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2013年09月04日

糖尿病の生涯医療費は1人あたり830万円 米調査

 2型糖尿病患者1人あたりの生涯医療費の平均は約830万円(8万5,000ドル)であることが、米国で行われた調査であきらかになった。医療費を押し上げているのは糖尿病合併症であり、医療費を抑えるためにも予防が重要であると、専門家は強調している。

 米国の糖尿病有病数は約2,600万人だ。糖尿病は増え続けており、2034年までに2倍に増加すると予測されている。2012年の糖尿病による直接医療費は17兆2,480億円(1,760億ドル)で、医療費以外の経済的な損失は6兆7,620億円(690億ドル)とみられている。

 今回の研究は、米国全国健康・栄養調査(NHANES)の2009〜2010年のデータをもとに、2型糖尿病患者1人あたりの生涯の直接医療費を、年齢や性別、糖尿病合併症などの観点からシュミレートし算出したものだ。

 それによると、2型糖尿病の生涯医療費の平均は、約830万円(8万5,000ドル)に上るという。このうち半分以上(53%)は糖尿病合併症によるものだ。

 1人あたりの糖尿病の生涯医療費は、540万円(5万5,000ドル)から1,270万円(13万ドル)まで幅広く分布している。糖尿病の医療費は、糖尿病を発症した年齢と、糖尿病合併症の有無によって変動する。糖尿病を発症する年齢が高く、また糖尿病合併症を発症しなければ、あるいは合併症の発症を遅らせることができれば、それだけ医療費を安く抑えられる。

 細小血管症(網膜症、腎症、神経障害)と、大血管症(冠動脈疾患、脳血管障害)を発症すると、医療費は高くなる。また、女性は一般的に男性より長生きするので、発症年齢と病態が同じくらいであると、生涯医療費は女性の方が高くなる。

 「2型糖尿病は完治しない病気であり、生涯にわたって大きな経済的負担を強います。医療費が増えるのを防ぐ方法は、糖尿病の治療を行い、糖尿病合併症を予防するか、発症を遅らせることです」と、米国疾病対策センター(CDC)の糖尿病部門のXiaohui Zhuo氏は話す。

 「このまま糖尿病を発症する人が増え続ければ、米国の医療費負担は莫大なものになり、社会保障にも深刻な打撃を及ぼします」と、米国糖尿病学会(ADA)の医学・科学部門の責任者であるロバート ラトナー氏は話す。

 「ただし、糖尿病の医療は年々進歩しており、腎臓病による慢性腎不全や、末梢動脈疾患による下肢切断に至る患者が減少しはじめたことや、冠動脈性心疾患の治療が進歩するなど、良い兆しも出ています。糖尿病が経済的負担を強いる病気であり、予防が重要であることは確実です。そのことを医療スタッフや患者に加え、広く社会にアピールしていく必要があります」と、ラトナー氏は強調している。

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(注)文中では1ドル=98円で計算しています。

Lifetime Direct Medical Costs of Treating Type 2 Diabetes and Diabetic Complications(American Journal of Preventive Medicine September 2013年9月)
American Diabetes Association Releases New Research Estimating Annual Cost of Diabetes at $245 billion(米国糖尿病学会 2013年3月6日)

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[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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