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2013年06月21日
肉を食べると2型糖尿病リスクが上昇 15万人を長期調査
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赤身肉の摂取量が多いと2型糖尿病の発症リスクが上昇することは、過去の研究でも指摘されている。しかし、多くの人は年齢を重ねるにつれて、肉の摂取量が変わっていく。今回の研究は、肉の摂取量の長期変化と糖尿病の発症の関連を調べたはじめての大規模調査となった。
参加者は研究開始時以降、4年ごとに摂取した食品の種類に関する詳細な質問に回答した。研究チームは、約190万人年以上のデータを対象に分析を行った。
赤身肉の1日当たりの摂取量が、半サービング(1サービングは1皿分の量の目安)以上増えた集団と、摂取量が変わらなかった集団とで比較した。
その結果、赤身肉の摂取量が変わらなかった集団に比べ、1日あたり0.5サービング以上増えた集団では、その後の4年間で2型糖尿病を発症するリスクが48%上昇していた。
また、摂取量が1日あたり0.5サービング以上減った集団では、全追跡期間中の2型糖尿病の発症リスクが14%低下していた。
「赤身肉の摂取と2型糖尿病の発症には強い関連があることが示されました。長期間にわたり赤身肉の摂取を抑えることが、2型糖尿病の予防につながることを示すエビデンスがさらに増えました」と、アン パン博士は述べている。
米糖尿病学会(ADA)は糖尿病の患者に対し、野菜の摂取を増やして、全粒粉や精製されていない穀類や豆類、低脂肪の牛乳や乳製品を選ぶことを推奨している。週に魚を2〜3回食べることも勧めている。

赤身肉には飽和脂肪酸が多く含まれる。飽和脂肪酸をとりすぎると、悪玉のLDLコレステロールや中性脂肪が増え、心筋梗塞などの心疾患のリスクを高めることが知られている。
ただし、肉の部位によっては脂肪の少ない部位もある。脂肪は、牛肉や豚肉なら「もも肉」や「かた肉」、「ヒレ肉」で少なく、「ばら肉」や「内臓肉」で多い。鶏肉なら「むね肉」「ささみ」などは脂肪が少ない。
米国食肉協会は、肉類には必須アミノ酸が豊富に含まれることも強調している。動物の肉はヒトの筋肉に近いアミノ酸バランスであるため、肉類を摂取していれば必須アミノ酸をバランス良くとることができる。
肉の調理法も重要だ。調理法によっては、脂肪を落とすこともできる。テフロン加工のフライパンで調理すれば、油を使わずに焼けるほか、「網で焼く」、「ゆでる」、「煮る」、「蒸す」、「スープで煮込む」といった調理をすれば、余分な脂肪を取り除くことができる。
加熱して肉をこんがり焼くと、焼き目がつく。この焼き目やこげ目には、タンパク質が加熱されると増える終末糖化産物(AGE)が多く含まれる。AGEが蓄積すると、糖化ストレスが亢進し、動脈硬化が進みやすくなる。トンカツ、唐揚げ、焼き鳥、ステーキなど焼いたり、揚げてある動物性食品にはAGEが多く含まれるので注意が必要だ。
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