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2013年06月21日
食後の15分ウォーキングが高血糖を抑える 糖尿病リスクが低下
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研究に参加したのは、平均年齢70歳で糖尿病予備群(pre-diabety)と判定された高齢者10人だった。空腹時血糖値は正常であれば70〜100mg/dLだが、参加者の血糖値は105〜125mg/dLと高めだった。
参加者に、カロリーメーターと呼ばれる運動量を正確にはかる装置を備えた部屋に2日間入ってもらった。1日目(コントロール日)は何も運動をせず安静に過ごしてもらった。
2日目は、▽毎食の30分後に15分間のウォーキングを3回行う、▽午前か午後に45分間のウォーキングを行う――の2種類のパターンに分けて実験を行った。ウォーキングはすべてトレッドミルで、最高時速4.8kmの中程度の強度で行った。参加者は同じ標準化された食事をとり、48時間にわたり連続血糖値測定が行われた。
結果は、もっとも高血糖が抑えられ、血糖変動の起伏が少なかったのは、毎食後に15分のウォーキングを行った場合だった。食後3時間の血糖変動においても、高血糖を抑える効果があらわれた。
「食後のウォーキングによって、食後の血糖値の上昇が抑えられます。毎食後に歩くことが最適な運動法であることが分かりました。イタリアには"食後に歩くと体に良い"ということわざがありますが、それが正しいことを裏付ける結果になりました」と、ジョージ ワシントン大学のロレッタ ディピエトロ氏(公衆衛生学)は話す。
「まとまった運動時間をとれなかったり、体力に不安があるという高齢者でも、毎食後の15分の運動であれば苦にならないはずです。散歩や犬の散歩の習慣のある人は、楽にウォーキングを続けられます。"運動をどのように行えばよいかわからない"という70〜80歳の方にとっては良いニュースです」(ディピエトロ氏)。
昼食や夕食後に眠くなり、テレビを見ながらうたた寝をしてしまう――こうした経験は誰にでもあるが、研究者によると、これがもっとも危険な生活習慣だという。ウォーキングは、特別な用意をしなくともどこでも行え、コストもかからないというメリットがある。
ただし、15分という短い時間であっても、朝・昼・夕食の後に毎日ウォーキングを行わないと効果は期待できないという。また、体重減少を目的とした運動としては運動量が足りないおそれがある。
米国糖尿病学会(ADA)によると、糖尿病予備群の段階にあり、肥満のある人は、体重を7%減らし、1日30分の運動を週5日行うことで、2型糖尿病を発症する危険性を58%低下することができる。
この研究は、米国立保健研究機構と国立老化研究所が資金提供し行われた。
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