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2013年08月27日
糖尿病を改善する「日本人の健康な食事」 厚労省が2回目会合を開催

「糖尿病の食事療法は治療の根幹であり、“食べる楽しみとしての食事”の観点と、“治療としての食事”の両立が求められる。理想的なのは、雑穀米などを含む主食(ご飯)と、魚・野菜・海藻などを中心とした日本食」と強調している。
日本人の2型糖尿病患者の特徴は、(1)インスリン分泌不全が著しく、肥満症例が欧米人に比べ少なく、(2)インスリン抵抗性よりむしろインスリン分泌能低下が多いなど、特にインスリン分泌初期反応が低下していることだという。
糖尿病を予防・改善するための食事を考える場合、欧米型とアジア型の食文化の違いに配慮する必要があり、欧米のガイドラインをそのまま持ち込むと問題がある。日本人の民族的特徴をふまえて、総エネルギー量の適正化を中心として、脂質エネルギー比が過剰にならないよう配慮し、肥満予防を中心とした生活改善が求められる。
もっとも糖尿病リスクが低いのは1975年頃の食事で、その頃の家庭の標準的な夕食のメニューは、ご飯・肉じゃが・もずく酢・キャベツと卵のすまし汁といったものだった。ご飯と魚介類、海藻が多く、欧米食の影響はわずかだったという。
日本人はもともと米を主食としてきたわけではなく、米と麦を半々、あるいはアワ・ヒエ・ソバ・イモなどを混ぜて炊飯していた。1960年代以降の高度経済成長を経て、精白米・パン・麺類が主食の中心となり、糖質の摂取量が急激に減少した。
幣氏は「“動物性脂肪の過剰摂取”、“食物繊維の不足”、“朝食の欠食や間食・夜食の増加”、“夜9時以降の食事”といった食習慣が増えています」と、現在の日本人の食事は社会依存傾向が強い点を指摘する。
食事回数は1日3回を基本として、可能な限り時間を守り、欠食しないことや、早朝の高血糖を避けるため夜9時以降の食事を控える、よく噛んで時間をかけて食べることが重要だ。
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総エネルギー量が少ない場合は、1日のエネルギー摂取量1,000kcalあたり10g以上(1,600kcalの人は16g以上)の食物繊維を摂取するのが目標で、食物繊維を1日20〜25g摂取するのが理想的だという。「食物繊維の増加はインスリン感受性を改善し、糖尿病リスクを低下させる。インスリン抵抗性に対して適切にインスリンを分泌する能力を改善し、血糖低下、血清脂質改善作用をもたらします」と、幣氏は指摘している。
「野菜や果物を摂取する食事パターンは、2型糖尿病の発症リスクを低下させます。野菜にはビタミンやミネラル、食物繊維や抗酸化物質などが含まれ、乳製品にはカルシウムが豊富に含まれます」と、幣氏はバランスの良い食事パターンのメリットを強調する。

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