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2014年01月20日
フィリピンの糖尿病事情について インスリン・フォー・ライフ レポート
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- 1型糖尿病
オーストラリアで途上国の糖尿病患者さんを支援するインスリン・フォー・ライフ(IFL)のスタッフが2013年10月にフィリピンとベトナムを訪問し、現地の糖尿病患者さんに対する支援やケアなどの実態調査を行いました。
今回、IFLのニール・ドナラン氏より、フィリピンの糖尿病事情に関する現地レポートが届きましたので、ご紹介いたします。
国際糖尿病支援基金はこの活動に賛同し、インスリン・フォー・ライフ(IFL)を支援しています。
今回の調査には、インスリン・フォー・ライフ(IFL)代表のロン・ラーブ氏、TADE(台湾糖尿病エデュケーター協会)のクリスティーン・シュウ氏とシャロン・チェン氏、日本からは看護師の湧井晶子氏が参加し、フィリピンのセブ市へ向かいました。
フィリピンの総人口は9千8百万人で、セブ市の人口はおよそ86万6千人です。
我々は10月9日に到着し、その夜はディナーと現地の支援団体である「スイートアラート」主催のプレゼンテーションミーティングに出席しました。彼らのプレゼンテーションの後に、ラーブ氏はIFL オーストラリア&グローバルについて、シュウ氏とチェン氏は台湾の糖尿病教育について、湧井氏は日本の糖尿病教育と看護師としての経験を話しました。
この「スイートアラート」とは、セブ市で働く女性たちが設立した人道支援団体で、経済的に恵まれないフィリピンの糖尿病患者さんへ、糖尿病療養に必要な物資をサポートしています。 会長のアーミ・ガルシア氏は、ヴィンセント・ソット・メモリアル医療センターから来たマリアン・デノポール博士への支援も約束しました。
我々はセブ市内の3つの主要病院を訪問しました。
IFL は、ヴィンセント・ソット・メモリアル医療センターのヘラルド・アキノ最高経営責任者と会い、JDF (小児糖尿病財団)が毎年行っている、小児糖尿病キャンプに関してのプレゼンテーションに出席しました。
ヴィンセント・ソット・メモリアル医療センターは800床あり、従業員800人、医療スタッフ115人、医師80人で、600人の外来患者を対応しています。ここは 、セブ州(人口680万)全域の人々へ医療を提供する地域中核病院です。
マリアン・デノポール医師は、1日に約70名の糖尿病患者さんを診察している内分泌科のチーフです。現在、165名の患者さんが定期的にインスリンの供給を受けています。 緊急治療室では常に7バイアルのインスリンを確保し、病棟では13バイアル、重症棟では1バイアル、通常でも1バイアルを維持しています。
CCMC (セブ市医療センター)は300床の市立病院で、主にセブ市から来る患者さんの診察を優先しています。
糖尿病センターは火曜日と木曜日に診療しており、一日約20人の患者さんを治療しています。インスリン1バイアルは毎月無料で提供されますが、血液検査は受診毎に行なわれ、患者さんは1ドルを自己負担しなくてはなりません。
尿検査は行っていません。もし診療日以外に重症の糖尿病患者さんが来院した場合は救急外来に入院が認められており、救急外来でも多少のインスリンを提供しています。「スイートアラート」はこの病院に部屋を持っており、IFL オーストラリアによって提供されたインスリンを、小さな冷蔵庫で保管しています。
我々の訪問後、2013年10月15日に地震が発生し、この病院も被災しました。患者さんは他の病院に移送され、このことはセブでの保健事業に大きなストレスを与えました。現在「スイートアラート」は、インスリン保管のために、別の病院を探しています。
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