ニュース
2014年02月25日
糖尿病で足を切断しないために 足の動脈硬化「閉塞性動脈硬化症」
- キーワード
- 1型糖尿病 フットケア情報ファイル 糖尿病合併症


すると、閉塞性動脈硬化症と診断され、治療を開始した。治療後、諦めていた足の痛みはなくなり、歩けるようになった。運動療法を積極的に行うようになった結果、血糖コントロールも改善した。「年のせい」ではなかったのだ。
閉塞性動脈硬化症では、血管が動脈硬化によって狭くなったり、つまってしまうことで血流が悪くなり、さまざまな症状が起こる。まず最初に手足の冷たい感じやしびれを感じるという程度の症状が出る。やがて、筋肉が血行障害で痛むようになる。
血流が悪化すると歩行中に足が痛くなり、歩けなくなることもある。立ち止まって休むと血行障害が改善され痛みが治まり歩けるようになるが、しばらく歩くと、また痛みだす。これが「間欠性跛行」の症状だ。この症状が起こると、歩くのがつらくなり、歩行距離が短くなる。
糖尿病の人が血糖コントロールが悪い状態が続くと、血管の老化が健康な人より早く進み、閉塞性動脈硬化症が起こりやすい。その場合、足に潰瘍や壊疽が起こることがある。糖尿病神経障害が起きている場合は、傷をつくっても気づかなかったり、痛みに鈍感になっているため感染症が広がりやすいという問題も起こりやすい。
ABIの測定は、足の症状や、脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化疾患をもった人に勧められる。糖尿病や高血圧症、脂質異常症のいずれかひとつをもっている人には積極的な測定が勧められる。また、ABIが低く、異常であるため積極的に問診をしたところ、足のしびれや、冷感などの症状が、実は以前からあったという方も非常に多いという。
閉塞性動脈硬化症の治療には、まず患部(動脈の詰まった箇所)を正確に特定する必要があり、一般的には血管エコー、CT、MRI(磁気共鳴画像装置)による脚部血管の画像診断が有効だ。
足のしびれや、冷感など症状はあるが、軽度であれば薬物療法で症状が良くなることも多いが、薬で効果を得られない場合や、動脈硬化が進行して症状が悪くなっている場合は、物理的に血行をよくするインターベンション治療が検討される。
インターベンション治療とは、血管に通したカテーテル(管)を使って、狭くなりつまりかけた血管の状態を改善し血液の流れを良くする治療法。血管に細い管(カテーテル)を入れ、カテーテルの先端に取り付けた風船をふくらませ、ステントと呼ばれる金属製の小さな筒を血管内に埋め込み、つまっている血管を拡げる治療法だ。
インターベンション治療は急速に進歩している。特にカテーテル治療の発展はめざましく、最近では血管が細くて以前は治療できなかった膝から下の血管に対しても、足先の症状が重度の場合に、治療を行えるようになってきた。
「小さな傷が治らず、壊疽に至るのは、糖尿病が血管の動脈硬化を進行させてしまい、血管が詰まって血液の循環が悪くなっているから。血管が詰まって、そこから先に新鮮な血液が末端に届けられないために傷が治らず、傷が感染を起こし、潰瘍化してしまうのです」と、福岡山王病院循環器センター長の横井宏佳先生は話す。
足に壊疽が起きてしまうと、これまでは切断手術による対処療法しかなかった。ところが、壊疽の原因となっているつまった足の血管をインターベンション治療によって拡張する治療法により、足の切断を回避できるケースが増えている。
重症虚血性肢疾患にインターベンション治療を行う施設では、「足切断しか手がない」という診断が出ていても、まず血流診断を行う。インターベンション治療の適応があれば、足の付け根からカテーテルを通しつまった血管を拡げる。膝下の重症虚血性肢疾患で積極的なインターベンション治療を行うことで、血流が回復、血行が改善して潰瘍や壊疽が治ったと報告されている。
「大切なのは、足の血管病の前兆を見逃さず、きちんと治療すること。閉塞性動脈硬化症は、治らない病気ではありませんが、早期の診断が大事です。足の血管病で現れる症状は、足が冷たい、足がしびれる、足が痛いなど。進行すると足の傷が治りにくくなります。足に異常を感じたら、医師に相談してABI検査を受け、下肢虚血の客観的診断を受けて欲しい」と、福岡山王病院循環器センター長の横井宏佳先生は話す。
福岡山王病院では、糖尿病内科と壊死した組織の周辺に血が行くように血流を改善する循環器内科、血管外科、壊死した部分を処置する形成外科などが連携し、フットケア外来を立ちあげ、脚の救済に取り組んでいる。重症であっても脚を切断しなければならない患者は減少した。
地域の糖尿病や腎臓専門の医師やかかりつけ医と密接な連携をとり、ABIの早期施行や血管専門技師による精査、そして必要な患者には循環器科・血管外科で血行再建を行い、創傷患者は形成外科で創傷管理を行い、この全過程に看護師がフットケアとして関わる診療体制を確立した。していきたい。
「閉塞性動脈硬化症は足切断に至る場合もある深刻な病気であり、自覚症状もはっきりしているのに、実際の医療現場では、血管がつまっていることが見過ごされる場合が少なくありません。大事なのは早期に発見することです。悩んでいる患者さんは、気軽に循環器専門医を受診してください」と、横井先生は述べている。
福岡山王病院
(一社)日本フットケア学会
日本下肢救済・足病学会
1型糖尿病の関連記事
- 腎不全の患者さんを透析から解放 「異種移植」の扉を開く画期的な手術が米国で成功
- ヨーヨーダイエットが1型糖尿病の人の腎臓病リスクを上昇 体重の増減を繰り返すのは良くない
- 世界初の週1回投与の持効型溶解インスリン製剤 注射回数を減らし糖尿病患者の負担を軽減
- 腎不全の患者さんを透析から解放 腎臓の新しい移植医療が成功 「異種移植」とは?
- 【1型糖尿病の最新情報】幹細胞由来の膵島細胞を移植する治療法の開発 危険な低血糖を防ぐ新しい方法も
- 若い人の糖尿病が世界的に増加 日本人は糖尿病になりやすい体質をもっている 若いときから糖尿病の予防戦略が必要
- 【1型糖尿病の最新情報】iPS細胞から作った膵島細胞を移植 日本でも治験を開始 海外には成功例も
- 1型糖尿病のランナーが東京マラソンを完走 CGMとインスリンポンプを組み合わせたシステムでより活動的に
- 運動に取り組み糖尿病を改善 血糖値が下がりすぎる低血糖にもご注意 1型糖尿病の人に最適な運動法は?
- 「スマートインスリン」の開発が前進 血糖値が高いときだけ作用する新タイプのインスリン製剤 1型糖尿病の負担を軽減