧)は140mmHg、最低血圧(拡張期血圧)は90mmHgよりも高かった。血圧コントロールの目標は120mmHg/80mmHgだ。
参加者を2つのグループに分け、片方にはエアロバイクなどの通常の運動に取り組んでもらい、もう片方には水中エアロビクスに取り組んでもらった。1回1時間の運動を、週に3回行った。実験は12週間にわたり行われ、参加者は期間中、降圧薬の服用を続けた。
その結果、水中エアロビクスに取り組んだ高血圧患者は、平均して血圧が36mmHg/12mmHg下がっており、ほとんどが正常域に到達していた。通常の運動を行ったグループでは、改善はみられなかった。
(1)運動に加えて、水圧が体にかかるので、血液の循環が良くなる。
(2)水の抵抗に逆らって歩くため、ゆっくり歩いても筋力と心肺機能を強化できる。
(3)水の浮力により、腰や膝などの関節への負担が減るので、体力が低下している人や高齢者、運動習慣のない人でも無理なく行える。
(4)水中で多くの熱が体から奪われるので、カロリー消費量が多くなる。余分な体脂肪を減らす効果を期待できる。
水中エアロビクスに取り組んだグループは、▽ウォームアップ(5分)、▽水の抵抗を使った水中体操(20分)、▽中強度の水中ウォーキング(30分)、▽クールダウン(5分)というローテーションで運動を続けた。
高血圧は、心臓病や脳卒中、腎臓病などの原因になる。減塩や運動によって、血圧値を下げることができるが、十分に血圧が下がらない場合は、薬物療法が開始される。降圧薬は一生飲み続ける必要がある。
「治療抵抗性高血圧のある患者さんに対しても、水中エアロビクスは効果的であることが確かめられました。血圧を5mmHg下げただけでも、心臓病や脳卒中の危険性を最大で14%下げることができます」と、英国心臓財団の心臓病専門看護師のドイルアン マドック氏は指摘する。
研究者は、今回の研究では、プールの水温が32度だったことを指摘している。公共プールの多くは水温を28〜30度に管理されているので、今回の実験に使用したプールは水温が高めだった。
「もちろん通常の高血圧のある患者さんにも、水中運動にチャレンジすることをお勧めしますが、今回の研究では水中エアロビクスと高血圧の薬物療法と組み合わせることで効果が高いことが判明しました」と述べている。
Can warm-water exercise help high blood pressure?(国民保健サービス 2014年4月3日)
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